表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/270

85 放課後は捜索です

 次の日。

 ギルドレア冒険者学園でも、火事の話題で持ちきりだった。

 どうやら放火らしいというという情報も出回っていた。

 野次馬が多かったので、話が広まるのも早いのだろう。


「現場には、あのパジャレンジャーがいたらしいぜ」


 廊下を歩いていたら、そんな話声が聞こえてきてローラはずっこけそうになる。

 そういえば慌てていたから、着ぐるみパジャマのまま教会に行ったのであった。


「女子寮で着ぐるみパジャマが流行ってるらしいよな。パジャレンジャーのファンなのかな」

「パジャレンジャーのおかげで着ぐるみパジャマの売上が倍になったって聞くし、きっとそうだろう」


 実はパジャレンジャー本人なのだが、それを知っているのはエミリアと大賢者のみ。トップシークレットである。

 そして午前中の授業が終わり、シャーロットとアンナと一緒に学食でご飯を食べていたら、火事の話は根も葉もないスケールになって聞こえてきた。


 いわく。

 あの教会では古代の英霊を召喚し戦わせる儀式が執り行われており、パジャレンジャーも英霊であるらしい。

 最後まで勝ち残った英霊とそのマスターの前には大きな龍が現れ、どんな願いでも一つ叶えてくれるとか。

 火事は英霊同士の戦いによって発生したもので、これから戦いはどんどん激化していく――。


「お前が最後まで勝ち残ったら何を願う?」

「ギャルのパンティー」


 凄くしょーもない。

 恋人を作れば、ギャルのパンティーくらい手に入りそうなものだが。

 きっと、英霊のマスターになって激戦を勝ち抜かないとギャルのパンティーも手に入らないような、悲しい人生を送るつもりなのだろう。

 自分はもう少し有意義な人生を送りたいなぁ、とオムレツを食べながら思うローラであった。


「それでシャーロットさん、アンナさん。放課後、あのチンピラ三人を探そうと思っているので、手伝ってくれませんか? あんな極悪非道なことをする人たちをのさばらせておくわけにはいきません!」


「ぴー!」


「ハクもそうだそうだと言っています!」


 今のローラとハクの頭の中は、放火魔を懲らしめることで一杯だ。

 そのためなら、三日くらいオムレツを食べなくてもいいと思っているほどだ。

 

「手伝うに決まってる。私を育ててくれた教会に火を付けられたんだから、当然」


 アンナは力強く頷いた。

 その瞳の奥では、ローラなど比べものにならない怒りが渦巻いているはずだ。


「わたくしもチンピラ捜しには付き合いますが、あの三人が火を付けたとは限らないでしょう? まあ、無関係とも思いませんけど」


「関係しているなら、とりあえず捕まえて事情を吐かせるんです! ごーもんです、ごーもん!」


「ロウソクを買っておこう」


「ロウソクでごーもんできるんですか、アンナさん?」


 ごーもんと威勢のいいことを言ってみたローラだが、実のところ、あまり詳しくなかった。


「溶けた熱々のロウを相手に垂らす」


「ひゃー! そんなことされたら泣いちゃいますよ!」


「相手は悪党。慈悲はない」


「アンナさん、怒ってますね!」


「かつてないほどに」


 人に向かってロウを垂らすなんて恐るべき行いだが、確かに今は心を鬼にすべきときだ。

 しかし、ローラがそんなことをしていると両親が知ったら、どう思うだろう。

 不良になってしまったと泣くかもしれない。

 だが、これも正義のためである。

 女には、人にロウを垂らさなきゃいけないときがあるのだ。それが今なのだ。

 多分。


「ロウソクうんぬんはどうでもいいとして、この広い王都で、どうやって三人の人間を見つけ出すのですか? ローラさんには何かお考えがありますの?」


「そうですね……ああいう悪い人は、きっと悪い人のたまり場にいるはずです。そこを重点的に探していけば、いくら王都が広くても何とかなると思います!」


「その悪い人のたまり場ってどこですの?」


「それは……これから調べます」


 するとシャーロットは呆れたようにため息を吐いた。

 アンナも微妙な表情をしている。


「話は聞かせてもらったであります」


 と、そこにミサキがやってきた。

 グラタンの載ったお盆を持っている。


「ミサキさん、学食の仕事はしなくていいんですか?」


「これを食べたらまた皿洗いに戻るでありますよ。それより、悪い奴のたまり場はともかく、ガラの悪い奴のたまり場なら知っているであります」


「え、本当ですかミサキさん! 王都に引っ越してきたばかりなのに、どうして知ってるんです!?」


 ローラは王都に来てからそろそろ半年になるというのに、いまだどこに何があるのか把握して切れていない。

 というより、これだけ大きな街だと、一生暮らしたとしても全容を知るのは無理だろう。

 だからこそミサキの言葉に驚いた。


「鈍いでありますなぁ、ロラえもん殿。一昨日、一緒に行ったではありませんか」


「え? そんな覚えはありませんけど……」


「ミサキ。もったい付けずに教えて」


「そうですわ。一昨日ということは、わたくしも一緒だったはずですわ。どこですの?」


 ローラたちに囲まれたミサキは、グラタンをモグモグしながら、澄まし顔で答える。


「冒険者ギルドであります!」


「「「ああ……」」」


 瞬間、三人とも納得の声を出す。

 確かに冒険者ギルドは、ガラの悪い連中が集まる場所だ。ついでに色んな情報も集まる。

 もちろん、ローラたちのように上品な冒険者もいるが、戦いを生業としている以上、どうしても冒険者は粗暴になってしまう。

 そんなガラの悪い冒険者なら、本物の悪党のことも知っているかもしれない。

 放課後の予定は、冒険者ギルドでの聞き込みに決定だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もしかして:聖杯戦争
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ