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素直になれない天使たち  作者: null
一章 お試し期間?
1/17

お試し期間.1

お久しぶりの方はお久しぶりです。初めましての方は初めまして!

定期的に百合小説を投稿しているnullと申します。


今回は『幼馴染百合×ケンカップル』という設定で創作しています!

また、いつもよりライトな感じで読めるような文章を意識して書いてみていますので、

ご興味がある方はお付き合い頂けると幸いです!


それでは、どうぞお楽しみ下さい!

莉音りおんくんとはそんな関係じゃないしっ!」


 机をばんっ、と叩いて立ち上がった私――花咲祈里はなさきいのりへと、放課後の暇を持て余していた生徒たちの視線が集まった。


 でも、そんなことは気にしていられない。目の前で頬杖ついて意地の悪い顔をしている幼馴染が私の大事な友人、『莉音くん』のことをけなしたからだ。


「静かになさい。みっともないわよ」


 蒼井夜重あおいやえ。小学校から高校まで、ずーっと私と一緒に学生生活を送ってきた、腐れ縁の幼馴染だ。


 手入れの行き届いた濡羽色の黒髪は腰まで伸びていて、夜重を象徴する特徴の一つだった。他の特徴は才色兼備だとか、クールビューティーだとか言われているが、私は認めていない。


 夜重なんて、ちょっと綺麗で頭が良いだけの、ニヒリスト気取りのマセガキなのだ。


「というか、そもそも本当にいるの?その莉音くんとやらは」


 ふぁさ、と美しい髪を手で払いながら言う夜重に、色んな意味でイラっとして私は拳を握る。


 こっちはくせ毛がすごくて、夜重みたいに伸ばそうとすると酷いことになるのに。おかげで私の力じゃセミロングが限界。


「いるし!何を疑ってんのさ!?」

「どんな人なの、その男」

「えっと…頭が良くて、優しくてぇ、色々と相談にも乗ってくれてぇ、かっこよくてぇ」


 莉音くんとは、数か月前にSNSで知り合った。私が夜重の愚痴を呟いているところを、優しく声をかけて話を聞いてくれたのだ。


 それ以来、相談役として莉音くんにはお世話になっている。主に目の前のこいつのことに関して。


 そんな莉音くんと、今日、初めて実際に会おうということになったんだけど、それを夜重に話したら、虫でも見るような目で、「正気?そんな怪しい男と会うなんて。援助交際でも始めるつもりじゃないわよね」と冷たく問われたので、私は怒り散らしてやっているところだった。


「…はぁ」


 それだけで太陽も隠れてしまいそうな色っぽいため息に、私は「ぐぬぬ」と歯ぎしりする。明らかに、哀れみと呆れでいっぱいの眼差しだったからだ。


「祈里、私の気持ちも考えて」

「え?」


 夜重が物憂げにそう言うものだから、つい、私も驚いて彼女を見つめてしまう。


 莉音くんの話をされて、もしや、友だちを取られると思ったのでは…。昔から嫉妬深い夜重だから、ありえないことじゃない。


 なんだ、それならちょっとかわいいじゃん。


「十年来の幼馴染から、急に痛々しいイマジナリーフレンドの話をされているのよ?私がどんな気持ちになると思うのかしら?」

「い、いまじなりー…?」

「空想上のお友だちのことよ。主に幼児期に作り出すとされているわ」

「こらぁっ!」


 あまりに不名誉な心配に、私はさらにもう一度、渾身の力で机を叩く。


「私は幼児じゃないし!れっきとした高校一年生だしぃ!」


 私が感情を抑えられずにわめくのは珍しいことではないためか、クラスメイトの注意は半分ほど失われていた。


 ただ、いつも仲良くしている友人はその限りではないようで、いつもよりちょっとだけ派手にやり取りしている私と夜重のところに寄ってくる。


「なになに、また夫婦漫才してるの」

「違うわよ」「違うって」


 二人の声が重なれば、「説得力ないなぁ」と友人である立垣青葉たてがきあおばが笑う。


 青葉は、クラスになぜか一人はいる、『この子と仲の悪い人間っていないよね』というタイプの生徒で、ポニーテールがトレードマークの女の子だ。


 愛らしい顔つきではあるものの、夜重と比べれば平々凡々として見えるし、成績がトップクラスというわけでもない。ただ、ソフトテニス部に所属していて、運動はできるほうである。私と違って。


 ちなみに、青葉と全く同じ顔をした呉羽くれはという生徒が隣のクラスにいる。一卵性双生児というやつだが、雰囲気といい、ぼうっとしている様子といい、顔が似ているだけの他人としか思えない感じの子だ。


「で、なんの話してたの?」

「あ、そう、そうなの!あのね――」

「祈里の空想上のお友だちの話よ…」


 よくぞ聞いてくれました、と私が説明しようとしていた矢先、横から夜重が嫌気と憐れみを多分に感じさせる声音で割り込んだ。


「えっ…まじ?」


 当然、青葉も表情を曇らせる。『祈里って、そんな気持ち悪いやつだったの?』と顔に書いてあるから、私は汚名を晴らすべく、全速力で携帯の画面を操作して叫んだ。


「ちーがーうっ!ちょっと待ってて、今、証拠を見せるから」


 そうして私が準備している間にも、夜重は好き勝手に私の不名誉な話を、脚色を交えて青葉に行っていた。


 昔から、詐欺メールにマジレスするような子だったとか。


『コンタクトレンズ落としちゃったんで、動かないで下さい!』とかいう遠回しなナンパにも気づかず、言われた通りにする子だったとか…。


 畜生、空想の次は詐欺か…。


 ちなみに、コンタクトレンズのときは、慌てて立ち止まった私の横を夜重が悠然と歩き出したせいで喧嘩になった。『人が困ってるんだよ!?』と真剣に言う私に向かって、『本当に貴方、馬鹿ね。ナンパに決まっているでしょう』と冷めた顔で返されたせいである。


 思えば、夜重は知り合った当時から、正論大好き人間であった。


 合理性のなんたるかを考え、効率を重視する小学生…うん、かわいくない。今もかわいくないのは変わらない。…美人だけど。


 夜重との過去を振り返りつつ、目的の画面を表示させた私は、黄門様のご印籠の如き勢いで二人にそれをつきつける。


「ほらぁ、見てよこれ!」


 興味津々で画面を覗き込む青葉に対し、夜重はどこまでも迷惑そうだ。ただ、気にはなるようで顔を近づけず、じっと目を細めて画面を見つめている。


「…トーク画面?」と青葉が言う。

「そう!ほら、莉音くんは実在するの!」

「今の御時世、自動返信型のAIも――」

「AIとこんな会話するかっ!」


 そうやって私がスクロールした画面には、私と莉音くんの花も恥じらう乙女らしいやり取りが映し出されていた。



 ――『明日が楽しみで眠れないよ、祈里』

『私もだよ、莉音くん♡』

『電話では話したこともあるけれど、実際に会うとなると…やっぱり、ドキドキするね』

『うん♡』

『ちょっとだけ、実際の僕を見て幻滅されてしまわないかな…って不安はあるけど、祈里ならありのままの僕を見てくれると思っているから、大丈夫だよ』

『莉音くん…♡どんな莉音くんでも、莉音くんだよぅ』

『ありがとう、祈里』

『うん♡あのね、私も明日――』



「もういいわ」

「わわっ」


 ぐいっ、と手を伸ばしてきた夜重に携帯を押し戻され、私は危うく携帯を落としかける。


「ちょっと夜重!危ないじゃん」

「危ない?」


 夜重がしかめ面する。美人顔だから、こういう苦虫を噛み潰したような顔も様になる。


「こんなおぞましいものを見せられた私のメンタルのほうが、十分に危ない目に遭わされているわ。なによ、これ。『莉音くん♡』じゃないわよ、気持ち悪い。人間なら言語を介しなさい」

「き、気持ち悪くないもんっ!」

「気持ち悪いわ。良い歳してハートなんて送る貴方も、この気障過ぎて吐き気を催しそうな文章を送ってくる莉音とかいう人も、どちらともね」

「あー!莉音くんの悪口言わないでよ!」

「気持ち悪いものを気持ち悪いと言って何が悪いのよ。というか、祈里…この人とは『そういう関係ではない』と明言していたわよね。貴方は、誰にでもハートなんて送る女なのかしら」

「え…いやぁ、それは…」


 実際に話してみた莉音がタイプだったなら、あわよくば…という気持ちを夜重に見透かされる。しょうがないじゃないか、私だって、花の女子高生なんだもの。


「全く、呆れたものね…ねぇ、青葉」


 不意に意見を求められたにも関わらず、青葉は素早く夜重に同意した。酷い。


「気持ち悪いかはさておきさぁ…なんか、大丈夫なの?これ。新手の詐欺じゃない?会ったらおっさんだったりしない?莉音くん」


 捻くれ者で意地悪な夜重はさておき、青葉までそんなことを言ってくるから、私はついついむくれて二人を睨みつける。


「二人して私を信じてくれないんだから。いいもん、別に」

「よくないでしょう。私の許可もなく勝手に――」

「はぁ?なんで夜重の許可なんているわけ!?夜重は私の彼女か!?」


 ぴたり、と夜重の動きが止まる。キモイ冗談と思われたかな、と内心不安に思いながらその顔を見上げると、夜重は酷く不愉快そうな顔で私を睨みつけていた。


 何も言葉はない。だからこそ、なんか怖い。マジギレ寸前なのかも。


 私は急いで言葉を付け足し、沈黙を破る。


「ふん、夜重になんか、言わなきゃよかった!」

「…ええ、私も聞かなければよかったと思っているわ。そうすれば、車輪の下に巻き込まれるようなことにもならなかったでしょうに」

「変な嫌味言うな!ばかっ!」


 本当は誰にも秘密にするつもりだったんだよ?特に夜重なんかは。絶対にうるさく言ってくるって分かってたもん。


 本人は覚えていないようだけど、小学生の頃、私に文通相手がいると知った夜重は、酷く怒ったし、私が手紙らしきものを書いていると、中身がなんであれクシャクシャにされることまであった。


 …本当、昔から夜重はお節介焼きで、心配性で、意地悪なのだ。


 そんな夜重に莉音くんと会うことを知られてしまったのは、ひとえに、私がこの幸せを誰かに自慢したいと思ってしまったせいだ。なんて馬鹿なことをしたんだ、三十分前の私。でも、『なにか楽しそうね。どうかしたのかしら?』なんて鋭く聞いてくる夜重も悪い。うん。


「とにかくだよ。二人とも」


 じっとりとした目つきをしている夜重と、心底心配そうな顔をしている青葉に向かって指先を向ける。


 そうして、私は選手宣誓みたいに高らかに宣言した。


「莉音くんは実在してるし、私の相談を真面目に聞いてくれるいい人なの!二人がなんと言おうとね!」

「…私からすれば、箱の中の猫と同じよ」

「は、箱?猫…?」

「はぁ…貴方は本当に物を知らないわね」


 呆れたような声。いつもの嫌味だ。私の分からない知識でマウントを取ってきているのだ。


「ぐ、ぐぬぬ…」


 負け犬よろしく歯ぎしりして夜重を睨みつければ、彼女は優雅に髪を振り払って立ち上がった。


 どうでもいいが、いちいちこういう大人びた仕草が様になる。ほんと、羨まし――じゃない、マセガキなんだから。背伸びしちゃって。


「蓋を開いて中身を確かめてみなければ、本当に存在しているのか、それともモテない祈里の悲しくみじめな妄想なのか、判別のしようもないってことよ。私にとっては今、どちらも事実として――」

「あー、もう!意味分からないことをごちゃごちゃ言わないで!とにかく!本当にいるんだってば!」

「はぁ…どうだか」

「いる証拠を見せたでしょ!」

「あんなもの、どれだけでも捏造できるわ」

「ぐっ、い、いない証拠だってないでしょうよ!」

「次は悪魔の証明?」

「なに言ってんの、莉音くんは悪魔じゃないもん!」

「…はぁ」


 ヒートアップしかける私と夜重…って、熱くなっているのは私だけか。夜重はいつもの冷めた調子だ。


 このままでは本気で夜重を蹴飛ばしそうだ(なお、足の長さには雲泥の差がある模様)、と思っていると、見かねた青葉が仲裁に入ってくれた。


 入ってくれたのだが…。


「まあまあ、二人とも。そんなにもめるんならさ、こうすればいいじゃん」


 ぴん、と伸びた人差し指に、得意げな顔の青葉。


 それを見て、私はなぜか嫌な予感を覚えていた。


 そしてそれは、見事に的中することとなる。


「確かめに行けばいいんだよ。本当に莉音くんが実在していて、おっさんじゃないかどうかをさ」



「ほんと、見るだけだからね」

「分かっているわよ」


 私は、能面みたいな表情をして隣を歩いている夜重に念押しする。それにしても、ニコニコしていなくともこう、人目を引けるから、美人というものは得である。全く、世の中は不平等だ。


「絶対の絶対に、絡んだりしないでよね。見るだけだからね」

「分かっていると言っているでしょう。ちゃんとまともな人間のオスであることを確認したら帰るわよ」

「なにそれ!?莉音くんを猿かなにかだと思ってんの!?」


 渾身の怒りのツッコミも虚しく、夜重は私をスルーして、莉音くんと待ち合わせしているファミレスに入っていった。


「ちょっとぉ、私より先に入らないでよ!」


 どうして私より先に入るのだ。莉音くんは先に到着しているらしいから、店に入ってきた夜重(美少女)を見て、私(一般人)から目移りしたらどうするんだ。


 夜重から、私への落差。


 …失望するに違いない。それくらい、夜重は魅力的だ。


 整った容貌もさることながら、誰にも愛想を振りまかない狐狼の如き在り方は、どうしてもその辺に生えている葦みたいな人間を魅了する。私だって、その一人だ。


 私の制止も振り切って、夜重は店内を進む。彼女に声をかけて、「連れがいますので」と冷淡にあしらわれた女の店員さんも、夜重のピンと伸びた背筋に釘付けだ。


 暗闇で星を眺めるような眼差し。あぁ、シンパシー…。


 キョロキョロと辺りを見渡す夜重。夜重は莉音くんの写真がないから、見つけようもないって分かっているだろうに。ちょっとだけ、合理的な夜重らしくない行動だ。早く帰りたいのだろう…。


 私も急いで夜重の後を追いかけ、辺りを見渡す。


 かっこいい男の子…身長は175センチほどで、ふんわりとした金髪…それでもって細身…。


 プロフィールと写真を鵜呑みにして莉音くんの姿を探すと、あっ、と思える人が一人だけいた。


「りお…」と片手を挙げかけていた私だったが、よくよく見るとその相手は大胆なホットパンツに網タイツを履いていることに気づき、手を下ろす。


(スレンダーなだけで、胸もある。あれは女の人じゃぁん、あぶねー…)


 それにしても、顔立ちはそっくりだ。まさか、本物の莉音くんに出会う前にそのドッペルゲンガーと遭遇したとでも言うのか…。でも、イケメン女子だ。超絶に残念。


 そうして、私はしばらくの間、夜重と共に店内を見渡していたが、それらしき人物の姿はなかった。


 学制服を着た男子高校生らしきグループはいくつかあるが、夜重に見惚れている感じがあるだけで、待ち人を探している気配はない。


「…いたずら説に一票ね」と夜重がため息混じりに意地悪を言う。

「うぅ…夜重の意地悪」


 さすがにこれはショックだ。そのうち、『ごめん、今日は行けなくなったんだ』なんて連絡がくるのかも…。


 あからさまに落ち込む私の頭に、ぽん、と夜重が手を置く。見上げれば、たまーに夜重が見せる優しい顔があった。


「しょうがないわね」


 こういうとき、だいたい夜重は私を甘やかしてくれる。普段がツンケンしているから、優しい声にはギャップもあって、どうしようもなく私の心をくすぐるときがあった。


 だから、今日もそんなふうに終わるんだと思った。


 私、花咲祈里の間抜けなエピソードを、クールで頭の良い蒼井夜重がフォローして、ちゃんちゃん、ってエンドロール。


 でも、そうじゃなかった。


 青天の霹靂とも言える事件は、本当に、地震みたく急に起こるものだったんだ。


「私が好きなもの奢ってあげるから、一緒に――」

「祈里?」


 ハスキーな、色っぽい響き。


 声の持ち主は、探すまでもなかった。


 私の隣に立っていたのは、さっきの網タイツスレンダーお姉さん。


 え、今、私の名前呼んだ?幻聴?


 目を丸くして、お姉さんを見つめる。夜重もそうしていた。


「あ、あぁ、違ったらごめん。僕は――」


 僕。


 僕は、って言葉に、私は反射的に口を開いた。


「莉音…くん?」


 ぱぁ、とお姉さんの顔が明るくなる。


「やっぱり、祈里だよね!」


「じゃあ!貴方が!莉音…くん…?」


 莉音『くん』…?


 私はお姉さんの整った顔から、足先までを何回も繰り返し観察する。


 網タイツ、ホットパンツ、スレンダー、胸、網タイツ、ヒール、貧乳、美形、口紅、カラコン、貧乳、ホットパンツ、網タイツ…。


 あれ、おかしいぞ。予定が違う。


 私の視線に、お姉さんは苦笑いする。


「あー…やっぱり、男だと思ってたよね、祈里」


『男』だと思ってたよね…?


 と、いうことは…。


「僕が莉音で間違いないけど…僕、女だから」

土日を除いて、隔日で定期的に更新していく予定ですので、

まったりとお付き合い頂けると嬉しいです。


本日は夜に続きを掲載しますので、よろしくお願いします!

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