132 デートその15
明けましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします
「え?!ジュリアさん、何を・・・? イタッ、痛い、痛いって・・・」
リョウが叫ぶ。
「今回はこれで許してあげます」
「ふぁい・・・」
リョウの両方の頬はジュリアにひっぱられて赤くなっていた。
「それで結局、どういう関係なのよ?」
と、パトリシア。
「どう言ったらいいのかな・・・?」
頬をさすりながらリョウが考えていると、
「パーティー仲間です」
ジュリアが答える。
「パーティー?」
「リョウ様は、冒険者で私はその仲間です」
「冒険者?!」
パトリシアがリョウを品定めするような目つきで見る。
「そんなので生活できるの?」
「まあ、いろいろやってますので、あまりお金には困ってないですね」
こっそり頬にヒールしながら言うリョウ。
「それなら、ボムリザードを狩れる冒険者を知らない?」
「「 は?!! 」」
いきなり話にボムリザードがでてきたので面食らう2人。
「なぜボムリザードを?」
リョウが聞く。
「うちの実家のほうで被害がでてるんだけど、駆除がうまくいかなくて
困ってるのよ。王都ギルドならと昨日行ってみたんだけど、引き受けて
くれる冒険者がいないと言われて・・・」
普通に2m以上のトカゲというだけで農民が狩るのは無理である。
地球でいえば、コモドドラゴンに槍や剣で挑むようなものだ。
しかも、さらに魔力で強化されているモンスターである。
ドミニク商会での話にでてきた貴族の花嫁の兄がやった狩りでも
取り押さえるときのほうが爆発のときより多く怪我人がでていたそうだ。
その上に爆発能力まで持っているのだ。往復の期間や費用なども入れると、
割に合わないということで、引き受ける者がいないのも仕方がない。
ドミニク商会に加えてパトリシアまで・・・リョウの助けたいという
心の天秤がぐっと傾いた。
「心当たりがありますので、聞いてみます」
「え?!本当!!」
どうせダメだろうと思いながら、とりあえず聞いてみただけだったのだが
そう言われて驚くパトリシア。
「明日の朝に話をする予定なので、昼に、ここのカフェで待ち合わせと
いうことでどうでしょうか?」
もう、リョウの中では引き受けることがほぼ決まっている。
いざとなったら、不眠不休で全速力で走って往復して狩ることも
考えていた。
「ええ、それでいいわ・・・期待していいのよ・・・ね?!」
「はい、何とかします」
そう答えるリョウを、ジュリアはまた生暖かい目で見ていた。
その後、リョウとジュリアは、英雄ギャンル・ポゴーの演劇を見て
カフェでハンバーグとクリームシチューの夕食をとり、ノーレッジ子爵
王都屋敷に帰ったのであった。
なお、カフェの店長がハンバーグの作り方も教えてくれと言ってきたが
断わられてガッカリしていた。




