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112 大皿料理

まずは、今回の食事のルールの説明である。


「今回は、大皿に盛りつけた料理をそれぞれ取り分けて召し上がって

いただきます。独り占めしたり、横取りしたりしないように。

料理が少なくなってまだ食べたい人がいたら、譲り合うとか半分ずつに

するとか、話し合って決めてください。

とにかく、楽しく食べてくださいね」


リョウの説明に全員頷く。


「あと、今回の料理はミーナちゃんのために作ったものですし、

まだ子供ですから、優先させてあげてください」


席についている4人は納得したようだが、護衛の女騎士が文句を言う。


「貴様、カテリーナ様を差し置いて、こんな獣人の子供を・・・」


「ていっ!」


「ふぎゃっ!」


リョウのチョップを額に受け、かわいい悲鳴を上げる女騎士。


「主宰は私です。あなたが文句を言う権利はありません」

女騎士をたしなめるリョウ。


「貴様!騎士の顔を!!」

女騎士はリョウに殴りかかるが、


ひらりっ

「ていっ!」


「ふぎゃっ!」


軽くかわされ、またチョップをくらう。


「貴様!」

ひらりっ

「ていっ!」

「ふぎゃっ!」


「貴様!」

ひらりっ

「ていっ!」

「ふぎゃっ!」


・・・、それが5~6回繰り返された。

女騎士、涙目である。


「マー様、もしかしてリョウは、すごく強いのか?」

グレイシアが聞く。


「オーガやリッチーを単独で討伐して、しかも無傷だったそうです」

マーティアが答える。


「私は、20匹以上のブラッドウルフの群れを1人で殲滅したと

聞きました」

カテリーナも話す。


部屋の中の者たち、特に女騎士が驚きの表情を浮かべる。


「そういうことですから、マエリス、あなたの手には到底負えませんよ」

カテリーナが女騎士に言う。


「ううう・・・」

くやしそうな女騎士、マエリス。


「それ以上騒ぐなら、宿の外の護衛と交代してもらいますよ」

リョウが言う。


「えっ?!」

マエリスが驚く。


「どうかしましたか?」


「宿の外の護衛に気がついて・・・」


「ええ、7人・・・ぐらいですか、いますよね?!」

当たり前のように言うリョウ。


「陰の護衛に気付くだけでなく人数まで把握とは・・・リョウには

驚かされてばかりですね」

カテリーナがあきれたように言う。


「そんなことより、食事にしましょう。ゾーエさん、スープをお願いします」


そう言ってリョウはワインを注いでいく。ミーナには果実水である。


ゾーエがコーンスープを注いで、エマがクルトンと刻みパセリを散らして

配っていく。


さらに、リョウは大皿に盛ったアサリのワイン蒸しと2種類のコロッケを

テーブルに置いて、それぞれの取り皿に乗せていく。


「まずはトウモロコシのスープ、アサリのバターワイン蒸し、そして茹でて

つぶしたジャガイモに衣をつけて揚げたコロッケという料理です」

料理の説明をするリョウ。


「アサリは殻に気をつけてください。コロッケは今回はトウモロコシと

牛肉を入れてみました。追加はご自分でお願いします。

どうぞ召し上がってください」


全員、一斉に食べ始める。


「おいしいです!」

ミーナが喜ぶ。


「やさしい味ですわ」

マーティアがコーンスープを飲んで言う。


「面倒だけど、おいしいです」

コリーヌがアサリの殻と戦っている。


「うまいな!これ!」

グレイシアはもうコロッケの追加を取っている。


「普通の材料なのに、リョウにかかるとこうなるのですね」

カテリーナが感心する。


「私が考えたわけではありませんので。あくまでも、家庭料理ですし。

では、次の料理を持ってきます」


そう言ってリョウは退出する。


次の料理は、そうお待ちかねのタコである(笑)。

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