第16話 美とは生き様
エミリアは与えられた研究室で、化粧品の開発を始める。
帝国に居た頃に、化粧品の制作している商会と共同開発していた経験があるので、さほど難しくは無いだろう。
「水銀を使わず、安全に美しい肌を手に入れられるもの。クリーム状にしてみましょうか」
そうと決まれば早速、取り掛かる。
幸い、手持ちの材料で制作する事ができそうだ。
材料を書き集めて、魔法を使って調合していく。
調合を始めて数時間が経過した。
「なんとか、できましたね」
試作品がいくつか完成した。
エミリアは自分の手の甲と顔に塗ってみる。
「ひりつく感じもしないし、大丈夫そうですね」
人体に害の無いもので、作っているので長時間つけていても問題ない。
ついでだったので、化粧落としも作ってみた。
こうした開発は実験みたいで結構、楽しいものだ。
「ねぇ、サルヴァ殿下と侍女さんたち呼んでもらってもいいかしら?」
「かしこまりました」
エミリアについてくれているメイドがすぐに動いてくれる。
数時間後にサルヴァが時間を作ってくれた。
「お時間を頂きありがとうございます」
「いや、構わん。侍女たちも連れてきてという事だったから連れてきたぞ」
サルヴァの後ろには、6名の侍女たちがいた。
「ありがとうございます。ちょっと、侍女さんたちにこちらを試して頂きたくて」
「これは?」
「私が開発した白粉です。人体に害がない成分で作ってみました」
「そんなことも出来るのか!?」
殿下は驚きの表情に変わる。
「以前、化粧品を扱う商会と共同開発をしていたので」
「規格外というべきだろうか」
「サンプルは多い方がいいので、実際に使ってみて感想をお聞きしたいのですが、よろしいですか?」
「みんな構わないか?」
サルヴァが侍女たちに尋ねる。
「私たちでよろしいのであれば」
「筆頭宮廷医師様が作った化粧品が試せるんですね!!」
「ぜひ、やらせてください!!」
侍女たちは目をキラキラさせている。
やはり、新しいものには興味を惹かれるものだろう。
「では、お願いします。こっちがクリームタイプにした白粉です。日焼け防止効果もありますので、ぜひ試してみてください。こっちは化粧落としです。これをこうして布に染み込ませて擦るだけで簡単に落とせます」
「日焼け防止の効果もあるなんて!」
「とりあえず、一週間ほど試してみてください。何か肌に異常があればその場で使用をやめて、私に診せてくださいね」
「分かりました!」
これで、サンプルは取ることができる。
自分でも試してみて、異常がなければ販売ルートに載せることができるだろう。
「殿下もご協力ありがとうございます」
「本当にすごいな。ただ禁止にするだけじゃなく、その後のことも考えるなんて」
「美とは生き様ですからね」
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