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寺の坊主の召喚魔術  作者: Suzurann
第一章 仏教魔術
17/19

第一期--No.17 代償

城の正面では、もうすでに争いが始まっていた。

しかし、沙羅と祥雲が煩悩を狩りとり、勢力を抑えていた。


「沙羅、祥雲!!」


「おう、圭秀!無事だったか?」


「あれ?こちらの方は?」


沙羅は甲府軍の将軍を指差して言った。


「彼は、将軍様だ。安心しろ、煩悩は僕が喰らいとった。

彼は、争いの落とし前をつけるために煩悩を抜き取られてもなお立ち上がった。」


「なるほどね。

でも、こっちの勢力はだいぶ倒したわ。」



「・・・圭秀、もう数珠の輝きがなくなってきているぞ。」


祥雲は僕の数珠を見て言った。


「わかってる。使えるのはあと1つ。無駄にはしない。」


「圭秀はもう下がっていて。

ここは、私がやる。」


そう言って前に出た沙羅の数珠の輝きも、もう4つまで減っていた。


「いや、ここは回数に制限のない俺に任せて、沙羅は防御魔術に専念してくれ。」


そう言って、祥雲が座禅を組みはじめた。


「そういうことなら俺も援護します。」


仲間になった将軍と沙羅と3人で祥雲を囲んだ。



だが、松山軍の勢力はとても強く、甲府軍の兵士が倒されていく。


「また、犠牲者が出てしまうわ。

ーーーーーー南無妙法蓮華経ーーーーーー」


沙羅は召喚魔獣を呼び出した。


これで沙羅の輝きは3つ。


松山軍の最前線の兵士を6人倒した。

しかし、まだまだ敵は流れるように押し寄せてくる。


「駄目だ。これじゃあキリがない。」


「よし、なら僕の新しい召喚魔術を使おう。」


「圭秀、また新しい魔術を習得したの?!」


「ああ、でもこれには数珠の輝きを2つ必要だ。

だから、沙羅の力を貸してほしい。」


「ええ、いいわ。」


「よしいくぞ!」


僕と沙羅は同時に召喚魔術を唱えた。


ーーーーーー南無妙法蓮華経ーーーーーー

ーーーーーー南無阿弥陀仏 改 <双頭龍>ーーーーーー


沙羅の召喚魔獣と僕の召喚魔獣が合わさり、2つの首を持った魔獣が現れた。


「すごい・・・」


「沙羅!見とれている場合じゃない。敵を!!」


「そうね。」


僕と沙羅は呼吸を合わせて、魔獣を敵の勢力へとぶつけた。


すごい威力だ。一気に50人程の煩悩を抜き取った。


「よし、これで敵はあと少し。

祥雲の結界で一気に倒せる!」


「準備は整った。いくぞ!!」


祥雲の回りに結界が現れた。

見事に全員が結界に入っている。


「終わりだ!

ーーーーーー大正新脩大蔵経ーーーーーー」


結界から召喚魔獣が現れて、煩悩を狩りとった。


「終わった・・・」


「・・・いや、まだ1人いる。」


一番奥に前に会った、松山軍の大将、いや煩悩の塊が残っていた。


「そうだ、まだあいつが!」


「ーーーーーー南無妙法蓮華経ーーーーーー」

沙羅は召喚魔術を使って、最後の敵にトドメをさそうとした。


沙羅の攻撃は確かに当たったが、煩悩を完全に喰らい取ることができず、召喚魔獣は消えてしまった。


「そんな・・・」


僕の数珠の輝きはもうすでに1つ。

そして、今の最後の攻撃で、沙羅の数珠の輝きも1つになってしまった。


「まだ諦めないわ。

私はまだ防御魔術が使える。祥雲を守って結界を・・・」


「いや、無駄だ。あいつは人間を捨てた煩悩の塊。

結界で縛ることはできない。」


「そんな、じゃあ・・・」


ーー「そうだ。お前らに最初から勝ち目などない!!


おっと、後ろにいるのは将軍じゃねーか。

ということは、俺の弟も喰らったということか。


なかなかやるじゃないの。

じゃあ、最初に将軍からぶっ倒すとしようか!」



煩悩は将軍に向かって、黒い塊を放った。


ーーーーーー法華三部経ーーーーーー


沙羅は防御魔術で将軍を守った。



ーー「なるほど、防御魔術か。

なら、防御しきれない程の破壊力をつける。」


煩悩は先程の黒い塊の先端を尖らせ、破壊力とスピードを増して放った。



「やめて、私のそばで人が死ぬのなんて見たくない・・・


ーーーーーー南無妙法蓮華経ーーーーーー」


沙羅は召喚魔獣を呼び出し、黒い塊を喰らった。



「お、お前・・それって、最後の数珠の輝き・・・」


「ええ、そうよ。

最後の輝きを使った時、その召喚僧は成仏して天界に旅立つ・・・


・・・最後まで力になれなくてごめんね。


――――――さようなら。」



沙羅は光の粒となっていった。


「嫌だ、そんなの嫌だよ!

まだ、一緒にいたい。まだそばにいてよ!!」


僕は、光の粒を必死でかき集めた。



「圭秀・・・ありがとう・・・・・・」



「沙羅ーー!!!!」



僕の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。



そして、薄く赤くなった目で煩悩の塊を睨み付けた。




「お前は絶対に許さない!!」



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