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第11話 「虚数の理想」と「真実の調律」

 どこからか愛鈴の考えも変わり始めていたのです。ユフィリアを大切に思うのはもちろんでも、もう自分を取り巻いている現実も無視はできなくなっていると。


 息を吸うだけで壊れてしまうほどに世界は脆いのなら、真実なんて考えてしまうほどわからなくなってしまって。飛び違う生と死という概念さえも言葉なんかで片付けられたのなら、絡み合う景色と物語に世界の真理をみたような気分になって。 


 こんな状況も”全部ぼくのせいかもしれない”と気付けただけでは、それも結局はどこか自分を守るための無価値な呪文でしかなくて。色美しい理想ほど思い通りにいかないこの世界では気持ちも花びらのように迷って落ちていってしまうだけで。 


 こんな世界だっていつかは終わるという言葉が何よりのプラシーボでも、命を奪われていった人々がこの世界から消えてしまい、彼らの命を奪っていった人々はこの世界に残っているということに、生まれながらこの世界が公平ではないことをやっぱり知ってしまい、そんなことを知ったとして誰かから”大人になったのね?”と褒められてしまうのなら、世界不信になってしまうのももっともでしかなくて。


 どこまでも気持ちの整理はつかないまま、ここには見つからない空気の代わりに砂時計のように溜まっていく罪悪感を、花売りの少女がありのままの優しさで譲ってくれた花束で癒すことができたのなら、何かは変わり始めたのでしょうか?

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