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僕の初恋  作者: HELIOS
6/9

少年は社会に出た

4月、僕は会社の入社式にいた。

周りには僕と同年代の新入社員達が並ぶ。

社長のありがたーいお話の後、係りの人の指示に従い簡単な試験を受けた。

入社前にも試験を受けたが、どうやらコレで配属先が決まるらしい。

2日後から配属された課で先輩に付いて必死に仕事を覚えた。

学生時代と違って仕事に責任が発生しているので失敗は許されない。

僕は家族を養う身なのだから。


2週間の研修期間が終わった金曜日、部長の計らいで新入社員の歓迎会が行われた。

本当は早く帰りたかったが、妻に「会社での人付き合いは大切だから」と言われたので渋々来ていた。

新入社員1人1人が自己紹介と挨拶をしていき、僕は最後だった。

僕が立ち上がり簡単に挨拶をすると先輩達が盛大に飲み始めた。

僕も散々進められたが、アルコールに弱い体質なのであの手この手で回避した。

3時間ほどして、居酒屋を出て2次会と言う流れになったので、僕は先輩に帰るのを伝えると、同期の女性社員が話しかけてきた。顔を見ると妻ほどではないが中々の美人だった。

「2次会行かないんですか?」

「うん、ちょっとこういう雰囲気に慣れてなくて」

「じゃあ私も行くの止めようかな」

「どうして?」

「どうしてだと思う?」

正直、彼女の言っている事がイマイチ分らなかった。

僕は一刻も早く妻の待つ家に帰りたいんだけど・・・・

「ねぇ・・今日は1人になりたくないんだ・・・この後一緒に何処かへ行かない?」

すると先輩達が僕らの方を凝視していた。そこで何となく理解した。これは「夜のお誘い」なのだと。

彼女は中々の美人だから狙っていた先輩が居たのだろう。しかし僕は妻が居る身。そんなのには当然興味が無いので断る事にした。

「すいません、今日は早く帰らないといけないので・・・・」

「どうして?実家住まいなの?」

「いや、違いますけど・・・・」

「だったらいいでしょ?明日は休みだし・・・ね?」


正直めんどくさくなったので僕は・・・・


「いや、家で妻が待ってますんで・・・」

「・・・へ?・・・・・・結婚・・・してたの・・・?」

「あ、ハイ」

「あ~・・・そう。わかった・・・・・」

「じゃあ僕はこれで」

僕は家路に着いた。

後に聞いた話だが、僕が結婚している事を知った彼女と女性の先輩達は相当荒れていたそうだ。


なんでだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・



それから僕は着々と仕事を覚え、失敗もせずにやっていけた。

先輩からは直ぐに「お前に教える仕事は無いな・・・」と投げ出されてしまった。

僕って嫌われているのだろうか・・・・・・?

それに僕が既婚者だと知っても尚、誘ってくる女性社員が後を絶たない。

どれだけ男に飢えているのだろう・・・・・全く困ったものだ。

そんな話しを妻にしたら「ふ、不思議ね~」とギクシャクした返事が返ってきた。

謎は深まる一方だ。何故こんな平凡顔の既婚者を誘うのだか・・・理解できない。

妻は「良かったぁ・・気づいてない・・・」とかぼやいていたが何なのだろうか?



その次の日、同僚が僕の妻の写真を見てみたいと言うので手帳に挟んである学生時代に2人で撮った写真を見せた。すると「うぁ。美男美女夫婦・・・」とか言っていた。

妻が美女なのは認めるが僕が美男って・・・お世辞にしてはちょっとキツイよ?

その後も先輩や同僚、僕を誘ってきた女性社員にも写真を見せて欲しいと言われ、見せると同じ意見が帰ってきた。そんなお世辞言わなくても良いのに・・・・・・・・

特に女性社員達は「勝てない・・・・」とか呟いていたけど何がだろう?



週末、妻と車で大型のスーパーに買い物に出かけた。

大分お腹が目立つ様になった妻に負担を掛けないように僕がカートを押した。

周りには子供を連れた夫婦が何組も居た。

僕たちも、もうすぐこうなるんだよな~と考えながら見ていると、子供達はお父さん似だったり、お母さん似だったり、どちらにも似ていなかったり・・・・・・

そこでふと思った。生まれてくる子供は僕似だろうか?妻似だろうか?

妻似なら男の子でも女の子でも綺麗な顔立ちだろう。

僕似ならどうだろうか?妻に聞いてみる事にした。

「ねぇねぇ」

「なに?」

「僕ってブサイク?」

「へ!?ど、どうしたの急に??」

何故か周りに人たちが僕らを見ている気がしたがなんだろう?

「いやね、生まれてくる子が僕似かキミ似か考えてたんだよ。キミ似なら男の子でも女の子でも綺麗な顔立ちになりそうだけど、僕似だと平凡かそれ以下に成っちゃうのかな~と」

「いやぁ・・・それは絶対無いと思うけど・・・・」

あら?なんか周りに居た若い夫婦の人たちがメッチャコッチ睨んでるんですけど・・・・なんで?

「そうかなぁ~」

「そうだよ!さ、次行くわよ!」

「あ、うん」

妻はサクサク歩いていったので僕も追いかけた。

しかし、なんでこんな見られてるんだろう?不思議だ。。。。

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