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石の剣の王3 集結  作者: 水崎芳
第八章 〈勝利王〉が遺したもの
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第八章 〈勝利王〉が遺したもの(2)

第八章 〈勝利王〉が遺したもの(2)をお届けします。

最後までお読み下さいますと嬉しいです。

         *

 どこからどう見ても、その肖像画の人物はカナン自身だった。カナンには一生縁がなさそうな、金と黒曜石の飾りのついた絹織物の立派な衣装を着ていたけれど。靴も貴族が履くような飾り鋲を打った上等な鹿革だ。こんな洒落た服や靴など一度も身に付けた事はないし、もちろん持ってもいない。

 しかし、陽を浴びて赤く映える焦げ茶色の髪も、やや褐色めいた肌も、そして目鼻立ちや小柄で細い体躯も何もかも、全てカナンと瓜二つだった。誰が見ても………スヴェアやラーキンやマリエルが見ても、これはカナンだと答えるだろう。大きな(にれ)の木の下に佇む彼の足元にはアグリモニーやバーベイン、ニガヨモギやヤロウや黄色アザミといったカナンも馴染みのある様々な種類の薬草が描かれ、絵の中の人物が薬草を扱う者である事を示唆している。

 反対に、背景はとても奇妙だった。モザイク画のようにまだら模様に広がる森と草原と白い岩山の上空に、大小様々な岩が宙に浮かんでいるのだ。

 まるで〈天の民〉の空中砦のように。

 しかし、こちらには草木が生い茂り、あるものは水を湛え、幾筋もの細い滝が地上に向かって流れ落ちている。

「何故、わたくしがあれほど驚いたのか、これでわかったでしょう?」

 唖然とするカナンにレクサが言った。頭をわずかに傾け、カナンの顔を覗き込んで。香水をつけているのか、レクサからはほんのりと控えめな甘く良い香りがした。柔らかい色をした長い髪がさらりと肩から滑り落ち、髪飾りと耳飾りが涼しい音を立てた。

「エルレイの墓碑の前でそなたたちに会った時、あまりにも瓜二つだったので、この肖像画の人物が絵の中から抜け出してわたくしの前に現れたのかと思ったのです」

「そんな………」

 確かに、レクサがそう思ってしまったのも無理はない。

 カナンは驚きと困惑を隠しきれぬ表情で自分にそっくりな少年の肖像画を見上げた。

「この絵は………この部屋にある絵は、一体何なんですか?」

「この七枚の肖像画は、七賢者の姿を描いたものです」

 肖像画を順に見渡しながら、レクサは答えた。

 カナンは彼女を振り返った。

 レクサの向こう側に佇む長身のエイデンのせいで、彼女の姿はまるで暗闇を背に立っているように見えた。

「七賢者の?」

「そうです。おそらく彼らの姿を伝える唯一の肖像画でしょう。〈勝利王〉が命じて描かせたものだと、そう彼の記録の書に記してありました」

 レクサはテーブルに置かれた古い書を一瞥した。

「………きっと、彼はこの部屋でかつて共に戦った七人の大切な戦友たちの姿絵を眺めながら、懐かしい昔日の思い出に浸っていたのでしょう」

 カナンは誰も腰かけていない長椅子を見やった。

 背もたれに身を預ける壮年の男の幻影が浮かんだ。足を組み、片手に葡萄酒(ワイン)が入ったグラスを持ち。

 幻影はすぐに消えた。

 再び肖像画に視線を戻したカナンは、先ほどまで見ていたロザリンドの肖像画と同じく額縁の下に銘板が貼ってある事に気付いた。

 それにはこう刻まれていた。


  ワクトー=ベルー

  優れた薬師にして

  勇気ある者


 カナンは息を飲んだ。もう一度肖像画を見上げる。

 これは祖父の肖像画なのだ。

 まさか、生まれ育った故郷の村をはるか遠く離れたこの王都で、祖父の姿絵を見る事になるなんて。

 若き日の祖父の姿を。

 カナンが生まれるずっと昔の。

 カナンが知らない、カナンと同じくらいの年令だった頃の祖父の姿を。

 少年時代の祖父が、こんなにも自分とそっくりだったなんて。

 血がもたらす奇跡に、カナンは驚かずにはいられなかった。

 カナンはレクサを振り返った。

「この絵の人は僕じゃありません。確かに僕に似てますけど、別人です。瞳の色が違うでしょう? 僕の瞳の色は緑です」

「瞳の色?」

 レクサは確認するようにカナンの顔と肖像画の少年の顔を交互に見た。

 カナンの言う通りだった。肖像画の中の少年は少し赤みがかった亜麻色の瞳をしていた。

 カナンの瞳の色は父親譲りだった。手の爪の形と、掌に比してひょろ長い指も。それ以外は母親にそっくりだと、ワクトーやシエル村の村人たちによく言われたものだ。出来れば瞳の色や手の形だけでなく、身長も父親に似たかったのだが。カナンの父親はとても背が高かった。

「お前は俺の半分もないな」

 幼い息子の頭をわしゃわしゃと撫でながらそう言ってからかう父の優しい笑顔と手の温もりを、カナンはぼんやりと覚えている。

「当たり前でしょう? この子はまだ四才なのよ」

 と、笑いながら夫を窘める母の姿も。

 彼女の声も表情も、息子と夫への深い愛情に満ち溢れていた。

 それから間もなく、カナンの両親は雪崩に巻き込まれて死んだ。

 発見されたのは十数日後だった。

 二人は互いにしっかりと抱き合ったまま冷たくなっていたという。腕の骨が砕けても尚、彼らは互いの体を離さなかったのだ。

 祖父が人目も憚らず号泣する姿を見たのは、カナンはあれが最初で最後だった。

「………ええ。確かに」

 と、レクサは頷いた。

「ですが、それ以外は瓜二つです。そなたはこれが単なる偶然だとでも言うのですか?」

「それは………」

 正直に告白するべきか否か。

 カナンは迷ったが、レクサはすでに答えを知っていた。

 彼女は言った。

「そなたは七賢者ワクトー=ベルーの孫ですね?」

「!!」

 ぽかんと口を開けたカナンの様子を観察しながら、レクサは続けた。

「エルレイの薔薇の園でそなたたちに会った後、素性を調べさせました。そなたがワクトーの孫だとわかり、わたくしは得心しました。瓜二つであるのも当然だと。血が繋がっているのですから」

 カナンは諦め気味に溜め息をついた。

 相手は次の聖王となる世継ぎの王女なのだ。カナンの素性などその気になれば簡単に調べ上げてしまうに決まっている。今ここで否定しても無駄だろう。隠し通せるはずがない。

「…………ええ。そうです。その絵の人は僕のじいちゃんです」

 軽く肩をすくめる。

「ここまでそっくりだったなんて知りませんでしたけど」

 絵の中のワクトーは、口元にうっすらと微笑みを浮かべ慈しむような優しい眼差しでカナンを見つめ返している。

「驚きましたけど………でも、何だか嬉しいです」

 カナンはそっと肖像画に手を触れた。

 ひどく懐かしい気がした。

 七十年という年月が、祖父の想い出と共にカナンに追いついたかのように。

 しばらくの間ワクトーの肖像画を眺めた後、カナンはレクサに尋ねた。

「この背景に描かれている宙に浮いている岩みたいのって、天の水晶ですか?」

 レクサは頭を横に振った。

「いいえ。天の水晶ではありません。そこに描かれているのは〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉です」

「〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉?」

 カナンは思わず聞き返していた。

「〈獣使い〉の一族が住んでいる?」

「ええ。〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉という地名は、見ての通り宙に浮かぶ岩塊がまるで鎖のように連なっている様からそう名付けられました。語源は、〈双子王〉の治世よりもはるか昔に使われていた、今はもう失われた古代の言語だそうです。二千二百年前、〈氷雪王〉サローエンが〈獣使い〉の一族に与えた太古の地。その宙に浮いている岩塊は、三人の女神を祀っていた大神殿の残骸です」

「残骸?」

「ええ。三人の女神が諍いの果てに互いの水晶を壊してしまった際、激怒した神々の王によって破壊された女神たちの座。天空に昇る事も大地に還る事も大海に沈む事も許されず、中空に凍りついたまま永遠に女神たちが犯した罪をさらしている。…………カハンティ=テュボーとドン=エスの肖像画にも同じ風景が描かれています」

 レクサは佇むエイデンの向こう………ワクトーの肖像画から一番離れたところに掛けられている二枚の絵を示した。

 彼女の言う通りだった。全く同じではないけれど、宙に浮く岩や流れ落ちる滝が描かれている。岩の間を飛ぶ翡翠色の鳥や、砂煙を立てて疾走する羽根食いの群れも。

 カナンはワクトーの肖像画に視線を戻した。

 不思議な場所だ。

 美しくて、幻想的で、そして奇妙な世界。

 ここが、ジーヴァの生まれ故郷。

 ジーヴァがいる場所。

 〈天の民〉との戦の場。

 今頃、彼女はどうしているのだろう? ちゃんと眠れているだろうか? 怪我などしていないだろうか?

 どうか無事であって欲しい。

 ディアドラ系譜図書館でジーヴァと出会ったあの時の出来事が、もう遠い昔の事のように思える。

 古い詩文を詠むように、レクサは静かな口調で説明を続けた。

「〈獣使い〉の一族に与えられるまで、〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉に住む人間はいませんでした。〈地の民〉にとってかの地は禁忌の地……神々の王の怒りが降り注いだ忌み地だったからです。三人の女神に対する神々の王の怒りは凄まじく、〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉に棲まう獣や鳥の姿までをも歪めてしまった、と。………そなたは〈獣使い〉の一族が使う羽根食いという獣を知っていますか?」

「え? あ、はい。知っています」

「わたくしも子供の頃に見た事があります。〈獣使い〉の一族の長が水晶王宮へ表敬に訪れた時に。すごく大きくて、鋭い牙があって、少し怖かったですわ。あれは不思議な獣ですわね。姿形は馬や山羊に似ているけれど、でも全く違う。その名の通り、草の代わりに鳥の羽根を食べるだなんて」

「そうですね」

 カナンもその事を知った時はとても驚いたものだ。あんな大きな体をしているのに、鳥の羽根などという栄養など全くなさそうなものが主食だなんて。

 それにしても………()()()()とは。そのまんまな名前だ。

「あの獣は〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉にしか生息していません。その他にも、かの地でしか見る事が出来ない鳥獣がたくさんいます。被毛が銀色に輝く狐や、長い尾羽と大きな嘴を持つ極彩色の鳥といった。実在を疑うような獣も」

 カナンは首をかしげた。

「実在を疑う?」

 レクサは、ワクトーの肖像画の背景に描かれている中空に浮かぶ無数の岩塊に目を向けた。

「その獣は、白い岩山に棲む青白い獅子の姿をしているそうです。見上げるように巨大で、そして人の言葉を操るとか」

 カナンは目を丸くした。

「言葉を喋る獅子?」

「ええ。伝説によれば、その獅子はかつて三人の女神の大神殿を守護する門番であったそうです。神々の王によって大神殿が破壊された時にその衝撃で弾き飛ばされ、白い岩山に墜落してしまった。以来、そこでばらばらに砕けてしまった大神殿の欠片を仰ぎ見ながら、嘆きの咆哮を上げている、と。今では、その獅子は〈獣使い〉の一族の崇拝の対象となっています。………獣の王について(うた)った有名な詩文があるでしょう?」

 カナンは頷いた。

「はい。獣の王が馬と狼と………あと何だっけ……そうだ、ウサギに、毒蛇について尋ねる詩文ですよね?」

「そうです。大昔から語り継がれている、とても古い教訓詩のひとつです。『どれほど最良の答えでも、常に正しいとは限らない』………あの中に登場する『獣の王』こそが、(くだん)の言葉を操る青白い獅子なのです」

「そうだったんですね」

 そう言えば……と、カナンはふと思い出した。ガラハイド国にいた時、確かソーンがそんな話をしていた。彼はただの言い伝えだと思っていたようだが。カナンも聞き流してしまった。

 カナンはワクトーの肖像画に視線を戻した。

「じいちゃんは〈獣使い〉の一族じゃないのに、どうしてこの絵の背景には〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉が描かれているんでしょうか」

「それはわたくしにもわかりませんが………彼が子供の頃〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉に住まっていたからでは? 七賢者の一人ドン=エスとは幼馴染だったそうですし」

 その事はカナンも知っていた。以前、エイデンから聞いたからだ。自分の事は何ひとつ語ろうとしないのに、エイデンはワクトーの事はよく話した。

 ……と言っても、エイデンの語る言葉は簡潔すぎて、いつも会話は長続きしなかったが。

 レクサはテーブルの上の書物を指差した。

「〈石の鎖の庭(ブラントーム)〉は自分にとって故郷のようなものだとワクトーが言っていたと、あの〈勝利王〉の記録の書にも書かれていました。…………読んでみますか?」

 カナンは顔の前で両手をぶんぶん振った。

「いえまさか! 聖王陛下の日記を読むなんて、そんな大それた事、畏れ多くて出来ません……!」

 何てとんでもない事を言い出すのだろう、この王女様は。

 慌てふためくカナンに、レクサは面白そうにくすくす笑った。

「そんなにうろたえなくてもよいのに。大袈裟ですこと。遠慮は無用ですよ?」

「いえ! ほんとに結構ですから……!」

 レクサから遠ざかるように一歩下がり、視線を反らしたカナンの目に、ワクトーの肖像画の左隣……一番左側の肖像画が飛び込んできた。

 そこには繊細で美しい顔立ちの、二十才前後と思しき青年の姿が描かれていた。黄金で紡いだ糸のように光り輝く長い金髪と、澄んだ青い瞳。上品な銀の装飾品を付け、裾の長い純白の衣装にほっそりとした身を包んでいる。帯には彼の瞳の色と同じ青玉(サファイア)を連ねた房飾り。翳のある淡く儚げな微笑みを浮かべている。

 青年の周囲には真紅の大輪の薔薇が咲き誇り、はるか彼方まで一面の真紅の花園が広がっていた。霞がかった空には、連なって飛ぶ渡り鳥の群れ。数枚の薔薇の花弁が風に舞っている。

 そして、青年の胸元には雪の結晶の模様を彫り込んだ六角形の水晶の首飾りが光っていた。

 カナンは青年の肖像画の銘板を見た。


  エルレイ=ズヌイ

  誠実なる魂の持ち主にして

  水晶の歌を聴く者


「…………この人が………」

 エルレイ=ズヌイ。

 じいちゃんにアリアンテを託した人。

 生まれ故郷から遠く離れた異郷の地で、永遠の眠りについた。

 〈勝利王〉の友。

 〈地の民〉の恩人。

 〈勝利王〉オニールは彼の墓碑にそう刻み、その死を悼んだ。

 きっと、じいちゃんも。

 カナンは自分の胸元に手をやった。服の布地越しにアリアンテに触れる。

 ロザリンドの肖像画を見た時と同様、カナンは絵の中の青年の顔にも見覚えがあった。

 ガラハイド国領主館で、目覚める直前に見た夢の中で。

 あの夢を見たのはもう何ヶ月も前の事なのに、今でもはっきりと鮮烈に覚えている。

 彼は少年にアリアンテを譲っていた。

 いつか必ず返すからと、少年は彼に言った。

 預かるだけだから、と。

 しかし、それは無理だと、きっと叶わぬと、本当は少年にはわかっていた。

 今生の別れだという事が。

 あの時感じた心が軋むような悲しみが甦り、カナンは震える息を呑み込んだ。

 今ならわかる。

 あの夢はアリアンテが見せた過去の記憶だったのだ。

 きっとアリアンテは伝えたかったのだ。何故、自分の持ち主がエルレイからワクトーへと移り変わったのかを。

 彼らの物語を。

 友人と友人の血族の命を救う為、怒り狂い憎悪に満ちた敵軍に……かつての同胞に自らを差し出したエルレイは、結局約束は守られずドンたちが無残に命奪われた事を知っていたのだろうか?

 願わくば、彼がその事実を知る事なく逝った事を祈るばかりだ。

 せめて。

 そうでなければ………あまりに残酷すぎる。

 ………その時。

「…………『お前の過去が姿を現わす』、か………」

 ひどく苦々しげな呟きが聞こえた。

 カナンは振り返った。

 七枚の肖像画の一枚………ちょうど長椅子に座る者と真正面に対峙する位置に掛けられた肖像画を、睨みつけるような怖い顔でエイデンが見つめていた。

 そう言えば………と、カナンは思い至った。天窓から月光が射し込み、七枚の肖像画が姿を現わした瞬間から、エイデンはその肖像画の前で身じろぎひとつせず立っていた気がする。

 その一枚だけを、ずっと見ていた。

 忌々しくて堪らないというふうにエイデンは言った。

「全く………記録は一切残さぬよう、あれほど念を押したというのに…………あの記録魔め」

「エイデン? どうしたの?」

 エイデンの側までやって来たカナンは、彼が睨みつけている肖像画を見て思わず息を飲んだ。

 一瞬、鏡かと思った。

 黒衣の男の姿が鏡に映っているのだと思ったのだ。

 エイデンが見つめるその肖像画に描かれている人物は、それくらいエイデンにそっくりだった。

 腰まで届く黒髪。月のない夜の色の瞳。月の化身のごとく冷やかで端正な顔。額には黄金の額飾りを付け、黒衣をまとい、腰には漆黒の長剣を佩びている。長剣に刻まれた意匠も全く同じだ。複数の腕を持つ、不気味で不可思議な生き物の意匠………確か、エイデンは「女神の怪物」と呼んでいた。額飾りの文様も同じ。金の飾り留め具がついた黒豹の毛皮のマントを羽織ってはいるが、それ以外は寸分違わず全く同じ姿だった。天空高く月が輝く夜空と暗い色の大海を背景に、革手袋を嵌めた手を腰の漆黒の長剣に軽くかけ、まるで貴族のように毅然と佇んでいる。黒衣の後ろにうっすらと見える灰色がかった白い線は、エルレイの薔薇の園でエイデンがカナンに説明してくれた白百合の群生だろう。

「………あ!」

 突然、ある事を思いついたカナンは、固い表情をしたままのエイデンの横顔を見た。

「もしかして、エイデンも僕と同じように七賢者の末裔だとか? そっか、だから絵の中の人とそっくりなんだね。なんで今まで黙って………」

 やや咎めるような口調で言いながら、肖像画の銘板を確かめる。

 しかし、そこには思いもよらぬ名が刻まれていた。


  エイデン=イグリット

  通り名イル=ファン=イアと呼ばれた者

  〈勝利王〉の生涯の友にして

  黒い剣を操る者


最後までお読み頂きましてありがとうございました。

エイデンの正体がカナンにバレてしまいましたが、彼はその他にもいろいろ隠し事を抱えています。見かけと同じく真っ黒です。今後、徐々に明らかになっていく事でしょう。

記録魔なオニールが遺した七賢者の肖像画の銘板の文面は全て設定していますが、多分全員のを披露する機会はないでしょう(笑)

尚、七賢者の肖像画の掛けられている順番は、左から

 エルレイ=ズヌイ

 ワクトー=ベルー

 ロザリンド=アンダーレイ

 エイデン=イグリット

 ナセル=フレイズ=ホーデンクノス

 カハンティ=テュボー

 ドン=エス

となっています。

ご参考までに。


本巻 第三巻 集結 も佳境に入って参りました。

今後、カナンとエイデンの関係はどうなっていくのか。

次回も引き続きお読み頂けますと幸いです。

ではまた。

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