ルージュとオックス
楽しんでいただけたら嬉しいです☆彡
俺はメイズ 17歳。
この国メリダ国では15歳で成人となる。
海辺rの貧しい魚村地帯の生まれの俺はおじじと二人で暮らしていた。
成人したとき話してくれた、おじじが言うには俺の本当の生まれはこの大小さまざまな国からなる中央大陸からはるか遠い、東の小国で生まれたらしい。
しかも故郷には妹がいるらしいので、一度会いたいと思っている。
おじじは実の祖父ではないらしいのだが、一体どこのだれなのか、なぜ俺だけおじじと二人でこの国にいるのかは話してくれなかった。
しかし、東の大陸は渡るだけでもかなりの船賃がいる。
その上 よほど腕がいいかその東の国出身の船乗りしかその島には近づくこともできないと言う。
何度か自力で渡ろうとしたものの、大渦にはまきこまれるわ、台風には会うわで5回ためして一度も島影さえ見ることができなかった。
これはお金をためて腕の良い船乗りをさがすか、その島出身の船乗りと知り合いになって渡してもらうしかないと、自力で渡るのははあきらめた。
とりあえず、成人したので家をでた。
おじじはかなりの高齢のはずだが俺と一緒に家をでて放浪するという。
年寄りの冷や水にならなければいいのだが。
おじじは腰が曲がり、足も少しひきずっているので、杖を突いていた。
顔中ひげもじゃでみるからに好々爺、俺の剣の師匠でもあるのだが、剣を持った途端に腰もしゃんとのび、ものすごい覇気を出す。
杖の時のおじじは心配だが、とりあえず俺も食い扶持をさがさねばならない。
かねてより行ってみたかった王都がどんなものか見に来たのだが、剣しかとりえのない俺は職を見つけられず、街中をとぼとぼ歩いていた。
ふと、にぎやかな酒場に引き寄せられ、そこで最後の金を使い食事をした。
あとは餓死を待つばかり…
カウンターの優しそうなお姉さんがお金を稼ぎたいなら町はずれの宿屋を訪ねてみろと教えてくれた。
その宿屋は酒場でもあり、結構にぎわっていた。
「うちはほんの少し高級店を自称しているから、結構賓客もきたりすんで、腕がたつなら用心棒として雇ってやってもいいよ。ただし、賓客がいないときは接客や給仕も手伝ってもらうけど。」
俺は一も二もなくその話に飛びついた。
それからその宿屋兼酒場で賓客が居る時は用心棒、いない時は接客や給仕として働いた。
不器用な俺だけど、先輩たちは優しく、怒鳴られることもあるけどなんとか続いている。
今日は有名な歌姫たちがくると言うことで、一応用心棒としてがんばらねばならない。
少し高級なこの酒場は普段は身なりの良い紳士淑女が羽目をはずすのに利用するのが主だが、今日は普段全く見ないようなお貴族様が多数来ていた。
どんな綺麗な姫たちが来るのだろう、今からとても楽しみだ。
時間になり、妖艶な舞姫が2人カタールという短剣を持ち、演舞のような舞を披露し、やんやの喝采を受けていた。
次に歌姫が静かに進み出ると、騒がしかった店内が水を打ったように静まり返った。
不思議な声だった。
細い、独特な曲を静かに歌いだす歌姫は舞台の真ん中に座り、頭からすっぽりと薄絹をまとい、顔も体もよく見えなかった。
それでも、妖しいまでの美しい歌声は店内に響き渡り、みなうっとりと聞きほれた。
それは初めて聞くのに懐かしいような気がした。
大人の女性のような曲線美はなく、少女のような華奢な身体に異国情緒たっぷりな服は体の線を極限まで隠し、妖しくも不思議な雰囲気を醸し出している。
俺は舞台袖でじっとその歌に聞きほれていた。
「おい、これ歌姫の楽屋に置いてきてくれ。」
言われて水差しとコップを渡された。
まだ歌姫の歌の途中なのにと思ったが、それをもって楽屋へ行った。
後ろで「ナイチンゲールに栄光あれ」
ものすごい拍手の波のなかそう叫んだ人がいた。
ナイチンゲール、歌姫の名前だろうか。
楽屋に入りお盆を置き、鏡の前の化粧道具をみるともなしに見ていた。
舞台化粧なのにえらく目立たない色の化粧品だなっと思っていると。
「興味あるの?」
歌姫が戻ってきていた。
「あ、すいません。これ、お水。」
歌姫に差し出すと歌姫の顔色が変わった。
お盆ごと放り投げ、俺に短剣を突き付けた。
「どういう意味? わたしをどうかしたいの?」
意味が分からず、呆然と立ちすくんだままの俺の首にひんやりとした短剣の刃が少し食い込み、ちくっとした痛みにかすかに血が流れだす。
「え? え?」
訳が分からない俺はどうしていいのかわからず、彼女をただ見つめていた。
「いや、俺はただこれを持って行けと言われただけで。」
「本当に?」
「本当です。」
「そうだね、自分で薬を盛ったならいつまでもここにいるのはおかしいしね。」
いつからいたのか舞姫たちも戻ってきていた。
「で、誰がこれを持って行けと?」
「えっと…すいません。誰かは見てませんでした。店長だと思って受け取ったのですが。」
「ずいぶん脇の甘い用心棒さんだね。」
ごもっとも…申し訳ない。
「これは毒ではなさそうだけど、幻覚剤かそれに準ずるものみたいだね。」
割れた水差しに残った水を指につけ舞姫の一人がペロッと舐めた。
「やっぱりか、残念だけど、皆殺しだな。良い舞台だったんだけど、もったいない。」
「え…?」
なにかの聞き間違えかと思った。
皆殺し…そう聞こえたけど…まさかね…
そのあとの舞台もすべて滞りなく終わり、お客は興奮冷めやらぬままみな帰って行った。
「おい、さっきの水ちゃんと歌姫にお渡ししたのか?」
「はい、楽屋に置いてきました。」
「そうか、歌姫は飲んでくださったのか?」
「え…いえ、おいてすぐに楽屋を出たので飲んだかどうかまでは…」
これはさっき舞姫たちにこう言えと言われたセリフ…棒読みだったが。
「そうか」
店長はそれだけ言って奥へ引っ込んだ。
いつの間に入ってきたのか男たちが舞台を囲むように大勢おしかけていた。
誰だ、こいつら。
客…じゃ…ないよな。
俺の出番と剣を抜くと、店長がやってきて
「今日はもうしまいだ、お前は帰っていい。」
そう言われた。
こんな危なさそうな奴らを置いて帰れとか、俺用心棒なのに良いのか?
どうしたものかと遠巻きに見ていると舞台に誰かが出てきた。
歌姫と舞姫たちだ。
「第二幕 ナイチンゲールの演舞ショー お題はあなたのお命で。」
歌うようにそう言うと舞姫たちがカタールを振り回すように男たちを薙ぎ払った。
悲鳴が上がる。
後は阿鼻叫喚、男たちの野太い悲鳴があちこちできこえてくる。
俺は帰れといわれたので、今日の営業はおしまいとただ傍観者にてっしていた。
「おい、お前、加勢しろ。」
目ざとく突っ立っていた俺を見つけ男の一人が叫んだ。
加勢…どっちに?
やっぱ用心棒としては姫に加勢だよな、俺 今日は姫を守るのがお役目だったし。
そう自分に言い、姫たちの加勢をした。
「ばか、そっちじゃねぇ。」
男たちは怒鳴るが知ったこっちゃない。
舞姫が舞う。
男たちの剣風で吹き飛びそうな華奢な身体。
男たちの一刀で両断されてしまいそうな細い腰。
それが舞うようにかすることさえなく綺麗にかわしていく。
反対に姫たちが操る剣は男たちを両断していく。
すごい。
剣豪もかくやあらん的な…
しかし 男たちもそれなりの腕、その上数が多すぎる、しかも歌姫たちは1舞台を終え、体力も消耗している。
歌姫の体がぐらりと揺れた。
思わず俺は飛び出したが、タイミングが悪かった かばう前に男の振りかぶった剣の柄で思いっきり殴られた。
斬られなかっただけましだが…
痛てぇっと思ったのが最後で俺は気を失った。
がらがらがら
振動とうるさい車輪の音に気がついたら、馬車の中だった。
起き上がろうとしてずきっと後頭部に痛みが走った。
「急に起き上がるな。大丈夫か?」
少年が俺を起こしてくれた。
後は女性が2人?
「…だれ?…」
「さっきは助けてくれてありがとう。」
女性がお礼を言う。
さっき…もしや舞姫?
さっきまでの妖艶さはなく、すっぴんでまるで男のような姿をしている。
「いや、俺は用心棒として職務をまっとうしただけで。」
「え? 用心棒って店のじゃないのか?」
「賓客用の用心棒だから…」
なんか聞いたことのある声…
「もしや、歌姫…?」
「歌姫の時はルージュって呼んでね。今はオックスな。」
「ルージュとオックス…」
「さっきはサンキューな。まぁ俺なら余裕でよけられたけどな。」
そうかよ、余計なことしましたね。
まぁ、怒るな俺 相手は年端もいかないガキだ。
歌姫の時はお姉さんかと思ったが、こうやってみるとどう見ても10歳そこそこにしか見えない。
ガキに怒ってもしかたがない。ガキとはそういうもんだ。
オックスの最初の印象はなまいきなガキ そんな感じだった。
誤字脱字、変換ミスてんこ盛りかもですが、速やかに訂正していきたいと思っておりますので、長い目で見てやってください(>_<)




