114 エレールふたたび
「ほ、本当だぞ!食べたのに忘れたとかじゃないぞ!!」
リョウに笑われたと思って、抗議するグレイシア。
「あははは・・・」
「え?あれ?!実は俺は食べてたのか・・・?!どんな味だっけ・・・」
リョウが笑っているので、自分に自信がなくなるグレイシア。
「ご、ごめんなさい・・・あはは・・・グレイシアさんを笑ったんじゃ
ありません。ははは・・・」
笑いながら言うリョウ。
「・・・まったく・・・イタズラはダメですよ」
リョウはそう言いながら、グレイシアの近くの空間をちょんと指でつつく。
「んっ」
するとその空間がぼやけ、女の子が現れた。
「「「「「 え?! 」」」」」
「ほら、グレイシアさんに謝りなさい」
「ん、ごめんなさい」
素直に謝る女の子。
「あ、ああ・・・」
まだ状況がわかってないグレイシア。
「リョウ様、その方は?」
マーティアが聞く。
「メイフィールド領軍のスカウト、エレールさんです。私が頼みごとを
していたので、その報告に来てくれたかと」
「そう。ムラーズ商会のミックたちは全員捕らえた。2~3日中に
ノーレッジ子爵領へ移送される」
エレールが報告する。
「そうですか。ご苦労様でした」
リョウはそう言いながらエレールの頭をなでる。
「それでなぜ、その方はリョウ様に抱きついていらっしゃるのですか?」
マーティアが聞く。
言われたとおり、いつの間にかエレールはリョウに抱きついていた。
「リョウの愛人だから」
無表情でエレールが言う。
「あ、いや彼女のネタですから」
言い訳するリョウだが、抱きついているエレールをほどこうとはしない。
「しかもホ○ケ○」
「見たんか?!・・・って、ネタがとんどるわ!!」
全力でツッコむリョウ。
「お姉ちゃん、○ー○ーって、何です?」
ミーナがグレイシアに聞く。
「聞かなくていい!!」
「ホ○ケ○ってのはな・・・」
「答えるな!!」
リョウ、ツッコミに大忙しである。
「とりあえずエレールさんは、待っていてください。お客様がたが帰られたら
一緒に夕食を食べましょう」
リョウ、一気に疲れたようだ。
「じゃ、デザートを持ってきます」
そう言ってエレールと一緒に退室するリョウ。
リョウは、エレールを自分の部屋に案内して果実水とポップコーンをだす。
「どうぞ」
「何?これ」
エレールはそう言いながらポップコーンを1つ口に入れる。
「トウモロコシから作ったポップコーンというお菓子ですよ」
「感触が面白い」
気に入ったようだ。
「じゃ、少し待っててくださいね」
「ん」
そして、調理室に戻ったリョウは、氷を入れて塩をまぜた大きな鍋に
金属製のボウルを入れる。
そして果汁と砂糖を混ぜたものをボウルに入れて泡立て機でかき混ぜる。
果汁は少しずつ凍っていき、シャーベットになっていった。
出来たシャーベットをガラスの器に盛り、カットフルーツで飾って
出来上がりである。
残った分は、溶けないように収納バッグに入れておく。
そして客室に戻る。
「デザートのフルーツシャーベットです。これはお代わりはありません。
これで、今日の料理は終わりです」
そう言って、シャーベットを配っていく。
さっきのお詫びに女騎士のマエリスにもシャーベットを渡す。
「いや、私は・・・」
断ろうとするが、
「それぐらいはいいでしょう。ね、カテリーナ様」
「ええ、差し支えありません。いただきなさい」
カテリーナが許可したので嬉しそうに食べ始めるマエリス。
「冷たくておいしいです~」
ミーナが言う。
「ただ凍らせたものとは違って、舌触りがいいですね」
とカテリーナ。
他の3人もおいしそうに食べている。
とりあえず、今回の食事会は成功のようである。
超少女エレール・・・いや、なんでもありません。




