なにが怖いって、それは……
なんというか、代り映えのしない日常を過ごしています(未だ風邪っぴきですが)。
正直、平々凡々な自分としてはいつも通りに日常を送れることに、安堵こそあれ、文句などある訳もないのですが、そうなるとここに書くネタがありません。困りました……そうだ、折角なので、以前知人から聞いて「怖いな」と思った話でも書いてみましょうか。
知人女性Bさんから聞いたお話です。
Bさんは少々霊感のあるタイプと言いますか、時折、不思議なものを視ることがあるそうです。そんな彼女が結婚してすぐに住んでいた平屋でのこと。あ、因みに、御夫君はまったく霊感などないタイプだそうです。
夜中、Bさんは妙な時間に目が覚めました。元々眠りは浅いタイプらしいのですが、それでも、やけにはっきりと目が覚めてしまったそうです。
時計を確認すると、午前二時。バリバリの丑三つ時です。折角(?)目が覚めてしまったので、トイレにでも行こうと思い、彼女はベッドを抜け出しました。家の作りは、玄関上がってすぐ右手がトイレになっていて、彼女達が就寝している部屋から見ると廊下の左手側がトイレと言う事になるそうです。
必然、トイレに行くとなると、玄関がまるっと目に入るのですね。勿論そこはなんの異変も無く、個室にて用を済ませたBさん。
ところがです。個室を出てふと左手側に目を遣ると、玄関いっぱいに、猿が叫んでいるようなとんでもない形相の大きな顔が浮かんでいるじゃありませんか!
それを聞いた私、思わず
「うぉぉ……それは怖い……」
呟きました。Bさんも、私の言葉に深く頷きます。
「でしょ? 叫んでる顔をした猿って、本当に可愛くないの」
……ん?
「あ、うん……確かに可愛くはなさそう……」
「せめて叫んでなければねえ」
……んん?
「叫んでるかどうかが重要なんだ……」
「それはそうでしょ。あんな顔されたら、『なんで威嚇してんの』って思うじゃない」
……んんん?
どうも、私とBさん恐怖を感じるツボが地味にずれている気がします。
「『玄関いっぱいに浮かぶ大きな顔』って、怖いよね?」
「? 見ず知らずの猿に威嚇されたら、誰だってそりゃ怖いでしょ? まあ、野生の猿と違って、目を逸らしたら襲って来るってもんでもないし取り敢えず無視しといたけど」
「……ヘェ、ソウナンダァ……」
……なんでしょうか。色々なものを視慣れてしまうと、感性がずれて……というか、すれてしまうのでしょうか。私がビビったのは「霊的な存在である大きな顔」であって、「威嚇する猿」じゃないのです。いえ勿論、威嚇する猿は十分脅威なんですけど、この話の恐怖ポイントはそこじゃないと思いません⁉
人間って良くも悪くも順応してしまうのだな、と、軽く恐怖を覚えた話でした。




