第3話「運命の公園」と「終末の絵画」
小さな村の公園では優しい花の香りを感じました。時計台の下に止めた古びた旧車へ背中を預け、酔っているように美しい街並みに魅了されてしまいながら。
「結局はやっぱりっていう感じでしょ? なんかいつもぼくだけはこうだしさ」
新たな罪との出会いが告げる物語。夜明けの翼。世界の鐘が鳴らされたように世界に降り落ちては消えていく光のような霞。忘れていないままだった信頼。
あの時あの場にいてはいけなかった運命に呪われた青年のことを再会した奈季くんは守ろうとしてくれました。まるで青年そっくりの人物がセントへルソンで幸せに暮らしていた罪なき人々たちの命を奪ったから。この世界の終末を謳うように。
「まぁ何も別に笑い事ではないけどな。こんな現実が日常になったりしたら」
海底で止まったままの懐中時計。乱視の徴候。風船のように不安定な世界に訪れる不安。反戦の薪。当惑するほどの風の強さに巻き込まれていく暗雲。霧の中の亡霊。謎めいた距離感に吸い込まれる雰囲気。価値さえも消えていく潔白。
「でも何かは変わるような気がするよ。これからはまた前みたいになるならさ」
青年の生命の源泉だろう少女との再会。そのためにもまずはセントヘルソンの北西の渓谷鉄道を使って、この都市から逃げることを彼は勧めてくれたのです。
「だからたぶん今だけは素直な気持ちで言えるかな。”ありがとう”の言葉もね」
絵画のように木のベンチに座って、なぜか奈季くんにもとても親しんでいる少女を眺めながら青年が笑ったら、たぶん奈季くんもつられて笑ってくれました。