表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界の旅人  作者: KEN-G
3/4

境界の地《エストリア》

chaos 02


国によって最強の称号というのは違っている。

グランディール王国において最強を表すのは、


“賢者”


である。


別の国では賢者は、知に長けるもの。

魔術師の長

魔術を極めし者

などとされている。


賢者と名乗るだけで恐れられることもあった。


グランディールの賢者は

剣技、魔術、召喚術、格闘、知力、体力などの総合力を持って与えられる。


グランディールから境界のエストリアまでの距離はかなりある。


馬など使っていられない。


ましてや、師匠のこともある。


「賢者アスラ=ミスラの名において召喚す」


「その身体は鋼のごとく」


「その翼は風を切り裂く」


「その眼光は全てを見通す」


「その牙は鋭く」


「紅き鱗を身に纏い」


「我が声に応えよ」


紅血竜クリムゾンブラッドドラゴン!!」


私は城門を出て、開けた場所で召喚術を発動する。


大地に光る魔方陣が出現し、紅く輝く。


何かに持ち上げられているかのように、ゆっくりと姿を現す。


その体躯が全てを現した時、魔方陣は砕けるように消えた。


真紅の鱗が夕日を浴びて更に紅く輝き、大きく広げた四枚羽で力強く羽ばたく。


風が巻き起こり、砂塵が吹き荒れた。


私が最も頼りにしている相棒。


「久しぶりだね、クロード。」


紅血竜クリムゾンブラッドドラゴン名をクロード。


『あぁ、久々の現界だ。また争い事か、アスラ?』


低く唸るような声と共に頭に響く声。

彼らは私たちのように言語を発することは出来ないが、契約した者通しであれば脳内に直接声を届けることが出来る。


私はこれを“念話”と呼んでいる。


「いや、あれ以来平和なものだよ。今回は少し遠いところまで一緒に行きたいんだよ」


私の言葉はそのまま通じるので楽だ。


『こんな時間にということは、勇者関連か?』


クロードは聡い。


一を聞いて十を知るとまでは行かないが、私のことを良く理解している。


「大正解だよ。クロード、さすが相棒!」


『アスラはあいつのことになると一直線だからな。非常に分かりやすい。』


私は会話をしながらクロードの上に乗る。


かなりのスピードで飛行するため、クロードの手足と私をロープのようなもので固定する。

そして、風の魔術によって障壁を作り受け流す。


ドラゴンに乗るということはそれなりの準備と度胸、技術が必要になる。


『では、行くぞ!』


クロードの声と共に、左右に大きく開いた翼が羽ばたきを始め、その巨体が宙へと舞い上がる。


「くっ!」


腕や全身にそれなりの負荷がかかり、思わず息が漏れる。


だが、いつものことだ。


気がつけばかなり上空を飛んでいた。

空気は澄んでいる。

夕日が赤く空を染め上げながら、西の山に沈んでいくのを見ながら加速していく。


風の音しか聞こえない。


しばらく飛んでいるうちに、空なは満点の星が煌めいている。


境界の地まで、数時間くらいだろう。

間に休憩も入れなければならない。


私の意図を知っているように、クロードは最速で空を駆ける。


途中、広い山岳地帯にて休憩を取り、境界の地が見えてくる頃には空もしらみ始めていた。


「クロード、ありがとう」


高速飛行は身体にそれなりのダメージを残すのだ。

それをわかった上で私のために飛んでくれた。


『アスラも無理するなよ』

そう言ってクロードは光の粒となって消えていく。


境界の地付近でクロードに降ろしてもらい、

クロードも体を休める為に、元の住んでいる場所へ帰還してもらった。


近くの村まではそう遠くない。


走れば昼位には到着出来るはずだ。



ーーーーーーーーーーーーー




「おかしいなぁ。村が無い?」


方向は間違って無いはずなんだけど。


クロードと離れて数時間。

かなりの距離を走ったり、歩いたりして来た。


なのに、人影どころか建物の影すら見えない。


まるで狐に化かされてる気分。


「化かされてる?………まさか幻術っ!?」


私が気づかない程の幻術?


師匠?

でも、師匠は幻術系得意じゃなかったし。


とりあえず、幻術破りをしてみないと分からない。


魔力を圧縮して、違和感のあるところへ広げる。

魔力に反応して、景色が歪む場所が幻術だ。


「ここかな…?」


私は、しらみ潰しに魔力を放っていく。


数分ののち、蜃気楼がかかっているかのような場所が歪む。


「ここかっ!」


歪みのある場所に私の幻術を叩き込んだ。

ギシギシと軋むような音のあとに、景色が割れる。


周囲360度の景色が変わった。


荒野にいたはずの私は森のなかにいる。


そして、その森には一つの住居があった。


その前に佇む一人の少年。


「あなたは誰?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ