日本の車窓から
普段乗らない電車に乗ると、車窓の風景にちょっと驚きがあったりしますよね。出不精の自分ですが、電車や車から眺める風景は大好きです。
もうずっと前の事です。都市部に向けて走る電車から、外をぼんやりと眺めていた私は思わず「んっ⁉」と息を飲みました。
「痔」と、大きく一字だけが書かれた看板を見つけたのです。その建物の様子から、なんとなく「病院関係」であろうことは予測がつきました。
電車はあっという間に看板のわきを通り過ぎ、あの文字は街中の景色へと紛れていきました。
恐らく肛門科のクリニックとかの看板だったのではとは思うのですが、随分と思い切った看板だなあと感心しました。肛門科と言うか、「痔」に特化した医療機関と言う事だったのでしょうか。
すぐに通り過ぎてしまったので確かなことは言えませんが、医院名は建物の何処にも見当たりませんでした。尤も、電車側には建物の背面が向いているようでしたから、建物正面にはちゃんと医院名が書かれていたのかもしれません。
それでも、高々と掲げられた看板には「痔」の一文字だけ。デリケートな病名のひとつだと思いますので、悩んでいるけど受診していることを周囲に知られたくない……と言う方は、結構いらっしゃるのではと思います。どんなに腕がいい先生が診てくれるとしても、あの看板が掲げられた建物に入るのはちょっと勇気がいることでしょう。
今もまだ、あの看板が掲げられているのでしょうか。
そう言えば、「あります」とだけ書かれた看板もどこかで見掛けたのですよ。何があるんだろうなーっと色々と想像しました。建物と建物の隙間からちらっと見えただけなので、もしかしたら電車からは「〇〇、あります」の「〇〇、」が見えないだけかもしれませんし、「有升」「在桝」などの社名が平仮名で書かれているだけかもしれませんが、真相はいまだ藪の中です。そもそも何処で見掛けたのかも全く覚えていないという……。
車窓の外に広がる風景、中々侮れません。想像の翼が広がるばかりなのです。




