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僕の初恋  作者: HELIOS
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少年は初めて恋をした

作者の従兄弟の話を美化してみました(笑)

僕は至極普通の人生を歩んできた。

親は普通の会社員で、特別お金持ちでもなければ貧乏でもない。

僕自身だって頭が良い訳でもないし、悪いわけでもない。

外見だってカッコいい訳でもないし、カッコ悪いわけでもない。良くも悪くも平均的だった。

しかし、一つだけ他の人と違った事があった。


アレは、僕が小学生4年生の時の事だ。

その頃は回りに流される様に漫画やアニメに嵌っていた。

学校で話の合う友達が多かったし、知らないとバカにされたりもするからだ。

正直、友達が好きだから僕も・・・みたいな感じだったな。

自分はそれが本当に好きだったのかは怪しい所だ。


そんな日々の中、週末に両親と少し遠い大型スーパーに歩いて買い物に出かけた日、右隣に歩く父の「学校はどうだ?」とか、「友達とケンカしたりしてないか?」とか在り来りな話に適当に返事をしていると、1台の車が僕の目の前を走り去った。

ほんの一瞬だった。

周りの車とは違う音を奏でながら走るその黒い車に小学生の僕は一目惚れした。

僕は父に聞いた「お父さん、アレは何て言う車?」と。今まで父に何かを聞く事が少なかったからか、父は少し驚いていたが答えてくれた。「アレはスカイラインGT-Rと言う車だよ」。

「GT-R?」

「そうだよ、日本で1番速い車なんだ」

「へぇ・・・・」

「父さんが子供の頃憧れたんだ、GT-Rには」

「そうなの?」

「ああ、子供の頃父さんお爺ちゃんレースに連れて行ってもらった時、他の車より圧倒的に速くて、感動したなぁ・・・」


そこから先の父の話は良く覚えていない。

その時僕の頭の中はGT-Rの事で一杯だったからだ。

買い物中もずっと頭の中で一目見ただけのGT-Rの事を考えていた。

家に帰り、そろそろアニメの時間だと思ってテレビをつけると、レース番組をやっていた。

車に興味の無かったからチャンネルを変えようとした時、アナウンサーの一言で手がぴたりと止まる。


『今回も注目はやはりスカイラインGT-R勢です。既に開幕4連勝でシリーズタイトルに大手を掛けます』


『昨年度は開幕戦から全勝してシリーズタイトルを獲得していますから、今年度も期待が掛かりますね』


僕はアニメの事等忘れてレースに見入っていた。

カメラにGT-Rが映し出されるたびに僕は今まで経験したことが無いほど興奮した。

レースの展開は良く分らなかったけど、GT-Rが優勝したのだけは分った。

その日から全てがつまらなくなった。

アニメを見ても、漫画を読んでも、何も楽しくなくなった。

アニメも漫画も本当に友達と話しを合わせる為だけに見るようになっていった。

月に1回位のペースで放送されるGrA(全日本ツーリングカー選手権)だけが楽しみになった。

僕は思った。いつかGT-Rを運転したいと。

そしてGT-Rを買う事が夢になった。


しかし、中学生になる頃には現実が分る様になってくる。

本屋で車雑誌を買って、家で読んでいた僕はGT-Rの値段を見て度肝を抜かれた。

一般的なスカイラインは200万円後半だったのだが、僕の憧れるGT-Rグレードは新車で500万円以上する車だったのだ。中学1年生だった僕に500万円なんて大金は想像も出来ないほどだった。しかもGT-Rは中古でも300万円~400万円以上していたのだ。

更に雑誌を読み進めていくと、信じたくない文章を目にした。

『今年一杯でR32型GT-Rの生産が終了し、R33型へ移行する予定』

前のページで見たR33型スカイラインは、どうしても僕適に受け付けられない形だった・・・・・


翌年1月、R33GT-Rが発表され話題になったが、僕は大柄になり、全体的に丸くなったデザインをカッコいいとは思えなかった。やはり僕はR32のスレンダーなデザインが好きなのだ。

しかし、僕はこうも思った。「新型が出たら旧型の値段は下がるんじゃ?」と。

実際、標準スカイラインもR33で出てからR32の値段がかなり下がっていたのを知ったからだ。

もう少ししたら32GT-Rが安く変えるかもしれないと、僕は淡い希望を抱いていた。

しかし、現実は甘くなかった。R33の不人気により、人気だったR32は中古市場でも値落ちすることは無く、むしろ新車と同等の価格で売られていた。僕の期待はあっさり打ち砕かれた。





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