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133 デートその16

長かったデートも今回で終りですw

ノーレッジ子爵王都屋敷の近くまで帰ってきたリョウとジュリア。

日は落ちかけ、辺りは薄暗くなっていた。


「う~~ん、さすがにもう今日は帰ってもらおうかな?!」

リョウが独り言を言いながら振り返る。


「ああ、やっぱりわざと放置していたんですね」

納得いったという感じのジュリア。


「王女様のお付きの者ですからね、あまり下手なことはしないほうが

いいと思いましたし、何かの時には役にたってくれるかな・・・と」


そして後方の何もないように見えるところに向かって声をかける。

「今日はご苦労様でした。もうたいしたことはないと思いますので

どうぞお帰りください」


リョウが声をかけたあたりの空間がぶれたようになって人が現れた。

「やはり、気づかれていましたか・・・」


「はい、昨夜は宿の裏口にいた護衛の方ですよね?!」

リョウはサーチでの微妙な反応の違いで、ある程度の識別が出来るように

なっていた。


「いや、私は部屋の窓の外にいました」

と、ごまかすが、大当たりであった。


「明日の昼に演劇場のカフェに行きますので、用があるならそのときに

お願いします」

相手の返事を無視してそう言うリョウ。


「わかりました。それとクレメンツ伯爵ですが、よろしければこちらで

対応しておきますが?!」


「ああ、そのほうが無駄なゴタゴタがないですね。すみません、

お願いします」

リョウ個人にならいいが、ノーレッジ子爵のほうに迷惑がいくとまずい。


そしてリョウは収納バッグから紙包みをとりだし護衛にほうる。

「そのお礼の一部と言うと何ですが、カテリーナ様にお土産ということで」


紙包みを受け取った護衛は、

「はい、では失礼します」

そう言って一礼すると、物陰に消えていった。


「それで、ジュリアさん」


「はひっ!」

ジュリアは、リョウに真面目な顔で向き合って名前を呼ばれて、

声が裏返ってしまった。


「私に付いて行きたいという意思は変わりませんか?」


「え?!」

ジュリアはしばらくリョウの顔を見つめ、そして言う。

「すでに許しいただけてると思っていましたが?!」


「え?!」


「ペンダントを贈ってくれたではないですか。自分の瞳と同じ色の

宝石の付いたペンダントを贈るということは、『ずっと貴方を

見ています』という意味ですよ」


「え~~~!!」

あわてるリョウ。


その様子を見ながら少し待ってジュリアが言う。

「ウソです」


「は?!」


「さっきの仕返しですよ」

ニッコリと笑いながら言うジュリア。


「何だって~~!」

そう言って両手でジュリアの左右の頬をはさむリョウ。


頬をひっぱられると思い目をつむり身構えるジュリア。

しかし、何も起こらない。


「逃げないんですか?」


問いかけに目を開けると、リョウの顔が間近に迫っていた。


コツンと軽くおでこをぶつけるリョウ。

ジュリアは両手をリョウの背中に回し、ぎゅっと抱きしめる。


リョウは軽く顔を傾け、自分の唇をジュリアの唇と重ねるのであった。





「ただいま~~~!!」

上機嫌で王都屋敷に帰ってきたジュリア。


さっそく、デートの服装を整えてくれたメイド3人組に捕まる。


「どうだった~? !!!!!」

そう言ったメイドはジュリアを見て固まった。


「「 え?!!!! 」」

他の2人にメイドも同様である。


リョウにプレゼントされたペンダントとブローチを見たのだ。


「あ、これですか? プレゼントして頂きました」

ちょとテレながら幸せいっぱいという感じで言うジュリア。


「何よ?!それ!!」

「あのボーっとしたのが?!」

「野暮天のくせに!」

うらやましさ大爆発である。


「あ、これ、彼から皆さんにと」

ジュリアはメイドたちに髪留めを渡す。


「あら、いいじゃない」

「気が利くわね」

「見直したわ」


清清すがすがしいまでの手のひら返しであった。

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