115 恋愛?
「お~、こりゃうめぇ!」
「ほんと、おいしいねぇ」
「作ってもらってよかったわね」
「・・・」
カテリーナやマーティアたちを見送り、宿の食堂の営業時間も終って、
やっとリョウたちは夕食である。
ミーナはお腹一杯になって寝てしまった。
宿の主人(名前はドウェインというそうだ)、ゾーエ、エマそして
エレールも美味しそうに食べている。エレールは、あまり表情に
ださないが、リョウは彼女の感情を読み取れるようになってきていた。
「今日は部屋が全部うまっていてな、嬢ちゃんはリョウさんと一緒の部屋で
いいかい?!」
ドウェインが聞く。
「ん、問題ない。というか、それも目的」
エレールは、またリョウの魔力で癒されたいようだ。
「あらあら!そういうことかい?!嬢ちゃんは、歳はいくつなんだい?」
ゾーエがちょっと楽しそうに聞く。
リョウは、何が『そういうこと』なのかと思うが、面倒なのでツッコまない。
「22歳」
「おや、若く見えるんだねぇ、それならいいね」
よくわからないが、いいようだ。
「ところで、リョウさん、これらの料理はうちで出してもいいんですよね?!」
エマが聞いてくる。
「はい、タコは仕入れが難しいですが、コーンスープやコロッケ、チャーハン
なんかは喜ばれるんじゃないかと思います。ただ、揚げ物は食用の上質の油が
必要ですし、火事になりやすいので気をつけてください」
「そうですね、揚げ物はまたにして、まずはコーンスープとチャーハンを
だすことにします」
「ああ、いいですね。セットメニューにしてもいいかもです」
「うちの名物になるかもしれないねぇ」
ゾーエも賛成する。
普通に繁盛している宿であるが、さらに人気になるだろう。
そして、こちらは教会に帰るマーティアたちの馬車である。
「おいしかったですね。マーティア様」
コリーヌが言う。
「ほんと、来たかいがありました」
「タコもよかったが、俺はコロッケが一番気に入ったな」
グレイシアも満足そうだ。
「次は教会で作ってもらいましょうよ。シスター達も喜びますよ」
というか、自分が一番喜ぶコリーヌである。
「そうですね、報酬を別に払うということで頼んでみましょう」
マーティアも乗り気である。
「今度は肉の塊でガッツリいってほしいな」
狩猟民族の血が騒ぐグレイシア。
「そんなの、自分で肉の塊を焼けばいいんじゃ?!」
「いや、リョウならそういうのでも、さらにうまくしてくれそうじゃないか?!」
「あ~、ありえますね、私達の思いもつかない方法があるかも・・・」
充分食べたはずなのに、もう次の食事の話である。
「依頼が終わっても、引き続きリョウ様と良い関係を続けたいですね」
とマーティア。
「リョウ様、お金や地位じゃ動かないみたいだからやっぱり女ですか?!」
「今日の食事会もあの獣人の女の子のためだし、メイフィールドの
エレールとかいうやつの扱いを見ても、女に甘いのは間違いないな」
「じゃ、グレイシアさんの色仕掛けに期待ですね」
「は?!、何を言ってるんだ?」
「だってリョウ様、グレイシアさんの腹筋を触りたがってたし、
他にもいろいろ褒めてたじゃないですか。絶対、好みですよ」
「ば、ば、ばか言うな!俺みたいな色気のない女に・・・」
グレイシア、顔真っ赤である。
「無理強いはしませんが、恋愛は好きにしていいですよ」
マーティアも後押しする。
「れ、恋愛って・・・」
馬車が教会に着くまでイジられるグレイシアであった。




