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僕の初恋  作者: HELIOS
4/9

少年は覚悟を決める

それから彼女を家まで送り、家に帰って両親に子供が出来た事を報告した。

父に思い切りグーで殴られたけど、責任をとって結婚するつもりだと伝えると母が止めてくれた。

母は父を部屋から追い出して、僕の前に座り諭す様に喋り出した。

「いい?子供って言うのは出来てお終いじゃないの。生んで育てるのはとても大変な事なのよ。お前は生まれてくる子供を自立するまで責任を持って育てなければいけないの。それに、子供だけじゃなくて、奥さんになる人も養わなければいけないのよ。その覚悟はあるのね?」

「ああ!」

「・・・よく言ったわ!」

その後母が父を説得してくれて、何とか僕の両親は結婚を認めてくれた。

でも、問題は彼女の両親だろう。

彼女は一人っ子で、両親はそんな彼女を大切にしていると聞いた。

そんな大事な娘を何所の馬の骨とも分らない奴に簡単に嫁がせる訳ないだろう。

そんな事を考えていると、彼女から電話が掛かってきた。

明日の昼に家に来て欲しいという事だ。

両親の反応を聞いたところ、思ったほど怒ってはいないらしい。


翌日、僕はスーツを着込み、デパートで菓子折りを買って彼女の家に向かった。

インターホンを押すと、彼女が出てきて僕を客間に案内して、両親を呼びに行った。

2~3分程して、彼女の両親が部屋に入ってきた。

3人が座ったのを確認してから、自己紹介をして、子供が出来たから彼女と結婚したいという趣旨を伝えた。すると、彼女の父は言った。

「君は子供の為だけにウチの娘と結婚するのかい?」

「え・・・・」

「私はね、娘の事を本当に好きで、一生大切にしてくれる人に娘を託したいと思っているんだ。君は子供が出来た責任として結婚しようとしていないかい?」

「そう・・・かもしれません」

「なら娘を君には「でも切欠はって事です」

「?」

「確かに切欠はそうでしたけど、僕は彼女が好きで、一生一緒に居て欲しいと思っています。」

「この子を幸せに出来ると?」

「それは分りません、でも、僕の人生を掛けて、精一杯の事をしたいと思っています。」

「そうか・・・・・・分った、結婚を認めよう」

「あ、ありがとうございます」

「ただし」

「?」

「初孫の名前は私に付けさせてくれ」

「はい!」


ソレからは全てがトントン拍子に進んだ。

義父は少し強引な性格のようで、その日の内に僕と彼女は婚姻届を提出した。

晴れて彼女は僕の妻になった。


そして年明けに妻の家に新年の挨拶に言った際に義父が「お腹が目立たない内に結婚式を挙げよう」と言い出し、2月の始めに義父の知り合いが経営している教会で結婚式を挙げることになった。

その話しをした後、妻が少し横になりたいと言うので一緒に2階の自室に連れて行こうとした直後、義父の弟さんが奥さんと高校生くらいの男の子を連れて新年の挨拶に来た。

僕も軽く挨拶をして、妻を部屋に連れて行った。

その時、妻の従兄弟の男の子が僕を睨んでいたのを僕は気づかなかった。

僕は妻の部屋に入ろうとすると、妻が凄い勢いで走り出した。

口元を押さえてトイレに入った妻は、ドアも閉めずに戻し始めた。

僕は直ぐに気づいた、悪阻と言うやつだと。

僕は妻の背中を摩った。

僕は5分位吐き続けていた妻の肩を抱いて洗面所に連れて行き、口を濯がせて水を飲ませた。

彼女はまだ顔色が悪かったが、大分落ち着いたようだった。

妻は「ごめんね、こんな所見せちゃって・・・」と謝ってきたが、僕は「夫婦なんだから当然だよ」と微笑みかけた。

僕は妻を部屋のベッドに寝かせ、ゆっくりしている様に言うと、コートを着てスーパーに向かった。

妊娠中はグレープフルーツや炭酸水を飲ませると楽になると聞いた事があったからだ。

幸い近所のスーパーは年中無休で営業していたため、炭酸水とグレープフルーツを買う事が出来た。

僕は妻の家に戻り、義母に教わりながら台所でグレープフルーツを絞っていた。

義母が客間にお酒を運びに行った直後、妻の従兄弟が台所に来た。

僕は飲み物か何かを取に来たのだろうかと思っていると、彼は低い声で僕に話しかけた。

「アンタなんなんだ?」

「え?」

「だからアンタは何者だって聞いてんだ」

「何者って言われても・・・・」

「・・・・・・質問を変える、お前は姉ちゃんの何だ?」

「?」

「従姉の姉ちゃんだよ!」

「あぁ・・・・えっと・・・・」

僕がたじろいでいると、義父が台所に入ってきた

「こんな所に居たのか、君も一緒に飲もうじゃないか!」

「あ、お義父さん、すいません、アイツにグレープフルーツジュースを作ってやりたいんで」

「グレープフルーツ?ああ、悪阻に効くらしいな」

「ええ、さっきも凄い辛そうだったので」

「そっか、じゃあアイツに付いててやって「ちょっと待てよ」

「「?」」

「悪阻って・・・叔父さんどう言う事だよ?」

「えっと「お前には聞いてない!」

僕が答えようとすると制止された

「何をそんなに怒っているんだ?子供が出来たんだよ。それで今悪阻が辛いみたいでな」

「子供・・・?・・・・・誰の・・・・」

「?・・・彼のだよ」

義父は僕を指差して言った。すると妻の従弟は信じられないような目で僕を見た

「は・・・?」

「ああ、言ってなかったか、ついこの間結婚したんだよ、来月式もやる予定だ」

「・・・・・・・・・・・・・」

妻の従弟は歯を食いしばり拳を握り締めて俯いてしまった。

「あの・・・・・」

「ッ!」


ドガ!!


「ガハッ!」

僕は妻の従弟に顔を殴られていた。衝撃で僕は床に倒れこんでしまう。

「なんでてめぇみたいな奴が姉ちゃんと!!」

「やめなさい!!」

義父が止めに入るが妻の従弟の肘を諸に喰らい蹲ってしまう。

妻の従弟は僕の腹を蹴り始めた。

「どうしてお前のガキなんか姉ちゃんが産まなきゃいけないんだ!!」

ドスッドスッ!

「ゴホッ!グァッ!」

「なんで、なんで!!」

僕は意識が遠のいて行くのを感じた、でも、廊下の方から駆けてくる足音が聞こえた。

「やめてぇ!!」

その声が聞こえた途端、妻の従弟は僕を蹴るのを止めた。すると僕は何かに抱きしめられていた。

あぁ、妻だ。寝てるように言ったのに。僕は擦れた声で言った。

「悪阻が酷いんだから起きて来たらダメだろう?・・・・・・・」

「喋らなくて良いから・・・ね?」

正直、声を出すのも辛い・・・あぁ・・・体中痛いな・・・・

そんな事を考えていると、妻の怒り交じりの声が聞こえた。

「何でこんな事!アンタ何考えてんの!?」

妻の従弟は思いがけない人物の登場でたじろぎながら言った

「だって!そいつは!」

「彼が何をしたって言うの・・・・?」

「そいつは姉ちゃんを孕ませたんだろ!!姉ちゃんも姉ちゃんだよ!なんでそんな奴と結婚なんかしたんだよ!子供なんか堕ろせば良いじゃねえかよ!!」

「なんか・・・・・・?」

「そうだよ!堕ろせば元通りに生活「最低!」

「!?」

「アンタがそんなクズみたいな奴だとは思わなかった!」

「意味分ねぇよ!」

「分らないの?私は彼が誰よりも好きだから結婚したの!誰よりも好きな人の子供だから産むって決めたのよ!!」

妻がそう言った直後、叔父や義母が台所に駆けつけた。

ボロボロになった僕を見て、叔父は息子である妻の従弟を殴り飛ばした。

妻は僕の手当てをしながら呆然としている従弟に言った

「もう2度とアンタの顔なんか見たくもない!!」

そう言うと、叔父と2人で僕を2階の妻の部屋に運んでくれた。


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