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僕の初恋  作者: HELIOS
3/9

少年は大人になっていく

2週間後の週明け、僕は彼女に「家まで迎えに行く」と連絡して、彼女の家に向かっていた。

勿論納車されたばかりのタイプMでだ。



そうこうしている内に彼女の家に到着し、呼び鈴を鳴らした。

彼女は直ぐに出てきた。

「おはよ」

「おはよう、随分速かったね?」

「まぁね」

「あれ・・・あの車・・」

「買っちゃった」

「うそ!?」

「本当、これからはあの車で送り迎えさせて頂きますよ、お姫様」

彼女は苦笑していたのを覚えている。

僕は彼女を車に乗せて少し寄り道しながら学校に向かった。

学校の駐車場は生徒証を提示すると無料で使えるから便利だった。

空いている所を探すと、友達のシルビアを発見した。

まだエンジンが掛かってるっぽかったから横に止めた。

僕は車から降りると窓を軽く叩いた。

すると友達とその彼女は直ぐに僕だと気づき車から降りてきた。

「どうしたんだよそのスカイライン?」

友達が聞いてきた

「買った」

「いくらよ?」

「総額で85万位かな?」

「これで85万か、良い買い物したな」

「でしょ」

「あ、しかもバンパーGT-R用じゃねぇか、最初からか?」

「それで決めたんだ」

等と会話していると彼女達が剥れ始めたので校内に入る事にした。


それからの3年間は本当に楽しかった。

友達のシルビアと2台でツーリングに行ったり、彼女達と4人で遠出したり。

彼女と些細な事でケンカした時も、首都高の夜景を見に連れ出したら何とか許してもらえた。

多分人生の中で1番楽しかった時期かもしれない。

しかし、卒業間際に事件は起こった。

もう単位も取り終わり、卒業が確定して、会社からの内定も貰った大学4年の年末の事だった。

クリスマスが過ぎて後は正月だなと言う時に、突然彼女に呼び出された。

僕はスカイラインで彼女の家に向かうと、玄関先で少し不安そうな顔をした彼女が突っ立ていた。

「どうしたの?」

「うん・・・ちょっと二人で話したい事があるの・・・大事な事なの」

「う、うん、分った」

彼女を助手席に乗せ、僕は適当に車を走らせた。

彼女はいつもの元気が無く、全く喋らなかった。

僕は何時もドライブに来ていた奥多摩の峠道を登った。

そして頂上にある駐車場に車を止めて、自販機で紅茶を2本買って彼女に渡した。

「ありがと・・・」

「いいよ。それで、大事な話しって?」

「・・・・・・・・・・・・」

彼女は黙り込み下を向いてしまう。

少しして彼女は決心したように話し始めた。

「あのね・・私たちにとって本当に大事な話しだから、ちゃんと聞いてね?」

「うん」

「実はね・・・」

彼女の暗い雰囲気からすると、もしかしたら他に好きな男が出来たから別れたいとかなのかな・・・

と僕は思ってしまった。僕は彼女の事が本当に好きだけれど、彼女は違ったのかな・・・と

でも、僕は彼女が離れて行くのなら止めようとは思わなかった。心が離れた相手に追い縋っても絶対幸せにはなれないからだ。しかし、彼女が口にしたのは僕の想像を遥かに超えるものだった。

「子供が出来たの・・・・貴方の・・」

「・・・・・え?」

「2ヶ月前から・・・その・・・来なくて・・病院に行ったら妊娠3ヶ月目だって・・・」

えっとー、心当たりは・・・・有り過ぎますね・・・・・・

「マジ?」

「うん・・・私、貴方以外の人としてないし・・・間違いなく貴方の子なの・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

僕は考えた。彼女が妊娠した、間違いなく僕の子、春からは社会人。

でも、僕らはまだ社会にすら出ていない22歳だ・・・・そんな僕にこんな大事な事を決めて良いのかは解からなかった。でも・・・・・・自分の子供を堕ろせだなんて言いたくなかった・・・・・そんなの酷過ぎる。第一男として最低すぎる。そう考えたら答えはアッサリ決まった、僕はもう直ぐ社会人だし、男なら責任を取るべきだ!


「結婚しよう!」

「ふぇ!?」

「必ず君とお腹の子を幸せにしてみせるよ!!だから・・・・・結婚して一緒に育てよう?」

「・・・・・・・・・うぅ・・うぅぅぅ・・・・・・・・・・」

彼女は泣き出してしまった。もしかして・・・

「僕と結婚なんか・・・したくない・・・かな?」

「違うの!私も貴方と結婚したい!」

「え?」

じゃあなんで泣いているんだろう・・・

「堕ろせって言われると思っていたから・・・私は絶対そんな事したくなかったから・・・一人で育てる覚悟もしてて・・・・・・・・」

「いやいやいや、そんな事言うわけ無いじゃん!」

その後彼女を宥めるのは結構大変だった。

30分位して落ち着いた頃、僕はもう一度言った

「僕と結婚してくれますか?」と

彼女の答えは・・・・

「よろこんで!」

そう言った彼女の頬にはまた涙が流れた・・・・・・


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