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第10話 「草原の過去」と「未来の破片」
哀しみとはまるで割れやすいガラスのようで、いつもそんなガラスの破片が胸に青い炎症を起こして、そんなありふれた心で耳を澄ませた鎮魂歌に、すでに過ぎ去った時で失ってしまったものを探してしまうのなら、心に縫い留められたような物寂しいほどの美しさも、繋がっていくような未来になってしまったのでしょうか?
水になっていくだけの過去が海の中へと月が沈んでいくように心に触れればよかったのに、それはこの世界から月の光が消えてしまうように愛鈴の心に触れてしまったから、見ず知らずの何かさえ誰かからの贈り物であるように届いていきました。