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第6話 守りたいもの

 エミリアは王宮内に用意された部屋で過ごしていた。

正式な宮廷医師の任命には、もう少し時間がかかるようだ。


「エミリアさん、今よろしいでしょうか?」


 サルヴァがエミリアの部屋へとやって来た。


「どうぞ」

「失礼致します」

「今、お茶を淹れますね」

「すみません。あなたにそんなことまでさせてしまって」

「いえ、好きでやっていることですから」


 エミリアは自分の分とサルヴァ殿下の分のお茶を淹れる。


「どうぞ」

「頂きます」


 サルヴァは、自分の前に置かれたカップに手を伸ばして口をつける。


「これは、美味しいお茶だな。疲れが飛んで行くようだ」

「私が好きなお茶なんです。疲労回復の効果があるんですよ」


 遠く離れた東の国のお茶をエミリは輸入していた。

このお茶には疲労回復や集中力を高めるような効果がある。


「さすがです。こんな美味いお茶は初めてだ」

「ありがとうございます。それで、私に用事があったのでは?」

「ああ、そうだった」


 サルヴァはお茶の入ったカップをテーブルへと置く。


「父上の治療にあたってた医師たちは医師免許と貴族位の剥奪に領地は没収になったよ」

「そうですか。さすがは名君、仕事が早いですね」


 あれだけ危険な瀉血を繰り返して、国王の命を危機にさらしたのだ。

罰せられるのは仕方のないことだろう。


「それと、明日に決まったよ」

「何がでしょう?」

「エミリアさんの宮廷医師任命式ですよ」

「随分と早くなりましたね」


 任命にはさまざまな手続きを踏まなければならない。

半月くらいはかかるものだと思っていた。


「まあ、今回の件で宮廷医師のほとんどを失ってしまったからな」

「なるほど。確かにそうですね」


 王宮医師は現在人員不足ということで、手続きを急いだらしい。


「私から、エミリアさんに一つお願いしてもよろしでしょうか?」

「はい、なんでしょう?」

「これからも、私にエミリアさんのことを守らせてはいただけないでしょうか」

「え!?」


 確かに、サルヴァ殿下はここに来るまでに約束した。

エミリアを敵意から守り抜くと。

それは、今回のことだけでなくこれからも守り続けたいということらしい。


「あなたは守られなくてはなりません。これからあなたに救われるであろう、沢山の命の為にも」

「ありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね」


 そう言って、エミリアとサルヴァは握手を交わした。


「はい、この命に代えてもあなたを守ります」

「私、命を粗末にする方は大嫌いですよ?」


 エミリアは悪戯っぽく笑みを溢した。


「敵いませんねあなたには」

「頼りにしてますよ。殿下」


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