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闇が恋しい時もある

 ええ歳して妖怪大好きな遠部でございます。


 好きな妖怪は「すねこすり」です。夜道を歩いていると、ふわふわした何かが脛を「すりん」とする、それだけの妖怪です。実体がよく分からないので、好きなだけ可愛い姿を妄想できるのですよ……ウフフフフフ……可愛いねぇ……ほぅら、その可愛い尻尾で好きなだけ「すりん」っとしてご覧……。


 ほんの百年も遡るだけで、宵闇は今よりも昏さを増します。車も無ぇ、街灯も無ぇ、携帯できる灯りは松明なんかが精一杯。人間が火を手に入れて長いこと経っても、そんな時代が続いていました。私たちが闇を恐れずに暮らせるようになったのは、ごく最近のことなのです。


 私達の目は、暗がりでは著しく機能が低下してしまいます。満月の光が0.2~0.3ルクスと言われているそうですから、手元の新聞の大見出しなんかはぎりぎり読めるかもしれない程度の明度です。それ以上暗ければ、殆どの物は形を掴むだけで精一杯で、それがどんな色をしているのか、具体的な質感などはまず分かりません。日が暮れたら明かりなど無い時代、そりゃ脛に風でも当たれば、「すわ、妖怪か!」となろうというものです。


 ちょっと思うのですけど、「灯り」って余裕の産物ですよねえ。夜とは昏いものであるのが前提なのに、態々エネルギーを使って明るくしているのですから……。

 勿論、夜が明るければ視力的な意味でも生活的な意味でも安全度は爆上がりです(明かるさの()()によってはその限りでもないかもですが)。ただ、昔の人々は別に夜が暗くても暮らせていたわけです。多大なエネルギーを払ってまで闇を払拭したのは快適に暮らす為ですが、前提として、そこに割けるだけのエネルギーがあるから可能なのです。それが砂上の楼閣なのかは置いておいて、そうやって人類は闇を追いやっているのです。善悪以前に、安全に暮らしたいと言う本能があるからなのです。


 私も一応人類の端くれですから、闇夜はおっかないのです。けど、妖怪にはやっぱり闇が似合う! 昼日中から登場する妖怪も居ますが、それでも彼等の住処は陽光のど真ん中ではなく、陽射しの隅に出来た夜よりなお暗い影の中であって欲しい。本音を言えば、自分の身は明るい絶対的な安全圏に置いて、妖怪という暗がり……恐ろしく、不思議で、美しくて悍ましい存在を堪能したい! そう、自分は絶対的な安全圏で(大事なことなので二度書きました)!!


 安全に過ごしたい。けれど、闇も残して欲しい。身勝手な人間の叫びでございました。

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