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第1話 「運命の魔法」と「太陽の眠気」
もしも許して頂けるならこれからの物語はゆっくりと丁寧に読んで楽しんでいただければ、これ以上ない喜びです。もう作品の全てを読者の皆様の想像力に委ねているからこそ、そうすることで初めてみえてくるものもあると思いますから。
王立の図書館で新聞を読んでいれば、いつも通りの心地よい太陽に眠気を誘われてしまい、新聞で顔を覆いながら幸せそうにうたた寝をしている青年にーー、
「ねぇねぇ、パパリアン?」
あの時の悩みと結ばれた選択に捧げる振る舞い。満ち欠けの断片が立体交差するほどに遊離した虚偽への贖いと運命に揺れる葉。それでも心の奥を埋め合わせるような生き方に身を委ねるということは、たぶん蜂蜜のように甘い気持ちで。
右隣へと座っているまだ小さな少女が呼びかけてくれたので、青年は驚いたようにしながらも笑顔になって、とても優しい瞳を少女へと向けてあげました。
”もしかしてその魔法の本を気に入ったのかな?”