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103 ダーク聖女

そして、現在、リョウは3人組と一緒に馬車で移動中である。


装飾はないが上質な素材が使われた高級感のある黒い馬車で、

まさに貴人のお忍び用とでもいうようなものである。


席順は、リョウの隣にメイド、前に褐色女、斜め前に黒ローブ女である。

そして、ずっと褐色女ににらまれている。

まあ、あんな要求をしたから当たり前なのだろうが。


馬車はギルドのあった繁華街を抜け、だんだんと人通りの少ない道へと

進み、ほとんど人通りのない道に入った。


道の片側が長い塀になっており、その塀が途切れたところに門があった。

御者が合図をすると門が開き、馬車は中へと入っていく。


そして中庭・・・というより大きすぎるので林と言ったほういい場所を

抜けて建物の前で馬車が止まる。


うながされて馬車を降りて建物を見ると、荘厳な雰囲気の教会が

そそり立っていた。


「リョウ様、王都デプラクス教会へようこそ」

黒ローブ女が言う。

「あまり表沙汰になると不都合がでると思いましたので、裏門から

入っていただきました。お許しください」


「王都教会というと聖女様がいらっしゃるところですね」

リョウは、ライゼンから聖女のことを聞いていたので言ってみた。


「はい、私です・・・が違います」


「は?!」

意味がわからないリョウ。


「すみません、後で説明しますので、とりあえず中に」

裏口・・・と言っても、充分大きく立派な出入り口から中に入ると

シスターが数人待機していた。


「着替えて参りますので、少々お待ちください」

黒ローブ女がそう言って、退室する。

メイドと褐色女も付いていく。


リョウは待機していたシスターに応接間に案内された。


ソファーに座り、出された紅茶を飲みながら待っていると、

シスターが聖女が来たことを告げる。


さすがに座ったまま聖女を迎えるのは失礼すぎると、立ち上がるリョウ。


入ってきたのは、真っ白な修道服を着た少女。体形は黒ローブ女と

似ているが、雰囲気はまるで違う。


「Bクラス冒険者のリョウ・F・カーラです」

指名依頼状にフルネームが書かれていたので、そう名乗ったほうが

いいだろうとリョウは判断した。


「マーティアと申します。第二十二代聖女を拝命しております」

聖女は逆に私利私欲に利用されないことを示すため、出身の家と

関係を絶ち、貴族であっても苗字を捨てることになっている。


「聖女様お付きの巫女のコリーヌです」

服は替わっているがさっきのメイド少女だとわかる。


「それで、聖女様は先ほどの黒いローブの女性と同じ方なのですか?」

先ほどの疑問を聞いてみるリョウ。


「説明しますので、お座りください」

マーティアは、テーブルをはさんでリョウの向かい側に座る。


聖女の説明によると、彼女は聖属性だけでなく闇属性の魔法も使えるのだという。

そして、闇属性を使うときは姿が変化するそうだ。


「歴代の聖女も何人か同じような者がいたそうです」

若干、性格が変わるが二重人格とかではなく、意識や記憶も普通に

1人だそうだ。


(ふむ、スーパーヒーローのモードチェンジみたいなものか)

厨二心がうずくリョウ。


ぜひ変わるときにはポーズをとって『変身!ダーク聖女!!』とか

やってほしいなどと考えてしまう。


「原因としては、創造神様の加護が強い場合になると言われています」


「そういえば、創造神様は聖属性と闇属性の魔法を司っているんでしたね」

リョウはライゼンがそう言っていたのを思い出した。


「はい、リョウ様も創造神様の加護をお持ちだと聞きましたが」


マーティアのその言葉で、教会で加護について調べてもらえると聞いていたのを

思い出したリョウ。


「確認したことがないので、よかったら調べていただけませんか?!」


「調べたことがなかったのですか?!では、後で・・・いえ、すぐに

調べたほうがいいですね。コリーヌ、用意を頼みます」


「はい、マーティア様」

コリーヌが返事をして部屋を出る。


「ところで、護衛の方は・・・?」

リョウは、褐色女がいないのが気になっていた。


「逃げました」

申し訳なさそうに言うマーティア。


「は?!」


「後で必ず約束は果たしますので、ご容赦を・・・」


「い、いえ、酔って言った戯言たわごとですのでなかったことにしてください」


酔った勢いで言ったことを後悔するリョウであった。

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