3#仕事先での発言にはご注意を
今回色々決めることがあって少し更新遅くなってしまいました…
だけど今回は新キャラ続々登場です!
どうか面倒でしょうが着々と覚えてくださったら光栄です♪
それではどうぞ!
富士見高校の校門。その校門にもたれかかっている一人の男子生徒がいた
緑色っぽい黒髪に黄色の瞳の二年六組へ来た転校生だ
そんな彼を少し離れた所から下校する生徒達は見たりしていた
「ねぇちょっと誰あの学ラン顔かなりイケてることない??」
「あーあれ二年に来た転校生よ確か『悠基波弥斗』って言ってた」
先輩からも後輩からも同学年からもそんな風に興味を示されている当の本人は……
……あー…黒豆食いてー……
現役高校二年生男子とは思えない黄昏方をしていた
何故彼がこんな所で部活をする様子もなくいるかというと…勿論広貴待ちである
帰り…広貴の部活が終えると広貴がバイト先に案内してくれるというので
最初は部活が終わるまで見学がてら武道場にいれば良いと広貴が言ってきたが…
何だかそれだと入るつもりでいるように思われそうで嫌だった波弥斗が断ったのだ
そんな感じで波弥斗は現在部活が終わるまでの長時間一人で校門で待っていた
(……はぁ)
もう部活が終わる時間はきてるはずなのでそろそろ出てきてもいい時間なのだが、
中々出てこない広貴に波弥斗は心の中で小さくため息をついた
すると………
「悠基!!!」
今この学校で唯一覚えがあるその声の主…そして自分を待たせていた張本人。
振り向くと、そこにはだいぶ急いでいる様子の広貴が走って向かってきていた
「……よぉ遅かったな」
自分の目の前にきて息を整えている広貴に向かって、波弥斗は声をかけてみた
「悪ィ!!ミィーティングが長引いちまって……」
本当に申し訳ないと思っているのだろう。広貴は両手を顔の前にして謝った
え何?このパターンどっかで見たことあるんだけど……
そう、彼氏がデートの待ち合わせに遅れて彼女に謝るあの定番シーン
波弥斗はその考えにいたった自分を心の中でボコボコにした
「何があってもそれだけは絶対にねぇ」
「?何が…?」
何でもねーよとボソリとつぶやくと波弥斗は広貴の行く方向へとついていった
#
街中をヒタヒタと歩きやってきたのは都心の端にある小さなビルだった
横にあるたて看板を見るとそこには
『鼠捕り屋』
と書いてあった。
「……お「何も言うな」
言いたいことは分かると言わんばかりの広貴の言葉により波弥斗の言葉は塞がれた
(いやでも……ねずみとりって…)
さすがにそれは、と波弥斗は心の中で思った
広貴は今時手動の扉のビルを開けて中に入るとそこは錆びれた廃墟のようだった
横にあるガラスは割れているものもあるし端にある赤いソファは破れている
目の前にある受付のような所は埃まみれで誰かが最近使った形跡はない
電気も通ってないし…というより電球が壊れていた
まさに唖然。
目の前の光景を見た波弥斗は言葉も出ない様子だった
そして次の瞬間クルリとユーターンすると波弥斗は勢いよく走り出した
「いやちょっと待てェェェェ!!!
ちょ…おまバイト先探してんだろ!?」
「放せェェェ!!!俺が紹介してもらいてーのは儲かるバイト先だ!!
悪ィけどこんな明らかに儲けがなさそーなトコ一秒もいたくねぇ!!!」
入り口付近で騒いでいるその声は…辺りが静かなだけにとても響き渡った
「ちょっとちょっと!何してんすか!!
そんな所で!」
「「へ??」」
二人の言い争いに口を挟んだのは、眼鏡をかけた私服の若い男だった
「新太郎!」
広貴はその男の名前を呼ぶと急いで駆け寄った
「新太郎!こいつ!!今日からここで働きたいって言ってるんだ!」
「言ってねーよ!!俺は絶対こんなトコじゃ働かねーぞ!!」
すると新太郎と呼ばれる青年ははははと苦笑いをした
「まぁともかく中に入ったらどうですか?
それに働くか働かないかはボスにあってからでも遅くないでしょ?」
新太郎の意見に波弥斗はうっ…と何も言えなくなってしまった
確かにそうだけど…と文句を言いながら波弥斗は二人の後についていった
歩いていくとやはり埃まみれで人が仕事しているような雰囲気は少しもない
だが受付の所までくると横に階段があることに気づいた
小さな明かりが点々と付いている階段は埃もあまりなく
普段から誰かが通っているように思えた
黙って上がっていく二人の後ろを波弥斗も黙って歩いた
おそらく二階と思われる位置についた頃、波弥斗は目の前の扉に気づいた
「ここが仕事場っつーか……まぁオフィスだな…所謂」
歩き出してから初めての広貴の説明に波弥斗は振り向いた
そして…波弥斗は一度一呼吸をすると扉のとってを握った
「……………」
扉を開けての第一印象は『眩しい』であった……
目の前に広がったのは先程とは暗がりとは一変したまともな電球がある部屋
靴を脱がなくてもいい所を思うとどうやらここに直接住む訳ではなさそうだが…
パッと見た所畳14畳といったような広さでその6畳は靴を脱いであがる所
靴を脱がなくても良い部分にはソファが二つと長方形のテーブルが一つある
「……どうだ?俺等のオフィスは」
少しボーッとしてると広貴の少し誇りげな声により我に返った
「…え、あ……ちょっと秘密基地…ぽい…な……」
戸惑った感じの波弥斗の印象に広貴と新太郎はくすっと笑った
「広貴それに新太郎も…おかえりなさい」
すると今まで気づかなかったが靴を脱いであがる所に人が一人いた
前髪で左眼が隠れている黒髪のショートヘアーでコバルトブルーの瞳の…美少年だった
上は白いラインが入っている黒いジャージで下は少しでかそうな膝より少し下の半ズボンがとてもよく似合っている
「珍しいですね一番最初だなんて…」
「ああ…今日は部活が早く終わって……そいつは?」
新太郎に話かけられ、その少年は立ち上がりながら波弥斗の存在に気付いた
「あ『柳神』!こいつ今日からここで働きたいって言ってる悠基波弥斗!!」
「ちょ…!?」
「へぇー確か玄も今日新しい奴を連れてくるって言ってなかったか」
柳神、と呼ばれた少年はハイカットの靴を履きながら返事をした
「…ん?なぁそのボスは何処にいるんだ?」
ふと思った広貴はあたりをキョロキョロ探した
「あぁ……玄ならさっき…「よぉーただいま~」
答えようとしてくれた柳神の声を気だるそうな男の声が塞いだ
「何だ何だァ?全員そろってんじゃねぇか……」
声の主の方を見ると先程波弥斗達が入ってきた扉から一人の男が入ってきていた
年は…20代後半くらいのねこっ毛のひどい男だった
「玄、おかえりなさい」
「おお…お、こいつか?広貴の言ってた新人っつーのは」
そう言いながら目の前にいた波弥斗の頭を
グルグルかき回しながら男は耳心地の良いゆっくりな口調で言った
(……あれ?)
かき回された瞬間波弥斗は既視感…いやデジャヴのような物を感じた
「歓迎するぜ坊主」
「ぁ……はい……」
ニッと歯を見せながら笑った玄に波弥斗は何も言えずに頷いた
「さて、俺の方も新しい奴を連れてきたんだ。おーい入って来ーい」
波弥斗の頭からパッと手を離すと扉の方を示しながら玄という男は言った
ガチャ……
扉から入ってきたのはまだ13~14あたりと言った…外国人の女の子だった
肩までの金髪に青い瞳のまるで人形のように可愛らしい子だった
「こいつは俺の知り合いの娘でな
しばらく預かることになっちまったからここで働かせることにした
ほら…挨拶は?」
「『シェリー・カスタード』とイイマス皆さんよろシク……?」
少女の挨拶は慣れない日本語を頑張って言っているとても健気なものだったが…
その挨拶は途中で途切れた
「おイ…?何しテル……?」
「何も言わないでください」
気が付けば少女の白く小さい右手を広貴が膝をついて握っていた
「シェリーさんと言うのですね
初めまして小宮広貴と言います。あなたに会うために…生まれてきました」
((((ええ~!?!?))))
波弥斗、玄、柳神、新太郎の4人が揃えて心の中で脱力した声を出した
「お…おい……小宮くん?何言って…「一目ぼれだ」
何とか口にできた波弥斗がツッコミを入れようとしたが即座に塞がれた
「俺は…今まで17間女を好きになった事がなかった……
だが、今日その原因がやっと分かったよ」
一度は目線をシェリーから外した広貴だったがすぐにまた視線を戻した
「すべては…この時のためだったんだ!!!」
ゴンッ!!!
「いきなり純粋なシェリーちゃんに何してくれてんの広貴」
突然の玄からの攻撃により広貴は頭から血を流しながらその場に倒れた
「げ…玄チャン……こ…コイツ急に倒れ……」
「気にするなシェリー
お前という大きな未来ある存在のための小さな犠牲だ」
驚いているシェリーの横で玄はさも当然のように言い張った
「全く……玄その広貴誰が片付けると思ってるんだ」
「嫌問題はそこじゃないでしょ!?何言ってんですか!!」
「…ってめぇ!!ボスでもやっていい事と悪い事があんだろがァァァ!!!」
その後、起き上がった広貴は部屋の中で玄と追いかけごっこしたり…
柳神の若干ヅレている発言に新太郎がツッコミをしたりと騒がしくなった
「………」
その様子を波弥斗は呆気にとられたような表情で見ていた
クスッ……
だが…波弥斗は抑えきれなくなったのかつい笑みがこぼれてしまった
「…お」
それは昨日から見た波弥斗の中で初めてみた『本当の笑顔』のようで……
……これから宜しく『広貴』
#次の日
富士見高校の校門をくぐった二人は何だか昨日より仲良さそうに話をしていた
「しっかしお前まさかロリコンだとは思わなかったな~」
「ロリコンじゃねぇシェリーさんが可憐なんだよ」
あの後波弥斗は広貴の部屋に泊まり後のことは追々決めていく事になった
「…そう言えばよーあの柳神って奴どこ住んでんの?
昨日はあいつそそくさと帰っちゃったし」
波弥斗はあの後メンバーの事を色々と知ったりしていたが
柳神君だけすぐに帰ってしまったのだ
「柳神?柳神は…お!柳神!おーっす!」
「え?あいつどこいんの??つか同じ高校だったわけ?」
不思議そうに波弥斗は広貴が大きく手を振っている方向を見た
「ん?ああ…おはよう広貴。波弥斗」
「…………」
静止。
波弥斗はその瞬間静止してしまった
「…?何だ?波弥斗」
「………何で女装してんの?」
バキッ!!!
「誰が女装だ!僕は立派な“女”だ!」
失礼極まりない言葉を発した波弥斗は当然その場で思いっきり殴られた
………悠基波弥斗…バイト先と移住場所……決定
ありがとうございました!
今回はすっごく新キャラを出してしまいました…
まぁ案の定、下手な絵を公開していますが……
感想など、お待ちしおります!!!