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Grandissez  作者:
6/7

5#ぎりぎり1年以内セーフ!いや完全アウトォォ!!!




えー……


もはやここまでなったら…




もう何も言うまい




ただ1つ言うとしたら、『死罪』でしょうか













とある東京のビルの間に放課後の学生男女の影が見えた



「「…………」」



先程から二人の間に会話はない



(……やべー…こいつさっきから一っ言も喋らねぇぞ

こりゃやっぱり今朝のこと根に持ってんな)


(……さっきから波弥斗一言も喋らないな

今朝のことはもう『そんなに』気にしていないのに…

やっぱり僕が怒っていると思っているんだろうな…)



食い違っているようでお互い相手の考えていることを当てていて…


全く息が合うんだか合わないだか……


二人はそんな感じに淡々と足を動かした

だがふと思い出したかのように共架は顔を上げた


「そういえば…さっきの『お嬢様』っていうのは…何だ?」


普通に受け流していたが今思い返すと違和感のある言葉だった



「だってお前スポンサー…つーか社長の1人娘なんだろ

金持ちだろ、お嬢様じゃん」



クルリと振り向くと波弥斗は共架を見ながら口を動かした


(何だか嫌な響きだな…)


心の中で自分の心情をつぶやくと目線を外した



「まぁ…そんなことより僕の家ももう少しで見えてくるが

今の時間ちょうど父様とうさまがいるんだ。挨拶していけ」


「何で命令系?するけど……」



少し気になったがあまり気にもせず2人はその後は黙って10分程歩いた


しばらく歩いていくとこの街の中でもっともでかいんじゃないかと

思われる高いビルの前へと辿りついた


「ついたぞ波弥斗」


ビルの前で足を止めた共架は波弥斗の方へ振り向き一言教えてくれた


「?何このでけービル」


「僕の家だ」


はい!?思わず聞き返した波弥斗はビルをもう一度じっくり眺めた


どこからどう見ても超立派な高層ビルだ、おそらくこの街一番の。


「何をボヤッとしてる、さっさと入るぞ」


普通に言ってのける共架の後を少し急いで波弥斗は追いついて中に入っていった



中に入ると多くのサラリーマンなどOLらしき人達がいた


そしてこちらの(共架の)存在に気づくと歩いている人も急いでいるような人も

きちんと立ち止まりあいさつをしていった



「共架様お帰りなさいませ」


「ああ、ただいま」


「共架さんお帰りなさい、この後は仕事場の方へ?」


「いや今日は行かないんだ」



1人1人のあいさつにこれまた一つ一つ大事に返していく共架を

波弥斗は意外そうな感じで眺めていた


「?何だ?」


「いや…お前意外と丁寧な奴なんだな」


意外とは余計だ、と言いながら共架はエレベーターの方へ案内してくれた


だが波弥斗は何かの用を思い出したようにちょっと待っててくれと言い

ビルの出口の方へと向かった


(…めんどくせーけど…社長に会うなら手土産の1つぐらいいるよな…)


小走りをしながらビルのすぐ横にあったお土産屋へと足を運んだ


お土産屋につくと波弥斗はレジのすぐ横にあった“当店オススメ”という

札が張ってある8個入りの饅頭を最後の1個ということもあり手を伸ばし…



ガシッ



「「ん?」」


その饅頭の箱を掴んだのは、波弥斗一人ではなかった


同時に箱を掴んだ主と声を揃えて振り向くと目の前にはヒゲを生やしている

50すぎくらいのサラリーマン風の男がいた



「あの、すいませんけど手離してもらってもいいですか?

俺が先に持ったんで…」


「いやわしの方が先に持ったから、わしの方がこの饅頭のこと好きだから」



何の主張だろうか、とりあえずその一度の言い合いが

二人の喧嘩の幕を切って落としたのは確かだった



「…饅頭が好き?何それあんたは好きでも饅頭はきっと嫌いだよ

おっさんなんかより俺みたいなぴっちぴっちの男子高生に

食べてもらった方が饅頭も幸せに決まってんでしょが」


「貴様みたいな若僧が饅頭の何を知ってるんじゃ

貴様みたいな軽そうなチャラついた奴なんかよりわしのように

饅頭の奥の奥まで知ってる奴が食べるのが相応しいに決まっておろうが」



お互いの顔には一つ一つ怒りのしわが増えていく


2人の両手に握られている饅頭は今にも引きちぎれそうだ



「いい加減にしろよクソジジィ!いいからさっさと譲れや!

饅頭なんかもう錆びるくれー食ってんだろーが!!」


「黙れクソガキ!!饅頭はな!年をおうごとに

その本当の味が分かるようになってくるのじゃ!!」



しばらくまた睨み合っていたが次の瞬間波弥斗は

自分の学ランのズボンの後ろに入ってた薄い長財布を取り出した


「おばちゃん!釣りはいらねぇから俺にくれ!!」


おそらく今の波弥斗にとって全財産だと思われる千円札を出した


波弥斗と言い争いをしていた男はそれを見ると懐から財布を取り出した


「マダムお釣りはいらないからわしにくださらんか?」


余裕そうな、不敵な笑い方をしながら男が差し出したのは一万円札


(なァァ!?諭吉だとォォォ!?)


金に餓死している今の波弥斗にとって一万円など透明な存在に近い



「あいよっ」


「うわぁっ!?ババァてめー!!」



あっさりと気持ちより金の方をとった女性(老婆だが)に

波弥斗は思わず叫んでしまった


「いい気味じゃな小僧、はっはっはっ」


男は嫌味な感じで笑うとそそくさとどこかへ行ってしまった



(あ……あのくそじじィィィィィィ!!!)











「遅い!何をしていたん君は!」


「いやあの…だから手土産を……」



さっさっと買って戻ってくるつもりだったのに先程の男のせいで

随分と遅くなってしまった波弥斗に共架は怒鳴りつけた


上へ向かうエレベーターの中で共架の説教は続き、全部あのおっさんのせいだと

波弥斗は思い出しては苛立ちを覚えていた


「僕が日常生活を送ってるのはここの最上階だけなんだ

最上階から下の階は全部父様のこの会社のオフィスになってる

父様の社長室は最上階のすぐ下だ」


まぁ直接的には僕は最上階以外関係はないけど…


怒りがだいぶ収まってからは共架はこのビルの軽い説明をしてくれた


街中のビルの最上階なんてこいつガチのお嬢様だな、と心の中で

納得しながら波弥斗は共架に続いてエレベーターを降りた



「てか、最初に親父さんにあいさつなわけ?

ここ最上階じゃないよな?」


「ああ君が遅くなってしまったせいで父様が取引先に行く時間が

近づいてしまったからな。先にあいさつだ」



目の前には茶色の大きな両扉、社長室という札


「父様は時間を押しているから素早くあいさつをするんだぞ」


波弥斗の少しの心の準備など気にせず共架は素早く扉を開けた



「「あ゛」」



扉を開けた波弥斗の目に映ったのは先程自分が逃した饅頭を食べている

自分の苛立ちの元凶がいた。





「ま、待てよ柳神…こ、こいつがお前のお父様…?」


「こいつと言うな。失礼な奴だな」




ドカッ!!!




「共架ァ!!」


「ぐぼっ!」



あいさつをしていた波弥斗の顔を思いっきり踏みつぶして

共架の父と思われる男は共架の元へと駆け寄った



「と、父様ただいま…」


「共架!今日もほんと目に入れても痛くないぐらい

可愛い我が愛しの娘共架!なぜこのクソガキと一緒に!?

それに父様じゃなくてパパといいなさい!」



たじろく共架の肩をがっしりと掴み共架の父は、ど迫力で必死に訴えていた


その横で波弥斗は自分に言われたと思われる言葉を心外という顔で聞いた


「と…パパ様、こいつが昨日話したやつです」


「はぁ!?」


驚いたように声をあげて共架の父はグルリと波弥斗の方へと方向転換して、

今度は波弥斗の両肩をがっしりと掴んだ


黙っているがその顔は何かを訴えるような怒りに満ちていた


「……認めん」


「なっ…!?」


突然の呟きに思わず驚きの声をだした波弥斗だったが

目の前の男は続けて今度ははっきりと話し出した



「だからァ!!お前が共架の元で働くなんて認めんと

いっておろぉがこのばぁかもん!!!」


(ええっー!?)



先程共架に言っていたぐらいの大きな声で共架の父は叫んだ


その言葉に、波弥斗だけでなく共架までもが驚きを隠せないでいた


「父様!?何を勝手にー「だぁってぇ!」



広貴君みたいな真面目な性格もいい子なら何か問題も起きなさそうだけど!


こぉんなクソウザい生意気なガキと一緒に仕事なんてしたら


わしの可愛い共架が襲われちゃうかもしれないじゃーん!



「「………」」


目の前のおっさんの訴えを、若者二人は呆れた顔をして聞いた



「ざけんなクソジジー!てめぇ饅頭1人で全部食いやがったな!!

てめぇの娘なんざこれっぽっちも襲う気にならねーんだよ!」


「君は何を言ってるんだ!いちいちむかつくことをいうな!!」


「このクソガキャわしの大事な娘を侮辱しおって…!!!」



なんだかだんだん話がややこしくなってきたが、

とりあえず波弥斗はやっと掴んだと思われるバイトまで危うくなったと…


フォローしてくれそうだった共架も先程の波弥斗の言葉により

8:2で父親の方への味方へついてしまったようだ



「だったら貴様!今からわしと共架をかけて勝負しろ!!」


「なんでだぁぁぁ!!」



訳の分からないことばかり言う共架の父に波弥斗は盛大にツッコミをした



「わしと勝負して勝てたら共架の元で働くのを許してやろう

だが、負けたら今すぐわしと共架の目の前から消えろ!」


「このクソジジィ…人の意見も聞けっつーの…!!」



社長だからか…人の意見を聞かないのは…


社長だからか…なんて自己、中心的なんだ



「大体何で勝負すんだよ!かけっこか!?玉入れか!?

どっちにしたっておっさんじゃ俺に勝てるわきゃねーだろ!!」


「なんだとクソガキ!わしはこう見えても学生時代…「父様」



二人での言い争いに夢中になっていたら突然横に居た共架が口を挟んだ


落ち着けとでもいってくれるんだろうかと少し期待もしてみたが…


「父様落ち着いてください

父様が勝負なんかして何かあっては遅いでしょう」


「うっ…」


そうそうもっと言ってやれ、などと心の中で波弥斗が呟けたのも束の間


クルリと体の向きを変え共架は波弥斗を見た



「波弥斗との勝負は…父様の代わりに僕がしましょう」


「そうそう…ってえ゛!?」



まともなことを言っていた共架の突然の問題ワードに思わず反応した


焦りながらどういうことだと問うと落ち着いた顔で共架は返してくれた



「僕もまだ君のことはまったく知らない

この勝負とやらで広貴が君に興味を持った理由を

少しでも理解できるかと思っただけだ」


(おいおい…マジかよ…)



その場で動けなくなってしまっている波弥斗をほっておいて

目の前の社長親子2人は勝手に話を進めていた





この2人は間違いなく親子だ




心のそこからそう思った波弥斗(17)でした。







大丈夫!誰も待ってないから!


そう考えながらもいくらなんでもやりすぎたとほとほと思っている灘です。


詳しい詳細はブログにて(←ちゃっかり)


たぶん1度死んだ方がいいのではないでしょうか笑



それではまた(ほんとに)いつか!



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