101 王都ギルド
評価をいただいたので、気を良くして連日更新ですよ。
ありがとうございます。
でも、ストックがなくなったので、明日は無理です。
朝、リョウが宿の階段を下りると、ミーナがいた。
「おはよう、ミーナちゃん」
「おはようなのです」
ミーナがケモ耳をピクピクさせながら挨拶する。
そのとき、宿の主人がでてきた。
「おはようさん、今夜の部屋の予約はどうする?」
「仕事の内容次第なので、とりあえずチェックアウトします」
「そうなのか・・・じゃ料理を作ってくれるのは?!」
「え~~~!!作ってくれないですか?!」
ミーナががっかりした顔で言う。
「いや、仕事が済んだらまた来ますから・・・そうですね、ご主人
皿を貸してくれませんか?!」
宿の主人が持ってきた皿に、カラアゲとフライドポテトを盛る。
フィッシュ&チップスならぬチキン&チップスである。
「はい、どうぞ」
ミーナに差し出す。
ミーナは目を瞑って匂いを嗅ぎ、パチっと目を大きく開けて言う。
「これはおいしいです!」
カラアゲとフライドポテトをつまんで口に入れる。
言葉と行動の順番が逆のようだが、この娘の場合はこれで合っている。
「ご主人もどうぞ」
食べたそうにしている宿の主人に言う。
「おう、いただくぜ」
ミーナがおいしいと言うなら間違いないと、見たことがない料理である
カラアゲとフライドポテトを躊躇なく食べる。
「おう、これはうめえ!」
やはり間違いなかった。
「とりあえずそれで我慢してください。ちゃんとした料理は仕事が
一区切りした後ということで」
ミーナの頭を撫でながら宿の主人に言う。
「これよりうまい物があるのか。あんた、すごい料理人なんだな」
料理人ではないのだが、面倒なのでそのまま流すリョウ。
もう、この宿屋では料理人で通してもいいか・・・などと
適当なことを考えている。
「では、行ってきます」
「ああ、待ってるぜ」
「行ってらっしゃいなのです」
ミーナと宿の主人に見送られ、リョウは冒険者ギルドに向かった。
「お~~、やっぱりここもデカいな」
リョウは王都冒険者ギルドの前に来ていた。
ガリア支部は木造だったがこちらは煉瓦造りと木造の混合で、敷地面積も
倍以上ありそうだ。
中に入ると受付はごったがえしていた。
その喧騒の中に入る気のしないリョウは、どうせ急ぐ必要もないのだからと
空いている椅子を見つけ、座って待つことにする。
「すみません、ここ座っていいですか?」
テーブル席にいた40代後半ぐらいに見える男に言う。
「ああ、構わねぇぜ、座りな」
そう言った男は落ち着きがありなかなかの風格だ。きっとベテラン
冒険者なのだろう。
「失礼します。いやぁ、さすがは王都ギルド、賑わってますね」
話をしたいので、会話のとっかかりに『俺は地方から来たんだよ』
という意味をもたせてみた。
「おう、王都は初めてかい?!どこから来たんだ?」
男が会話にのってきてくれた。
「昨日、ガリアから来たばかりです」
「ガリアか。俺も行ったことはあるが、田舎のわりに治安がよくて
わりと住みやすそうなところだったな」
「ええ、のんびりしたところですね。あ、俺はリョウと言います」
「エドガーだ。何か依頼でもしに来たのか?」
なぜ依頼しに?と思ったが、服が平民服のままだった。商人が依頼に
来たと思われたようだ。
「いえ、一応冒険者です」
「なら、のんびりしてないで、いい依頼を探さなくていのか?」
「ええ、ちょっと用事があるだけなので・・・。あなたはいいんですか?」
「俺はもう半分引退したようなもんでな。それなりに蓄えもあるし、
暇つぶしに来てるようなもんだ」
エドガーは立ち上がりながら言う。
「というわけで朝からだが一杯やろうと思うんだが、付き合うか?」
「あ、それならお近づきの印に私がおごりますよ」
リョウはそう言って、エドガーを座らせ、バーカウンターに行き、
エールを2杯買って席に戻る。
「どうぞ」
「おう、すまねえな」
グラスを受け取るエドガー。
「つまみに、これをどうぞ」
収納バッグから、皿を取り出しポテチを盛る。
「何だ、こりゃ?」
1枚とって、食べるエドガー。
そして、エールを飲む。
「ぷは~~、いいなこれ、つまみにピッタリだ」
ポテチを気に入ったようだ。
「エドガー、何を食ってるんだ?」
それを見ていたエドガーの知り合いらしい冒険者が聞いてくる。
「ポテチというジャガイモの料理です。よかったらどうぞ」
リョウは、そう言って皿をその冒険者のほうに押す。
「すまないな、もらうぜ」
そう言ってポテチを取り食べる冒険者。
パリパリ・・・・
「な、何てもんを食わせるんだ・・・」
冒険者が震えながら言う。
「こ、こんなもん、エールが必要に決まってるだろ!」
そう言って、バーカウンターに行く。
それを見ていた冒険者が・・・パリパリ・・・エールが・・・
さらにそれを見ていた冒険者が・・・パリパリ・・・エールが・・・
いつの間にか酒盛りが始まり、リョウはポテチの追加ばかりか
カラアゲとフライドポテトも提供することになるのだった。
リョウはもう、全国を回ってチキン&チップス屋をやれば
いいんじゃないかと思いますw




