策略
別に邏與君全然この物語の中でも本来強い方なんだよ。
他がインフレしてるのが悪い。
開始から時間は経ち戦闘は激化していた。
弾幕を撃ち、相殺されその間にまた撃ち、相殺される。
とにかくなんとか隙を作る必要があるのに、遠い。
だが繰り返すしかない。
攻撃を放つ。
相殺。
また放つ。
相殺。
相殺。相殺。相殺。
そして回避。
歯噛みする。
ここまで攻撃が当たらないとは。
正直もう邏與は余裕が無くなって来ている。
なにせ、
「っ!くっ。」
「あ、惜しい。中々当たんないじゃん。よく避けるねぇー。」
先程からアカネが合間に攻撃を放って来るようになった事で一気に別の攻撃を発動するチャンスが無くなった。
発動しようとしても直ぐに察知され先んじて撃たれる。
ここまでの差があるとは思っても無かった。
だが、このまま防戦一方では意味が無い。
何より自身のプライドが黙っていない。
やむを得ない。少し予定より早いが事前に考えていた策を発動する事を決める。
その為にもまずは後の事を考えず全力で攻撃する!
「穿て。“黒淵次元孔”。」
先程攻撃したものより色が濃く、さらに大きさ、エネルギー密度、弾幕量、そして速度も大幅に上昇したそれがアカネに向かう。
一発の威力は先程まで撃っていたアカネのレーザーなど比にならないレベル。
此処のように戦闘用に作った空間じゃなきゃ撃った世界が消失し、多分周辺世界まで巻き込んで被害を出すレベルだ。
その力を感じアカネは理解した。目の前の彼は決して弱くはない。
まだ未熟だがいずれ強者にならんとする者だろう。
そしてこれは真っ向から受けて立ちたいと。
先程から期待し始めていた心に更に火が着いた。
「成程!それならこちらも弾幕戦といこうじゃないか!」
アカネは楽しそうにそう答え、唱える。
「燃やし尽くせ、“界滅の焔”よ。」
それはかつてある世界を一瞬にして焼失させた焔。
最近嫌がらせの対策にしか使って無かったがれっきとしたヤバい代物だ。
暗黒と焔の大群が衝突した。
凄まじい轟音に余波で暴風が吹き荒れる。
「すっごい!やるじゃん!これと互角だよ面白い!」
「こっちにその余裕はないがな…!」
一見互角、しかし表情を見ればどちらが有利か分かる。
(なんという出鱈目だっ…!“黒淵次元孔”は消失属性もそうだが周囲含めた吸収と反射効果まであると言うのに抑え切れない…!?くっ。相殺が限界か。ならもっと!)
「貫け!“黒淵失槍”!」
先程撃った暗黒槍。それを更に強化させ、かつ今撃っている“黒淵次元孔”の特性も兼ね備えた攻撃が放たれた。
アカネは楽しそうに笑う。
「あはは!凄いね!ならわたしは“界滅の焔剣”!」
焔の形状を剣に変え、振りかぶる。
槍はその一振りに消されて届かない。
「まだだ。もっと数を増やす!」
数が増えた。
視界を埋め尽くす程の凄まじい量だ。
そしてその全てがアカネに急速に迫る。
その時、アカネから急に魔力反応が膨れ上がる。
その瞳が紅く光った。
「ならこっちは全て吹き飛ばす!“エクスプロージョン”!」
凄まじい光。そして世界から音が消えた。
直後。爆発と共に轟音が響き渡り、暴風が更に吹き荒れ、煙が視界を覆い、辺り一面が消え去った。
邏與が放ったものなど一つも残らず呑まれ、無い。
そしてその中心で悠々と佇む。
「ふう。やっぱし爆発は正義。…ってあれどこいった?」
先の衝突で姿を絡ませたのか。
目の前にいた邏與が居ない。
即座に感知魔法を発動するが確認出来なかった。
隠蔽が上手い。
何かしてくる。
アカネがわずかに警戒を感じさせたその時だった。
「まってこれは…ってやば!」
「もう遅い。このチャンスは逃さない。“無感領域”」
世界が暗黒に染まった。
正直エクスプロージョンでめぐみんボイスが頭にめっちゃよぎった




