102 3人組
リョウがポテチやカラアゲを追加したせいでさらに参加する冒険者が増え、
結局10人以上で酒を飲んで騒いでしまうことになった。
リョウはといえば、つまみを提供した代わりに冒険者たちがおごってくれた
エールを7杯ほど飲んで、いい感じで酔っぱらっている。
「オーガを真っ二つ~~?!嘘つけ~~!!」
「ほんとれすよ~~、こうやってすぱ~~んと」
「わっはっは・・・無理無理~~」
とても盛り上がっている。
今から依頼をこなさなければならない冒険者からしてみれば
見たことのないうまそうな物をつまみに朝っぱらから
酒を飲んでいるリョウたちは腹立たしいが、悪いことを
しているわけではないし、エドガーはじめベテラン冒険者たちが
参加しているので何も言えない。
「おいおい、何やってるんだ?!」
言える者がいた。
「おう、グランツ、あんたも飲まねぇか!」
「エドガー、馬鹿を言ってるんじゃない、ギルマスがこんな朝から
飲めるわけないだろ!」
グランツと呼ばれた男は、ギルドマスターであったようだ。
ギルドマスターを呼び捨てということは、エドガーは旧知なのだろう。
「まあまあ、わざわざガリアから来たっていうんだ。歓迎してやっても
いいだろ?!」
エドガーがリョウを紹介する。
「どうも~、ガリアから指名依頼で来たリョウでふ~」
「え!ガリアから指名依頼?!依頼状はあるか?」
「はい、これでふよ~」
リョウが指名依頼状を渡す。
「わ、わかりました。そのまま、どこにも行かないでください」
なぜか言葉遣いが丁寧になるギルマス。
そして、事務室に入っていった。
それから約30分後。
出入り口から異様な3人組が入ってきた。
まずメイド風の小柄な少女。これは別にいい、少々派手なメイド服だが
それを気にしなければ貴族の館に1人はいそうな感じだ。
だが、2人目の護衛役らしい女。異様に露出の高い鎧に褐色の肌、
身長も180cmを軽く越えている。あきらかにこの国の人種ではない。
たぶん、南方の狩猟民族出身であろう。
そして、最後に入ってきた全身を覆う黒いローブに頭巾をかぶり、
作り物の蛇が巻きついた杖を持ち黒いヴェールで顔を隠している女。
とにかく雰囲気がヤバイ!
下手にちょっかいをだしたら呪われそうである。
酒盛りをしていた者たちは気にしてないが、他のギルド内の全てが
注目する中、3人は真っ直ぐリョウの方に来た。
「リョウ様ですね、指名依頼をした者です。お待ちしておりました。
一緒にいらしてください」
ローブの女が言う。
「いやでふ」
あっさり断るリョウ。
「なぜです?」
「いや、怪しすぎるでしょ?!」
まあ、当たり前の反応である。
しかし、そこにギルマスが来た。
「リョウ君、このお方は、今は明かせないがある高貴な身分の方だ。
王都ギルドが保証するので同行してくれたまえ」
「え~~~?!」
リョウはまだ信用できない。
「グランツ、本当に大丈夫か?」
エドガーも心配してるようだ。
「うだうだ言わずにさっさと来い!!」
褐色女が怒鳴る。
「行きまふ!」
彼女を見て、あっさり承諾するリョウ。
「え?!」
「その代わり、あなたの腹筋、触らせてくださいね」
そう、リョウは腹筋フェチであった。
普段なら押さえていただろうが酔っ払って本音がでたようである。
『舐めさせて』と言わなかっただけ、まだマシであった。
「な、何を言ってるんだ?!お前は!」
お腹を隠すようにして褐色女が言うが。
「いいですよ」
黒ローブの女が承諾する。
「え?!」
褐色女が黒ローブの女を見る。
「では、行きましょうか」
そう言って出入り口に向かう黒ローブの女。
「マー様!俺は嫌だぞ!!」
褐色女はそう言って後を追う。
「リョウ様、行きますよ」
残されたメイド少女が言う。
「う、うん・・・じゃ、行ってきます」
リョウは、エドガーたちに挨拶してメイド少女に付いて行くのだった。




