第一期--No.6 召喚僧の力
「私と協力しませんか?」
あまりに急だった。
僕は少し考えた。
・・・彼女は銃を持った男たちから守ってくれたし、召喚魔術があと1つしか使えない僕1人では何もできないだろう。
「ええ、協力しましょう。」
「ありがとう。
それじゃあ、私についてきて。」
いきなり腕を捕まれた。
見た目より、かなり気の強い女性だった。
少し歩いたところに、小さな洞窟があった。
奥へ入り、薪に火をつけた。
「私はしばらくここで生活してるの。
ここは安全だから、休んでくださいね。」
「ありがとうございます。
あと、いろいろと聞きたいことがあるのですが。」
「何?」
「僕を守ってくれた時の2つの召喚魔術、
【南無妙法蓮華経】と【法華三部経】
あなたは、2つの召喚魔術を使うのですか?」
「いや、私の召喚魔術は1つだけ。
【南無妙法蓮華経】だよ。
【法華三部経】は防御魔術さ。」
「防御魔術?」
「あなたは、防御魔術を使えないのね。」
「はい・・・」
「防御魔術は、物理的攻撃から身を守ることができるの。」
「そうか、それで銃弾を跳ね返して・・・」
「うん。
でも、あなたは防御魔術を使えないということは、まだ完全に煩悩を捨てきれてない。」
「どういうことですか?」
「召喚僧は、仏の道に近づけば近づくほど、強力な魔術を使えるようになる。」
「僕にはまだ煩悩があるのですね・・・」
「煩悩は、常にあなたのすきをうかがって倒そうとしている。
もし、あなたの心に毒蛇が住んでいるのなら、その毒蛇を追い払わなければ力を手にすることはできない。」
「女なのに、立派なお方だ。」
「仏の教えにおいては男女の差別を立てず、ただ仏性を知ることを尊いとする。
基本だろ。」
「・・・あなたとはうまくやって行けそうだ。
そして、あなたから学ぶことも多そうだ。
これから、よろしく頼む。」
「ああ、こちらこそ。」
気がつくと、洞窟に差し込む光りもなくなってきた。
「今日はもう遅いから休むとしよう。」
彼女はさらに奥へと入っていった。
――僕はあまり眠れなかった。
「魔術にも、いろいろな種類があるのか。」
召喚僧の力は無限大だ。
仏の道に近づきことができれば、きっと争いを沈めることができる。
僕はグッと拳を握り、目をつぶった。