第一期--No.4 煩悩の村
僕は、2匹の召喚魔獣を手に入れ争いが起こっているという村へ向かった。
村に入ると、僕は驚くべきものを目にした。
そこには、頭から大量の血を流し倒れている人が12、3人。
僕は言葉を失った。
ただ、その者たちに、手を合わせることしか出来なかった。
「おう、まだ生き残りがいたか。」
目の前には血塗られた日本刀を手にした男が立っていた。
1人だけではない。
気がつくと回りを5人に囲まれていた。
「待ってくれ、僕は争いをしに来たわけじゃない。」
「知ったことか。今は戦争だ。
強い者だけが、生き残り、権力を手にする。」
「それは違う!
そんなことをして手にした権力はすぐに失われる。
不の連鎖を生み出すだけだ。」
「うるさい!
俺も仲間を殺された。黙っているわけにはいかない!」
「人間は哀れなものだ。
原因と結果しか見えていない。
種を蒔けば、花が咲くと思い込んでいる。
花開くまでに様々な条件があることを知らない。」
「少し黙れ!!」
5人の内の1人が刀を振り上げ、襲いかかってきた。
―――「やはり危険過ぎます。召喚魔術を使って下さい。」
最初に会った黒衣の僧侶の声が聞こえた。
「仕方ない。」
僕も命の危機を感じ、召喚魔術を唱えた。
―――「南無阿弥陀仏!!」―――
すると、数珠が光り、目の前に鋭い牙と爪を持った魔獣が現れた。
「なんだよこれ?!」
その魔獣が腕を一振りすると、5人の男から黒く冷たいものが抜けていくのが見えた。
そして、男たちは意識を失いその場に倒れ込んだ。
「危ない所だった。
しかし、あの男たちはどうなるのだ?」
「じきに目を覚ますでしょう。
それより私がもう限界です。煩悩を喰らうのは5人から6人が限界のようです。」
「5人か・・・
ありがとう、あとは任せてくれ。」
「頼みました・・・」
魔獣は光りの粒となっていった。