130 デートその13
デート長すぎ!
いつまで続くんでしょうか?!
まあ、サブタイトルを考える手間がなくて微妙に楽ですがw
コンコン
「リョウです。入りますよ~」
パトリシアの控え室に入るリョウ。
「あっ、ジュリアさん、気がつい・・・」
パトリシアとジュリアがにらみ合っていた。
こういうときは、下手に理由を聞くとまずいと判断したリョウは、
「ホットケーキというお菓子ですよ~。紅茶はすぐにきますので、
先に食べてください」
何もないようにふるまうことにした。
「ホットケーキ?!」
パトリシアが振り向く。
そしてホットケーキを見てフォークを手に取り、それでホットケーキを
ちょんちょんと突く。
対照的にジュリアは迷いなくフォークでホットケーキを切り、一口サイズに
したものを口に運ぶ。
「おいしい! やっぱり、リョウ様の料理は間違いないですね」
満足そうに言う。
その様子を見て、パトリシアもホットケーキを食べる。
「何!?このフワフワ感?!」
思わず声を上げる。
「ね!おいしいですよね?!」
ジュリアが自慢げに言う。
コンコン
そのとき、ドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
ウエイトレスが紅茶を持ってきた。
「ご苦労さまです」
リョウはそう言って代金を払おうとするが。
「あ、お代は結構です。というか、サンドイッチの作り方を教えていただいた
報酬はいかほどかと・・・」
「ありがとうございます。そうですね、報酬はカフェでサンドイッチを
適正価格で提供すると約束していただくということでいかがでしょうか」
「それでいいのですか?」
「はい。ここの名物になるといいですね」
リョウは何も気にせずにそう言ったが、後に『学園のハンバーグ』、
『黒猫亭のチャーハン』とともに、『演劇場のサンドイッチ』は
“賢者のレシピ”の1つとして有名になるのである。
「リョウ様、サンドイッチの作り方を教えたのですか?!」
ウエイトレスが部屋を出た後、ジュリアが聞く。
「ええ、さっきあのウエイトレスさんにあげたやつが気に入られたようです」
「実質、報酬なしって、私達からしたらもったいないように
思えるんですが・・・」
「そうかもしれませんが、おいしいものは多くの人に食べてもらったほうが
いいでしょう。報酬の分を価格に上乗せされたら高くなってしまいますから。
それに・・・」
リョウは紅茶を一口飲んで言う。
「昨日は宿屋で、一昨日は学園で他の料理を作って教えてきたところです」
3日連続で何やってるんだろうと自嘲の笑みをもらすリョウ。
「学園ということは、オリビア様が?」
「いえ、王女様のカテリーナ様という方につかまってしまいまして。
結果として、オリビア様にも召し上がっていただきましたが」
「王女様?!」
「気に入られたようで、次の日に宿で料理するときもいらっしゃいました」
苦笑いしながら言うリョウ。
「あなたの料理ってそんなにおいしいの?」
ホットケーキをたいらげたパトリシアが聞く。
ホットケーキがおいしかったので、興味を持ったようだ。
「うちの国の家庭料理なんですが、ここでは調理法が珍しいようです」
「私も食べたかったです」
ジュリアも食べたいようだ。
「ありますよ」
「「 え?! 」」
「学園でだした料理を2人前、今日の晩御飯用にとってありますので、
後で一緒に食べましょう」
「リョウ様!」
リョウに抱きつくジュリア。
よほど、嬉しかったようだ。
そして、カヤの外のパトリシア。
「私の分は・・・? ないですわよね」
普通に考えて、あるはずがなかった。




