表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/146

132.葛藤、共闘、人命救助 ②

振り向くと、十数体の植物軍団が彼らに向かって押し寄せてきていた。


「またこんなにも擬似体を作ったのか……!」


依織は新たな盾を構え、戦闘態勢に入った。


「トオルくん、私が敵を食い止めるから、その間に人質を解放して」


「分かった。でも、無理はするなよ!」


依織は敵に向かって駆け出し、トオルも奮起して解放作業を急いだ。


メアリの弱点を狙って攻撃することで、怪人たちはさらに凶暴で素早く動き出した。依織は奮戦を続けるが、いくら倒しても次々と現れる敵に、渋い顔で冷や汗をかきながら言った。


「きつい……この怪人たちの動きはさっきまでとは全然違う……」


「弱点を突かれたから、全力で抗おうとしているのか?やっぱり、僕も戦いに加勢するべきかな?」


「うん、お願い」


その瞬間、光の束が敵を貫いた。


次々と怪人たちが赤い光に打たれ、爆散していく。


「これは一体……?」


「君は!石井春斗!?」


 トオルと依織が視線を向けると、そこにはベリーショートの髪をブラウンとゴールドに染め、黒銀の太いノンホールピアスを付けた男が立っていた。彼は右腕に90センチほどの黒銀の盾を装備しており、その裏にはビームライフルと、リボルバー式発射装置が組み込まれた六本のニードルランサーが内蔵されている。


「トオル君、この人って、あなたと賭け勝負をした人よね?いつも玄関でアクセサリーを売っているあの詐欺商売人」


「ああ、そうだ」


春斗は口角をつり上げ、嘲るように言う。


「お前がここまで追いついてくるとはな。思ったよりも役に立つじゃないか」


「あなたはどうし貪食者グラムイーターのことを協力するの?」


「ふふ、これが俺のやり方だ」


そう言いながら、春斗はビームライフルでさらに一体の怪人を撃ち倒した。


「一体何が目的だ?」


「奴らの仲間に入り込んで、証拠を掴むためだ。そう、いわゆる潜入捜査ってやつさ。ここで、俺に協力させてくれないか?」


しかし、春斗の言葉には微妙な不自然さがあり、脈音パータンも嘘を吐いていることが分かる。トオルは不信感を強めて眉をひそめた。


「そんなの必要ない。君は何か企んでいるが知らないけれど、気安くに仲間を裏切る奴の助けなんかいらない!」


「そうか、せっかく同胞を助けようとしているのに、拒否されるとはな。撤収するか?撤収〜撤収〜」


春斗はそう言って背を向け、よそよそしい口調で笑った。


依織は怪人を斬り倒しながら、盾を押し飛ばして春斗に呼びかける。


「待ちなさい!協力するかしないか、そんな簡単に気を変わるなんて大人げないね。そんないい加減な態度だから、誰からも期待されないでしょうね?」


依織の挑発にカッとなった春人は振り返り、ニードルランサーを発射。数体の怪人に刺さり、動きを止めたところで、ビームライフルで仕留めた。


「これでどうだ!」


「よく狙っているじゃないか、もっと頼れるかな?石井さん」


春斗は飛び降り、盾の裏に取り付けられた黒銀の柄を外してグラムソードに変え、戦闘に突入した。


「依織さん……?」


「人命救助が最優先よ。今は石井さんの力が必要だわ」


「分かった……タマ坊、一時的に彼と共闘しろ」


依織の説得にトオルは動揺しながらも指示を出した。


春斗は不敵な笑みを浮かべ、ビームライフルで次々と怪人を撃破しつつ、依織に向かって言った。


「ふん、お前は、見た目以上におっかない女だな」


「どういう意味かしら?」


薄い笑みを溢す依織はそう答え、盾で攻撃を防ぎながらさらに怪人を斬り倒していく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ