97.彼女3人の女子トーク ②
「私は本気を出せば、ちゃんとやれる女だよ。勉強なんて楽勝だもの」
ミューリがそう言うと、依織とロサリは疑うような目で彼女をじっと見つめ、声を揃えて言った。
「それはないでしょう」
「二人とも、なんて辛辣なの?」
ミューリは少し拗ねたように言ったが、依織は突っ込みを追い打ちする気もなく、軽くため息をついた。
「イオリの心は鬱しい緑に染まっているのかしら?」
ロサリが冷静に問いかける。依織は嫉妬の感情を隠すかのように微笑んでいたが、
ミューリにはその色の話が分からず、直感で聞く。
「確かにいつもと違うよ。いつもなら先に声をかけるのに、今日はなんだかボーッとしてる。何かあったの?」
依織は顔に浮かべた笑顔を消さず、少し眉をひそめながら答えた。
「大したことじゃないけど、人の見ちゃいけないことを見ちゃったの」
ロサリが感情を抑えたまま言った。
「イオリの意識が乱れているようね。何があったの?」
「それはますます気になるね」
二人の関心が集まるのを見て、依織は少し焦りながら言った。
「話すよ、でも、場所を変えましょう」
3人はペルシオンタワーに入り、転送ゲートで3階に上がり、授業で使われていない教室に入った。誰もいないのを確認してから、それぞれ席に座った。
「それで、依織ちゃんの悩みは何?」
依織は少し恥ずかしそうに声を小さくして言った。
「彼が、知らない女の子と二人きりで念話をしているのを見ちゃったの」
それを聞いたミューリは興味津々だったが、一気に肩を落とし、がっかりしたように言った。
「なんだ、男の話かよ。もしかしてイオリちゃんが一般人には聞かせられないトップシークレット情報を手に入れたのかと思ったのに〜〜」
ミューリは事件の話を聞くと興奮するが、男の話になると急に興味を失い、長椅子に寝転がろうとした。
「ミューリちゃん、私は入学してまだ1ヶ月未満の新入生だよ。そんな重大な情報を知ってるわけないでしょ」
「それで、依織ちゃんが悩んでるのは、一緒にシミュレーション戦闘をした、高校時代の同級生の男が他の女に取られたこと?」
依織は肩をすくめ、否定する。
「取られたなんて、そこまで思ってないけど……」
ミューリは上半身を起こし、普段チャーミングな依織がうつうつとした顔をしているのが見ていられず、少し苛立ちながら言った。
「それなら放っておけばいいじゃない?男って、調子に乗ると身勝手なことをするものよ」
依織も念話でのやりとりは周りからは分かりづらいものだと感じていた。もしかしたら、ただの個人的な依頼のやり取りかもしれないと考えつつも、気持ちは晴れなかった。




