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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

苦労のない穴にさようなら

作者: 誇大紫

一、いなか、の、じけん


 人が人を殺すには、一体どういう理由が必要なのだろう?

 死体から小腸を延々と引きずり出しながら考える。

 何にしろとてもとても大層な理由が必要だと思っていた。思いたがっていた。

 殺人が正しかろうがそうでなかろうが、極度の貧困や虐げられた記憶や何かしらの野望、家系の秘密みたいな――つまり納得のいく大層な理由があるはずだって。

 でなければせっかく誰かを殺す意味がないし、被害者も浮かばれないだろうって。

 でも実際には愛憎や金が殆ど。

 ありきたりでくだらない理由。

 そこには思想もプライドも身も蓋も何のヒネリもないので勿論全然納得もできなくって。

 馬鹿な奴が起こす馬鹿な無計画殺人。

 つまり大半はこれ。


★★★★



 最悪。ああ最悪。

 漏れ聞こえてくる蝉も連日最高記録を叩き出す気温も湿気や熱を溜め込む盆地の十文字町も、全てがいつまでたっても好きになれない。

 窓外にはシャッター商店街が午後の熱気に揺らいでいて。皆、隣町にできたイオンモールに行っちゃってて。観光スポットは管理もおざなりで整備さえされてない古墳がいくつか。この町はもう終わっちゃってる。頭の良い人は皆出て行くから馬鹿ばかりがここにいる。


「だからさあ、省吾ってウチのことホント好きでちょっと離れるとイヌみたいについてくんの。バカでしょー」


 十文字駅前ロッテリアは夏休みだというのに人がとてつもなく少ない。

 私達はそこでいつものように五人で女子会。いや、えすかが来てないから四人だった。


「聞いてる? ゆりさん」


 多分ここにいるメンバーの中で私が最も興味なさそうにしていたに違いない。すぐに阿部(あべ)望美(のぞみ)の方に顔を戻す。

 枝毛だらけの脱色したロングヘア、レゲエダンサーみたいに日焼けした黒い馬鹿が視界に入場。


「聞いてるよ。で、言いたいことって何。それで集まったんだから」


 ボックス席の最奥に陣取った望美は勿体(もったい)ぶって、鞄にジャラジャラ着けたぬいぐるみの一匹、ハローキティを弄っている。洗濯もしないのだろう、黒ずんでいる。

 それから目前のシェーキをストローでこねくり回しながら口を開く。


「……皆にお願いごとがあるの。手伝ってほしいことがね」


 望美は手元の紙カップの柄を追うように、クルクル回しながら話しだした。顔を上げない。


「これは皆のことを信じて話すんだからね。ウチらの絆を」


 私は残りの二人――雪城(ゆきしろ)志寿奈(しずな)(なわ)屠蘇(とそ)弥生(やよい)と目を見合わせた。

 今度は何なのだろう。


「大丈夫。私達は何があっても、のぞんの味方だよ! そういう運命!」


 そう言って志寿奈が望美の手を取ってギュッと握る。

 背の小さな彼女は可愛い。ワンピースを着た、黒髪白肌の妖精。性格はといえばストレートに「良妻賢母」している。夫も子どももいないのに。女子力を計測したらきっと五十三万くらいかな。


「ゆりさんとヤーヤは?」


 望美の射抜くような眼が私と、ヤーヤこと弥生を見つめる。仲間かそうでないかを判断する眼だった。味方でなければ敵にされる。そういう眼。私はぬいぐるみを取り出す。


「のぞんのことは大切な友達だと思ってるし、何があろうと協力するよ。このハローキティにかけて」


 私達は全員、お揃いのハローキティのぬいぐるみを鞄につけている。それが仲間の印だった。

 友情は何も聞かずに肯定することだ。リープオブフェイス。信じて飛べ。これに尽きる。これができない女子は最悪な学校生活が待っている。私は身をもってそれを知っている。


「ヤーヤもそうでしょ?」


 話を振ると弥生はビクリとして、必要以上にコクコクと頷いた。

 汚いスニーカーに、飾り気のないジーンズ。ミッキーの描かれたダサいTシャツ。キャップの後ろから飛び出たポニーテール。この子は無口。オカルトが好きということぐらいしか知らない。あとはよく望美に叩かれることくらい。それがスキンシップなのかイジワルなのか、このグループに入ってから日が浅い私には関係性の判断がつかない。


「あのね、リスカのことなんだけど……リスカって頭おかしかったじゃん?」


 リスカ。最近私達のグループに入ってきた、ここにいない五人目の来海(くるみ)えすか。一切自分のことは話さない。無口というわけではなく、例えば数時間話し込むと、彼女は私の殆どを聞き出してしまう。

 病気で留年したこと。新しいクラスになかなか馴染めないこと。プリンが好き。嫌いなのはカズノコ。でも彼女のことを私は少しも知らないままなのだ。

 それが別に不快ではなくてとてもとても異常なまでに話しやすいから――ちょっと怖い、のだ。


「自殺未遂とかさあ……」


 アダ名はえすかに引っ掛けて、手首(リスト)切傷(カット)が沢山あるのでリストカット=リスカ。まァ本人の前では言わないルールだけど。


「お金返さないし。学校もあんま来ないし、つか誰に聞いてもリスカのこと知らないし。ヘンなの怖がってるし」


 そうなのだ。えすかは極度の暗闇恐怖症で、明るくなければ寝られず、うっかりマンホールの穴や夜の海が視界に入ると奇声をあげて気絶してしまうこともあった。


「で、この前ウチの拓哉と歩いてるの見かけたんだ。ウチ、頭がカーッとしちゃってさ。だってキスしてたんだよ? ウチの彼とさ。もうどうすればいいかわかんなくて……」


 望美は眼に涙を浮かべた。でも普段と違ってボリュームエクスプレスハイパーカールウォータープルーフマスカラを使っているのを私は知っている。流れ落ちることはない。ということは、泣くことを見越していたのかもしれなかった。計画的な涙? 駄目駄目。何も考えずに肯定しろ私。


「ああ、だからリスカは呼んでないんだ?」


 質問を無視して望美は続ける。


「それでウチは昨日、部屋に呼んでリスカに聞いたんだ。『人の彼氏に手え出してんじゃねーよ』って。そしたら『あは、あいつもう別れたって言ってたよ? のぞんが振られたって説得力あったし? にしてもあいつ最悪だねえ。女の穴にしか興味ない。まあタイプじゃないけどお金は持ってそうだし、散々使い倒してボロ雑巾にしてやれ、みたいな。あはは』って」


 志寿奈が悲しい顔をした。この子は女友達が辛い目に遭うことがなにより嫌いなのだ。弥生は怪訝な顔つきで黙っていた。

 何となく空気が暗いので明るくしてみる。


「最悪だねリスカ。ブチ殺してやればよかったのに。あはは」


 望美の顔がパッと明るくなった。


「でしょー! やっぱりそう思うよね…………」

「え?」


 空気が静かになった。空調の音がうるさいほど。望美があまりにも朗らかに話すので皆が理解に遅れて返答も困った。

 でも確かに聞こえた。

 最後に。


 ――だから殺してやったの。


「殺した……?」


 望美はまた不安になったらしく、キョロキョロと私達の顔を見回して泣き顔になった。


「やっぱり皆、怒るんだ? 何でも協力するって言ったのに」

「ううん、ちょっとびっくりしただけ。そうよ、リスカが悪いんだしね……」


 志寿奈がマリア様のように微笑んで、泣いている望美の頭を引き寄せて撫でた。


「ど、どうして殺したの?」


 弥生が震えながら尋ねる。感情の(たかぶ)りがそうさせているのだ。


「わからない。腹立ったから? だって、だって拓哉のことバカだサルだって言うし、付き合ってるウチも単に体目当てにされてるバカだとか死んだ方がいいとかって言うから」


 私は何を迷っている? この半年ほど会話下手からずっと孤立して辛かったのだ。一人はもう嫌なのだ。女友達の言うことは何も考えずに肯定するって決めたはずだ。特にこのグループの中心の、望美には。


「それで、どうやって?」

「喧嘩になって殴ったり蹴ったりしてて、気がついたら包丁がリスカに刺さってて。でもまだ動いてたから首を締めて、体重かけて首の骨を折ったんだけど……」


 望美はしゃくりあげながら上目遣いになる。


「ゆりさん、怒ってる……?」


 涙を流しながらそう言う眼はやはり笑っていない。せっかく話したんだから、裏切り者は許さない。そういう眼だ。私の額から汗が滲む。


「まあ……よく一人で我慢したよ。言い出すのは辛かったろう?」


 私は心にもないことを言った。弥生は何度も頷いた。望美は鼻水でぐちゃぐちゃになった酷い顔で何度も頭を下げた。


「ううっ……みんなありがとう。ごめんね。みんな大好き。ずっと一緒よ?」


 その場にいた私以外の全員が泣いていた。誰のための、何の涙なのだろう。皆が持っているハローキティが揺れる――そう、私だって鞄に着けている。

 私は両目を押さえて泣く真似をした。



二、人間腸詰


 あぜ道を通り、小さな山を登って雑木林を抜ける。汗が噴き出しヤブ蚊が耳元を飛び回る。

 最悪。

 今晩は、この町の人々の殆どが隣町の花火大会に行って出払う。昨日殺して今晩捨てに行けるとは本当に都合が良い。もしかしてそれを見越して……? いやいや、余計なことは考えるな。

 私達は各々荷物を抱えて工場跡地への洞穴の前に立っていた。親切心が足りないと思われるのを避けるため、どんなに軽いものでも分けて全員で持つのが私達だ。

 それが死体でも。

 えすかの死体を捨てるのに地下軍需工場跡地を提案したのはオカルト好きな弥生だった。


「こ、この山はよく身元不明の白骨死体が見つかる隠れた心霊スポットで……動物が肉を食い散らかして誰だかわかんなくなっちゃうんだって。ゆ、行方不明者がたくさんいるんだよ実はこの町。そ、そこの地下工場跡は、いつもは入れないけど何日か前の大雨で周りが崩れてきてて……入れるだろうなって思ってたんだ」


 そう言いながらも、えすかの解体作業のショックで目が虚ろだった。殆ど手伝わなかったことを責められるかとビビって、自ら役に立とうと提案したようだった。

 解体作業は望美の家の風呂場でやった。殆ど帰ってこない父親と、パチンコ狂いの母親なので望美の家はいつもがらんとしている。

 風呂場に行くとあらぬ方向に首がひん曲がったえすかがいたから、「本当に……殺したんだ」とつい声に出た。

 望美は血と脂を熱湯シャワーで洗い流しながらノコギリでえすかを腕と脚と頭と胴体に分割し、志寿奈が頭以外を更に細かく切って粗みじんにして台所の三角コーナー用の小袋に入れていく。袋入りキムチみたいなモノを順に横に並べていくと全体が大きなソーセージのようにも見えた。

 不思議なのは、私がえすかの腹を割いている時だった。小腸の長さときたらまるで身体の奥に別次元の穴でもあるように思える。それを取り除くと子宮が現れる。

 台所から持ち出した万能包丁で、そこを切り開くと微かに金属音がした。光を反射している。取り出してみると十五センチほどの銀の鍵だった。それはどこか不安を掻き立てる幾何学模様が施されていて、触れてはいけないモノのように思えたが――結局私は他の誰にも気づかれないようにポケットにそっとしまいこんだ。

 それは私に相応しい持ち物のような気がしたのだ。この終わっている町と終わっている関係性から抜け出すための鍵。

 首だけになったえすかは微笑を浮かべ、幸せそうにも見えた。案外死ねて良かったのかも?

 頭は殆ど手付かずだが、白骨死体は歯の治療跡などからも被害者を特定できるので、せっかくの美しい顔だったが歯は念のためノコギリの柄でゴツゴツ叩き、折れるだけ折っておいた。

 最終的には大きなゴミ袋四つに分けてそれぞれがトートバッグやリュックなどに入れて運ぶことにした。

 よく洗ったはずだが脂で手がヌルヌルする。どことなく血生臭い気もした。

 林の奥に紛れ込んでいる地下軍需工場跡地の入口は穴を掘っただけの洞穴で、立入禁止と書かれた鉄柵で封じられていたが、やはり弥生の言った通り壁土に僅かな隙間ができていた。

 中に入って懐中電灯で照らすと天井は足の長いカマドウマでビッシリ埋め尽くされていた。ああ最悪。

 洞穴を進むと湿った風が吹いてくる。生臭いのは持っている荷物のせいか、この先の空間のせいだろうか。苔むした壁はしっとりと生温かく濡れて、てらてらと光を反射する。まるで生物の膣のようだ。


 ――「女の穴は地獄に続いている」と言っていたのは何の本だったっけ。


 歩を進めるごとに闇が濃くなっていく。大きくカーブした地下への道は入口の僅かな光さえ届かせない。そして酸味を含んだ風が時折吹いてくる。何かが発酵したような臭気が。

 死体だろうか?

 私は持ってきたえすかの一部を――その重みを意識する。

 先頭の私のすぐ後ろに続くのは志寿奈だ。私の袖を掴み、暗闇が濃くなるにつれその力は痛いほど強くなる。汗ばんだ柔らかい身体が私にピッタリと寄り添い、制汗スプレーの匂いがした。

 更に彼女のバッグの紐を掴んでいるのは弥生だった。


「オカルト好きな癖に怖いの?」


 志寿奈が自分の態度をごまかすように言った。


「こ、怖いから調べるし、怖いから見たいの」


 なるほど。じゃあ死体から見つかった鍵なんかはきっと大好物なのだろうな。渡さないが。


「それにしてもリスカを連れてきてたらこんな暗闇、最悪だったよね」


 私は言ってからしまったと思ったが、二人は特に気にはしなかった。弥生は最後尾を歩いている望美にわざと聞こえるような声で、私に向けて話し出した。


「そ、そういえばこの辺りに伝わる民話でね。えへ。ある男が猟でウサギを追っているうちに、この山の穴に入ってしまったんだって。お、男は力持ちで怖いもの知らずだったんだけど、出口がわからなくなっちゃったんだって。そこで何人かのウロビトっていう――お話の中では説明がないんだけど――そんなモノに出会ったんだって。こ、言葉は通じないの。徐々に近づいて囲まれる。お、男は生まれて初めて『怖さ』を知った。暗闇を駆け回ってそいつらから逃げるうちに何とか出てきたんだって。でも村人の誰も男を覚えてなかったんだって。そ、それから男はちょっとした暗闇でも怖がるようになっちゃって、ある夜、ただの盗人に殺されたんだって」


 望美はそれを聞いて震え上がっていたが、人を殺した女がこれ以上何を怖がる必要があるのか少し疑問だ。


「リスカってこの穴に入ったのかなあ……」


 弥生はボソリと呟いた。


「携帯は……やっぱ圏外かー」


 望美は携帯を開き、とぼけた様子で呟いた。

 洞窟はやがてセメントで固められた通路に変わり、広場に出た。旧日本軍の国旗が描かれている石造りの壁。その下に横書きで「所部究研器兵別特」とある。ドアはないが幾つかの小部屋に分かれていて、所々に空いた穴には動物の骨らしきものも沢山落ちている。懐中電灯の揺れる光に影が踊るので、それにいちいち志寿奈がビクリとする。


「こっちまで驚くんだからやめてよ」

「別に怖がってなんか――」


 突然耳をつんざくような轟音が響き渡った。


「は、花火!?」


 足がふらついて立っていられない。


「違う、地震だ!」



三、復讐


 アタシは夢を見ていた。ていうか思い出。まだゆりさんもリスカもいない時だ。

 どうしてかは思い出せない。ヤーヤがあんまり勝手なことを言い出すからだったかな。あの子のモノをロッカーに隠してやったんだ。

 アタシは夢の中ではナゼかその時のヤーヤになってた。

 靴とカバンを隠されて半べそになりながら放課後の学校中をアタシつまり望美と一緒に探して、三年の掃除用具ロッカーでやっと見つけたところで後ろから蹴られてロッカーに閉じ込められた。すぐにロッカーは紐で縛られて内側から開けられなくなる。

 望美はそのままいなくなってしまって、辺りは真っ暗になっていく――もう眠ってしまおうとヤーヤのアタシは思う。でも眠るとロッカーを外からバットか何かでガンガン叩かれてウワッと目が覚める。続いて望美の掠れた笑い声が聞こえる。それが何度も何度も繰り返されて気が狂いそうな――。

 目が覚めると真っ暗闇でどのくらい時間が経ったのか全然わかんない。どこから暗闇でどこまで土砂で地面なのか全部黒い。目を開けているのか閉じているのかも怪しいような。ゴミ袋を入れたバッグもどこかへやってしまった。

 携帯を入れていたポケットに手が届かない。ゆりさんが持っていた懐中電灯の光がないと、自分のネイルさえ見えない。身体を動かそうとすると右脚から激痛が走った。冷や汗がほっぺたを伝う。そっと動かそうとしてもゴリゴリ嫌な感触がする。多分折れてる。


「オーイ! ゆりさん! ヤーヤ! シズちゃーん!」


 返ってくるのはこだまする自分の声ばっかり。

 どうしよう。

 獣に食べられた白骨死体が頭に浮かんだ。

 泣きたくなってきた。なんでアタシばっかりこんな目に遭うんだろう。彼氏に捨てられて。友達だと思ってた子にバカにされて。

 それでも大丈夫なのは仲間がいるから。ゆりさんは頼りになるし。シズちゃんだってアタシの言うこと聞いてくれる。ヤーヤだって好きだよ。

 ああでもみんな死んでたら?


 何今の音。

 アッハハ……怖いんだけど。

 音が大きくなる――近づいてきてる? 反射的に目をやるがさっぱりわからない。


「だれ。だれかいるの? ゆりさん?」


 小さく地震が起きてパラパラと砂山の崩れる音が続き、アタシの声はかき消される。


「シズちゃん?」


 何かが。誰かが?


 砂を踏む音。


 距離をとって、アタシの周りをグルグル回ってる。見えないけど気配はわかる。息の荒い音がしないから野犬じゃない。

 ……人間だ。

 それともウロビト?

 足音は止まない。アタシをわざと怖がらせてる? それとも隙を探ってる? ふざけんな。

 アタシは手探りで手ごろな石を見つける。やってやる。例えリスカの亡霊でもまた首の骨を折って殺してやるよ。

 その時不意にさっきまでの夢が蘇った。

 ヤーヤだとしたら。

 あの子は何度もロッカーに閉じ込めたから暗闇に慣れてる。だからアタシへの復讐のためにここを選んだ? なんて卑怯なんだろう。

 いいよ。ヤーヤがアタシに反抗しようと思ってたのは知ってるから。ただアタシも殺してやるから。右脚が土砂の下敷きで動けないってハンデを背負っててもね。

 アタシは自ら砂をかぶり息を殺して隠れる。


「ころしてやる」


 アタシは誰にも聞こえない声で決意する。



四、眼を開く


 何も見えない暗闇は、かえって目を閉じた方が怖くない。幽霊だってそこには来れない。来たとしてもそれは幻覚だから。えへ。それがあの狭苦しいロッカーで学んだこと。

 指先の感触。臭いと温度や湿度に集中。湿った風。濃い血の臭い。誰かのゴミ袋が破けたのかも。ブチまけられた内臓は土砂に埋れてきっともう見つかることはない。

 壁伝いに歩いて入ってきた場所を探す。足元が土砂で不安定。いくつかの小部屋に入ってみるけど誰にも会わない。どうも地面が沈下している箇所があるみたい。そこに望美たちが落ちていたとしたら助かるのは絶望的。

 えへ。

 怖いって思いながら、オカルト板に書き込むネタがどんどん増えていくことが嬉しい。殺人犯と一緒に死体を捨てに行って、地震に遭って、それから? 次は? そろそろ心霊現象だろうか? 真っ赤な目をしたもう一人の私がもっと見せろと催促する。

 血の臭いのする方へ行ってみる。血。内臓。腕。脚。連想ゲームで瞼の裏にリスカの死体が動き出す。すぐに眼を開けて消滅させる。自分で自分を怖がらせてちゃ世話ない。なまじ怖い話が好きだからよくない。ウロビトなんかいるわけないんだから。


 肩に何か落ちてきた。


「ひゃあああああ!」


 慌て過ぎて転んでしまう。そのままじっとして、よくよく思い出すとそれが虫だったとわかる。羽音もしたし。


「……えへ」


 また眼を閉じる。

 さっき擦った膝が痛い。血が出てるかも。

 痛いのは嫌い。

 のぞんも嫌い。

 リスカは好きだったのにな。自殺未遂って言ったって彼女はいつも本気で死ぬ気だった。わたしにはそんな勇気はない。どんなに嫌な目に遭っても、一人が怖いから反撃も死ぬこともできない。何か言うと叩かれる。何も期待されていない。

 瞼の裏でまたリスカが手招きしている。嫌だよ。行かないよ。またわたしは瞼に亡霊を呼び出したのか。

 眼を開く。

 でもそこにいたリスカは消えなかった。暗闇に白い顔が浮かんでいた。細切れになった身体が無理やり合体して、ボロボロの口で横を向いて笑っている。リスカの笑い顔なんて初めてみた。一度外れた目玉を無理やり戻したのか、生前の三倍くらいの大きさの瞳。ギョロギョロ動いている。

 わたしは叫び出したいのを無理やり押さえ込んで、小部屋の壁に隠れる。心臓が痛くなるほど鼓動が早い。荒い息を必死に殺した。

 わたしは物陰から少しずつ顔を出して、恐る恐る様子を探る。


 こっちを見てた。


 急いで来た道を引き返してまた別の小部屋に隠れる。向こうから見えただろうか。いやそれは関係ない。

 あれは幻覚あれは幻覚。


 ――じゃあどうして砂を踏む足音がするの?

 ――どうして小部屋を一つ一つ調べるように歩いてくるの?


 観客の自分が容赦無く尋ねてくる。どんどん足音が来る。もう隣の小部屋だ。

 どうしよう。

 どうしよう。

 誰か。

 わたしは耐え切れずに逃げ出した。闇雲にぶつかりながら全力で走っていると、不意に足から抵抗が消えた。心臓がキュッと締め上げられる。

 わたしは落ちていく。



五、衝突心理


 早く皆を見つけなきゃ。私は携帯のライトで照らしながら穴から這い上がる。ヤーヤは携帯を持っていないけれど、のぞんとゆりさんなら持ってるからとりあえず光は確保できるだろう。

 のぞんはこんな時、強いリーダーシップを持っていて頼れる。きっと仲間をまとめてくれる。ゆりさんは一人でも大丈夫そうだ。皆より一つ年上なせいもあるかもしれないけど、大人びて見える。あの長身とミステリアスな雰囲気にはいつも憧れるの。シズちゃんって呼ぶあの声の低さに。

 それに引き換えヤーヤは何もできない。そんなだからいじめられるんじゃないか。今時携帯持ってない奴って何なんだろう。ヤーヤを好きな人っているの?


「……色々やらされて可哀想」


 嫌なことを思い出した私は独りごちて砂を蹴飛ばす。

 あれはのぞんの思いつきで子豚遊びをすることになった時だった。子豚遊びは、何でもいいからゲームに負けると子豚役にされる。子豚役は何をされてもブヒブヒ言うことしか許されず、鼻をフックで吊るして写真を撮られネットに晒されるのだ。

 子豚役はいつもゲームに極端に弱い私で、自然と幹事役を任されることも多いので、自ら買ってきたゲームに負け、自ら買ってきた鼻フックを付けて写真を撮られることばかり。

 別にそれはそういう趣旨だから構わなかった。皆が楽しんでいるのなら、たとえ連続で子豚になって救済措置が無いとしても。そういう運命なのだ。

 でもヤーヤの言った言葉。


「……色々やらされて可哀想」


 お前に言われたくないんだよ! 腹の立つ。

 ゆりさんのことを考えよう。

 とにかく今は誰かと合流することだ。あれから何度かまた地震があった。いつ何が起きるかわからない。全く世話が焼ける。友達の死体を捨てようとした罰だろうか。肌がべたつく。帰ってシャワーを浴びたい。

 携帯を開いて残り充電を見ると七十パーセント。まだいけそうだ。ライトをつけたまま私は小部屋を一つ一つ調べていく……と。

 暗がりに何かいる!

 それはそそくさと走りだした――ヤーヤだ! 良かった、助かってたんだ!

 私は全力で追いかけるが、目の前でヤーヤは穴に滑り落ちていく。慌てて手を伸ばしヤーヤの手を掴んだ。携帯を放り出し、もう片手で壁の出っ張りを掴んだ。


「ヤーヤ。大丈夫!?」


 間一髪だった。ヤーヤの後ろに底の見えない真っ暗な闇が広がっている。


「え! あ、リスカじゃなかった……? いやシズちゃん! ありがとう!」


 私達は二人してホッと一息ついて軽く笑った。しかしヤーヤの顔色が変わる。それは多分私の無表情を見たせいだった。


「あの……シズちゃん?」


 何故だろうヤーヤの顔を見ていると無性にイライラしてくるのだ。

 可哀想? 本当の子豚はお前だろ。本当の子豚はお前だろ。本当の子豚はお前だろ。お前の運命は子豚だ。


「助けて……助けて……」


 私は手を離した。彼女は大きな穴へ吸い込まれるように落ちていった。

 金切り声を喚き続け、しばらくして地面に叩きつけられる音が暗闇に響いた。



六、月蝕


 頭にコブができているのを考えるに、私は崩落した岩にぶつかって気を失っていたらしい。恐る恐る頭を触ると湿っていて、手を舐めると血の味がした。

 フラフラする頭を抱えて懐中電灯で周囲を照らすと土砂に半分埋れている望美らしき姿を見つけた。すぐに近寄る。

 う。

 顔がグチャグチャになって何かに食い散らかされている。片目がこぼれ落ちていた。

 足跡が周りに大量に残っている。野犬というには大きすぎる、まるで「人」のような足跡。


「あっ! ゆりさん!」


 振り向くと志寿奈がいた。頬が紅潮して肩で息をしている。


「やった。やっと会えた……! 運命! ウチら、何があっても友達だよ!」


 出会えたことにテンションが上がっているのか、べったりくっついてくる。


「早く出よう。何か気味が悪いんだ……」

「え? そうだね!」


 懐中電灯と携帯のライトを頼りに周囲を確認すると、入口とその周辺が埋まってしまっているのがわかった。

 仕方なく調べながら奥へ奥へと進んでいくと、机や戸棚がある末端の小部屋に行き着いた。


「どうしよう。もう出口がないよ?」


 そう言う志寿奈はどこか楽しげで、本心から困っている様子ではなかった。


「もう私達だけだね」

「いや、弥生がまだいる」


 志寿奈が舌打ちした。聞き間違いかもしれなかったが。

 ん?


「ちょっと待って。風の音がする」


 私は室内をくまなく歩き回った。風の音は一部の床板から聞こえていた。床板に小動物程度なら出入りできそうな僅かな穴が空いていて、音はそこから聞こえるのだった。


「音がするってことは、この下に空気の通り道があるってことだよ。外に通じているかもしれない!」


 音がする穴の周辺はナメクジの体液のようなもので光っていて、触ると糸を引いた。床板を取り除くと、地下への急な階段が現れた。降りて行くと天井が低いので息苦しい。そしてこの地下に来た時に感じた臭気は次第に濃くなっていく。

 軍需工場時代の名残りだろう、階段下の扉には「止禁入立」「禁厳放開」と古臭い明朝体の文字が右から左に記されている。隠された床下にある場所。


「なんか行きたくない……」

「シズちゃん」


 志寿奈はパッと顔を上げた。まだ何も言っていないのに嬉しそうだ。


「気持ちはわかるけど、ここでこうしてても仕方ないんだよ」


 扉は近づいてみれば実は半開きで、体をすり抜けられる程度はあった。やはり扉の周辺には粘つく液体がついている。

 恐る恐る進むと、中は更に階段だった。地上から考えるとかなり地下深い。本当に出られるのかと不安になってくるが……。

 しかし今度は石段だった。壁はゴツゴツとした単なる岩になり、土の臭いと埃っぽい空気。まるでこれは――。


「遺跡?」


 志寿奈は岩壁の肌触りを確かめる。


「古墳らしいな。この町には全然手のつけられてない古墳が沢山あったから」


 管理されていない観光資源。もしかして旧日本軍のタブーだから管理できなかったのかもしれない。


「でもなんで軍需工場跡が古墳に繋がってるの」

「逆に、この古墳のために工場が作られたのかも」


 志寿奈は息を呑んだ。


「どうして」

「わからないよ、そんなこと。とにかくまァここは埋葬された場所に続く羨道(せんどう)ってことか」


 階段横の壁には装飾が施されており――沸騰する溶岩のような生物のような――薄気味悪いものが描かれている。

 その下に、この町に古くから伝わる十文字形を刻まれた人間が描かれているので、どうも薄気味悪いそれはこの辺りの人間が遥か古代に崇めていた神らしかった。

 壁画は何かしらの歴史が描かれているようだったがよくわからなかった。巨大な女性の子宮に入っていく手脚(てあし)の長い人間達、そして神が鍵をそこに残している絵が強く印象に残った。


「私さ、ゆりさんのこと好きだったんだよね」


 唐突に何を言っているのか。


「や、死ぬかもしれないからさ。それでヤーヤは嫌いだった。のぞんのことは……」


 無視して玄室(げんしつ)に入ると、大量の甕が並んでいた。中には一つ一つ人間ともつかない奇怪な軟体生物がタコツボのように収まっていた。時折、粘液だけを残した空のモノもあったが。その奥の壁にはCの字が逆になった月蝕の月とこの町の十字紋章がある。

 その下に「門」があった。それを縁取るように光が漏れてきているのを見る限り、どうやら外に繋がっているらしい。

 私の足は引き寄せられ、ポケットから銀の鍵を取り出していた。門に反応して、それは眩い光を放っていた。更に甕からぬろぬろとまろび出てくる鈍い軟体生物たち。

 ツンと鼻を突く吐き気を催すような悪臭が辺りに立ちこめた。

 腕を掴まれたので反射的に手を引く。志寿奈だった。


「どうしたの。あいつら何なの。怖いし戻ろうよ。別の所から脱出しようよ。ね、そうだ。脱出できなくても私と一緒にここで……」


 何をトチ狂ったか言い出した彼女を押し退ける。私は門に魅せられていた。叫び声がする。彼女が甕から出てきた亜人間にボリボリと食われていくのも気にはならない。

 銀の鍵を嵌めるとうまく開いた。

 外へ。この終わってる町から外へ!

 しかし門の先は外ではなかった。

 そこには視界いっぱいに、玉虫色に光り輝く泡の不定形生物がいたのだ。その中に古今東西の全世界があった。あまり見ていると頭がおかしくなりそうだった。それでもそこにあるのは間違いなく「ここではないどこか」だった。

 私はそれに吸収され、通り抜け、昇華し、循環し、作り変えられ、そして一瞬にして宇宙に飛び散った。



七、少女地獄


 新しい世界。

 陽の光に目を開くと、そこは地下軍需工場跡の入口だった。私達が入っていった隙間は無くなっていた。それどころかあれほどの地震があったというのに、周囲は何事もなかったように元通りになっている。

 立ち上がって気づいたが自分は高校の制服だった。新品同様で、知らない財布も入っている。

 駅前に向かうと、この町のどこにこんなにいたのかというほど人だかりができていて、わあわあがなりたてる選挙カーが中心にいた。


「しかし、私は信じています。必ずこの国が良くなることを。いいえ、私が良くするのです。希望を私に! 皆さん、逃げ出さないでください! ここ十文字町出身の私に! 来たる六月二十三日の投票日に向けて……」


 六月二十三日。

 私達が地下に行ったのは八月。

 選挙カーに立っている男には見覚えがあった。それは彼の当選を町中が喜んだ記憶があるからだ。しかも去年ではなく今年。たかだか二ヶ月前に。

 つまり、私は二ヶ月と少し前に戻ってきたということなのか。


「この三日月と十字にかけて誓います!」


 当選する予定の男が高く掲げたのは、古墳の奥で見た二つの紋章と全く同じものだった。あれを崇めているということなら危険なのだろうが……この町の人々はあの男を自然に受け入れていた。

 男の隣に小太りの老人が現れた。男よりも拍手が大きい。教祖だろうか。人々は大歓声と熱狂でその有難いお話を聞いていた。お隣のお婆さんや私の両親も涙を流して喜んでいる。

 二ヶ月前、私の知らないところでこんなことが起きていたなんて。この町は本当に最悪。

 両親に話しかけたが無視された。腕を掴むと「あなたどこの子? 今は学校のある時間でしょ」と本気で怒り出した。

 私は何か言おうと口を開いたが、結局言えなかった。何がなんだかわからなかったが最悪に悲しい。

 どこに帰ればいいかわからず、警察に駆け込んだ。薬物反応とか記憶喪失とか様々なことを検査されたが結局何もわからなかった。

 トイレに行き鏡を見ると、まるで自分が別人のように思えた。よく知っている顔なのだが、別人のような。元の自分の顔が思い出せなくなってきていた。

 私は戸籍もない人間だった。

 それから施設で暮らすうち、新しい私としての生活が始まり、過去の記憶は徐々に失われていった。自分が着ていた制服をヒントに、同じ制服の高校に入学させてもらえた。

 友達も何人かできた。

 とりわけ話が合うのは長身のゆりさん。

 そんなある日、洗面所の排水口を掃除しようと覗き込んだ。

 そこに蠢く泡立つ黒い肉。一瞬で私の首に巻きついて締め上げる。剥がそうとしてもタコの足のように先端まで強靭な力を持っていた。私は自分の首の骨がミシミシという音を聞く。

 そして、折れた。

 薄れゆく意識の中で、私は黒い肉が素早く排水口へ戻っていくのを見る……。

 目が覚めると、私は同じ場所に倒れていた。首を確認すると締め付けた跡はやはり残っていた。

 それから穴や黒い海を見るとそいつがやってきて何度も私を殺した。そいつは私が精神的におかしくなっていくのを楽しんでいるようだった。

 私は暗闇を見れば絶叫をあげて気絶するようになった。

 暗闇はこの世のどこにでもあって、逃げる場所などないのだ。強い陽光を浴びればそれは私の後ろにさえ生まれる。

 首を吊ったのは三回、飛び降りは二回、手首は二十回ほど切った。

 私は、死ねなくなっていた。

 どんな悲惨な時もじっと横になっていれば下腹部を中心に回復していく。

 同時に私の身体には穴があることに気づいてしまう。全身に穴があるのだ。とりわけ大きな穴は膣だった。

 覗き込んではいけない。

 そいつはまるで私から生まれるように出てきて、そして何度も私を絞め殺す。

 同じ施設に暮らす子たちが、廊下の暗闇を潜り抜けるとそいつに変わっている。隣に寝ている子がそいつに変わっている。

 戸棚に、机の下に、帽子の中に、トイレに、林の奥に、揺れるカーテンの裏に、消したテレビに、そいつは潜んでいる。

 それは私以外には見えない。

 自殺では死ねない。

 そいつに殺されても死ねない。

 あとは他の誰かに殺してもらうしかないだろう。


「そうだ。自殺じゃ駄目なんだ。殺してもらわないと……」


 私は友達グループのメンバーを思い浮かべた。誰も彼も人を殺しそうな気がする。しかし殺してくれといって殺してくれるような子たちには思えなかった。

 さあ考えよう。


 人が人を殺すには、一体どういう理由が必要なのだろう?

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― 新着の感想 ―
[一言] 再度すみません、ふさふさしっぽです。 丁寧にご説明いただき、ありがとうございます。なるほど、納得です。ループのはじまり、銀の鍵、ゆりさんの心情について等、よくわかりました。 活報の方も拝見…
[一言] 早朝失礼します。 大変面白く、また、おそろしかったです。 ストーリーの運びや、構成がすばらしく、いい意味でよく計算されているように感じました。七、少女地獄、が効いていますね。これでリスカ…
[良い点] 強いインパクトと吸引力のある作品でした! これまたガラリと風変わりなお話。何とも言えない不気味さと、少女特有の残酷さが相まって、まるで泥沼にハマったかのような絶望感。良いですね~! 舞台が…
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