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Grandissez  作者:
3/7

2#高校生活って何だか新鮮


第二話です!


あんまり間が開かなくて本当にホッとしています……

春休みグッジョブ!


今回は前作では書けなかった物を存分に堪能してみました(笑)


P・S(?)

後書きに今回は広貴を載せました









「♪」


・・・・・・


回りの皆から見ても明らかに上機嫌な様子で自分の席に座っている小宮広貴を

クラスメイト達はやや遠目で見ていた



{なぁ…小宮の奴何で今日はやけに機嫌いいんだ?}


{もしかして彼女でもできたんじゃないの?}



ヒソヒソと広貴の前や後ろや隣から聞こえてくる声も今の広貴の耳には届いていない


原因は、昨日このクラスに転校してきた転校生・悠基波弥斗にあった。



昨日の放課後…校舎裏で三人の不良にいじめられていた

一人の男子学生を竹刀で一瞬にして粉砕してしまった…転校生である


あの後その素晴らしい腕に見惚れた広貴はすぐさま剣道部へと勧誘したが



他にやることがあるから



と少し遠慮がちにだがキッパリと断られてしまったのだ

だが…それで諦めるような広貴ではなくもちろん今日の朝も勧誘するつもりでいた


(しっかし何度思い出してもすごかったな~悠基あいつ……

なんつーのこう…洗練された動き?みたいな……)



どこかで本物の刀でも握ったことがあるんだろうか



ふと何故だか頭にその発想が思い浮かんだ



ガラッ……



(おっ…!)


ちょうど広貴がそこの考えに至った時教室の後ろの扉があいた


直感だが広貴には確実に『あいつ』だという感じがした



「………」



予感は的中、後ろの扉から入ってきたのは波弥斗だった


だが…なんだか彼はずいぶん疲れているようにも見えた


彼はゆっくりと自分席に座るとそのままグッタリと倒れてしまった



「お…おい悠基、どうした?昨日の今日でお前何かあったか?」


「………」



うつ伏せになって倒れている波弥斗に広貴は席に座ったまま体だけを回転させて問う


そうとう辛いことがあったんだろうかと不安になるようなオーラも出ている


「……トが」


「は?」


うつ伏せになったまま小さな聞き取りにくい声で波弥斗はつぶやく


トが?何のことだよ と聞き返した広貴に波弥斗また長く黙り込んだ




「………バイト先と…住む場所が見つからない……」




・・・・・・・・


今度ははっきり聞き取れた。だが…聞き取りたくなかったような……



「……マジで言ってんの?」


信じられない、と言った調子の広貴の問いに波弥斗はうつ伏せのまま頷いた



バイト先はまだしも……住む場所まで見つかってないなんて……


広貴は急に昨日しつこく誘ったことを後悔し始めた


だが…そうなると二つの疑問が思い浮かんだ



「あ、あのさ…転校してきた時に学校に提出する自分の住所んとこは何て書いたんだよ…?」


「適当な住所でっち上げた」



即答…即答で今とんでもないこと言ったぞこいつ


唖然としている広貴を放っといて波弥斗は早速『求人募集』やら『バイト100』などと言った本を読みはじめた。


昨日自分やクラスメイトに見せていた顔とは別人のような悩んでいるような

表情で波弥斗は本のページをめくっていた


そんな彼を忍びないと思ったこのお人よしは……




「だったらさ……俺と同じバイト先で働かねぇ?」




ピタッとその言葉の終わりと同時に波弥斗の本をめくる手が止まった


彼は顔を本に落としたまま身動き一つしていない


「いやあの…俺住み込みのバイトしてて…そこ社員少ないし……

もしお前がよかったら…みたいな……」


何の返答もないのでやっぱりいらん世話だったかと焦りながら話すが返事は無い



「……何?そこを紹介する代わりに剣道部に入れって?」



やっとのことで…口を開いてくれたと思えばやはり下を向いたままそう答えた


その口調は心なしか先程より冷たいように感じる



「…違うって。そりゃ入ってくれたら嬉しいけど……

入らないから紹介しない、なんてことは考えてねーよ」


「……………」



もちろん、それは彼の本心である



困っている人が目の前にいたら素通りはできない


悲しんでいる人が近くにいたら救ってやりたい



ようするにただのお人よしな馬鹿なのだ。



そんな広貴の気持ちが届いたのか…波弥斗はやっとの思いで顔を上げてくれた


ただ、やはりかまだ目を合わせてはくれずに。


「……じゃあ今日の帰りにでも、そこ寄ってもいいか」


少し無愛想にだが…自分を頼ってくれたのが嬉しくて…嬉しくて…



もちろん!



広貴は大きな笑顔で即答で答えた









カーンコーン……



「は、腹減った……」


昼を過ぎる頃にはおそらく昨日の夜も今日の朝も食べてないと思われる波弥斗はまるで生きる屍と化していた


一方広貴は体だけ動かして波弥斗の方へ向けてコンビニで買ったと思われるメロンパンとカフェオレを食べている


ワイワイ騒いでいる教室の中波弥斗の腹の音が広貴にはしっかりと聞こえていた


見ているこっちも辛くなってくるので広貴はため息をしながら席を立った



ガヤガヤ…



そして広貴が向かった先はというと…購買である


もちろん波弥斗のパンを買いに……


あんな痛々しい姿のクラスメイトを…しかも転校生を見て野放しに出来る広貴でもなかった


(……何で俺がこんなことを)


今さらながら小さく疑問に思った広貴は財布を取りだしながらふと思う


(あれ?)


購買の所を見るとうちのクラスの女の子がいるではないか



確かあの子はいつも弁当だったはずだが…?



まぁたまにはそういうこともあるのだろう


あまり気にする様子もなく広貴は購買のパンを眺め始めた



ドンッ



「あ、わり…」


「ごめーん…って小宮じゃーん」



パンに夢中で肩がぶつかってしまった女の子は自分が同じクラスの人間だと気付くと笑顔でどこかへ行ってしまった



………同じクラス…の女の子…?



そこで一つの予想が頭を過る


バッと顔あげて回りを見渡すと自分と同じクラスの女の子がそこら中にいるではないか



まさか……そう思いながら広貴は急いで教室へ向かう階段を登った


そして滑り込みで教室に入り息を整えるのも後にして教室の端の方へと目を向けた




「悠基くんこれももらって~♪」


「あずるーい!波弥斗くん私のお弁当ももらって~」




ズルッ!!




まさか、と予想していた事があまりにも正確に当たったので広貴は体勢を崩した


当の本人はいやー何か悪いね~

などと言いながらしっかりともらった手作り弁当を食べている


彼女達は自分の手作り弁当を波弥斗にあげ、自分達の昼ごはんは購買で買っていた



あの転校生がぁぁぁぁぁ!!



その行動により波弥斗が多くのクラス男子を敵に回したのは言うまでもない……




「よーどうだい色男、腹の音は収まったか?」


「破裂5秒前」



まるで妊婦さんのようになった腹を抑えながら苦しそうに波弥斗は口を動かした


さりげない自慢に広貴はああそうですか。と言いながら自分の席へと座った


「……なー…小宮」


しばらく前を向いていると波弥斗が声をかけてきた


彼が声をかけてくるのはいつも(昨日の今日だが)突然だった


「んー?何だよ」


机の中から次の授業の教科書などを出しながら広貴は適当に返事をした



「俺……―――――――――――あってるわ」



その言葉と同時に広貴は自分の動作を少し止めて波弥斗の方を小さく見た


「は?なんて言っ……「小宮ー今日黒板消すのお前だろー」



波弥斗が言った聞き取れなかった言葉を聞き返そうとするとちょうど

クラスメイトの男子が自分に話しかけてきた


本当はすぐそのまま聞きたかったが

授業が始まるまでもう時間がないので急いで黒板を消しにいった



「なー悠基ってどんな奴よ、性格悪そう?」


「え?いや…普通…じゃねぇけど…別に悪いってわけじゃ…ねーかな」



教卓の近くまできた広貴に先程声をかけてきたクラスメイトは質問した


今のところ、波弥斗とまともに話していると思われるのは広貴だからだ


広貴の答えに質問した奴はふーんとだけ言い連れのところへ戻っていった



(……性格……)



改めて考えるとさっきはああ答えたが自分も自分で言えるほど分からなかった



まぁ昨日の今日だし

あいつ口数多い方じゃねーし



そう考え、広貴は考えながら黒板を急いで消し始めた



消すのが終わる頃広貴は自分のケータイの存在をふと気にした。


(…バイト先の誰かに…あいつのこと言っといた方がいいよな…)


学ランのポケットから広貴はケータイを取り出し電話帳から一人の名前を出す




  

  坂本さかもと げん





その人物の名前をボタンで押すと素早くメールを打ち始めた




『新しく住み込みで働きたいって奴がいるんすけど今日帰りに連れて行きます』




メールを打ち終わるとパチンと閉じてポケットにしまった


そして広貴が席に自分の席と座るのと同時に自分のケータイが鳴る音がした


(……相変わらず…返信速ぇ…)


少しめんどくさそうにケータイを開くと案の定その人物からの返信だった




『おーう同級生?美人だったら超ウェルカム( ̄∇ ̄*)ゞ

俺の知り合いもちょうど今日紹介するからSI☆KU☆YO☆RO☆ヽ(*´▽)ノ♪』




新しい奴……?


まさか同じ日に二人も新入りが入るなんて……珍しい偶然もあるもんだ


つーか何でいつもメールだとテンション高ぇーんだよ



広貴は小さく驚いた様子をしながらケータイの画面を見ていた


するとちょうど入ってきた担任(数学教師)に慌てケータイをポケットへと入れた


「…すー…すー……」


後ろにはお腹いっぱいになってか、ただ単に数学が面倒なのかは分からないが


小さく寝息を立てながら寝ている波弥斗がいた



(……転校二日目で…スゲーなこいつ……)



などと呑気な気持ちで呑気波弥斗を見ながらふと思った












まぁ…こいつなら『あいつ』とも大丈夫だろ………たぶん








第二話ありがとうございました!


前作じゃ全く書けなかった二人の学校生活を書けて楽しかったです!!


てなわけで前作じゃ書けなかった(笑)広貴の学ラン姿です!


挿絵(By みてみん)


転校初日からバリバリ指定の制服姿を無視している波弥斗と違って広貴は第一ボタンだけはずしてる感じです。


んで下には赤いTシャツみたいな……


さすが広貴。イメージ通りだよ(笑)




次回は『あいつ』や今回メールで出てきた人などわさわさゴキブリのように湧いてきます!


次回もどうか宜しくお願いします!!!


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