表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/32

第3話「運命の公園」と「終末の絵画」

 小さな村の公園では優しい花の香りを感じました。時計台の下に止めた古びた旧車へ背中を預け、酔っているように美しい街並みに魅了されてしまいながら。


「結局はやっぱりっていう感じでしょ? なんかいつもぼくだけはこうだしさ」


 新たな罪との出会いが告げる物語。夜明けの翼。世界の鐘が鳴らされたように世界に降り落ちては消えていく光のような霞。忘れていないままだった信頼。


 あの時あの場にいてはいけなかった運命に呪われた青年のことを再会した奈季なぎくんは守ろうとしてくれました。まるで青年そっくりの人物がセントへルソンで幸せに暮らしていた罪なき人々たちの命を奪ったから。この世界の終末を謳うように。


「まぁ何も別に笑い事ではないけどな。こんな現実が日常になったりしたら」


 海底で止まったままの懐中時計。乱視の徴候。風船のように不安定な世界に訪れる不安。反戦の薪。当惑するほどの風の強さに巻き込まれていく暗雲。霧の中の亡霊。謎めいた距離感に吸い込まれる雰囲気。価値さえも消えていく潔白。 


「でも何かは変わるような気がするよ。これからはまた前みたいになるならさ」 


 青年の生命の源泉だろう少女との再会。そのためにもまずはセントヘルソンの北西の渓谷鉄道を使って、この都市から逃げることを彼は勧めてくれたのです。


「だからたぶん今だけは素直な気持ちで言えるかな。”ありがとう”の言葉もね」


 絵画のように木のベンチに座って、なぜか奈季くんにもとても親しんでいる少女を眺めながら青年が笑ったら、たぶん奈季くんもつられて笑ってくれました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ