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119.決戦の時 ①

階段を上ってきたトオルと依織は、この階層で最も大きな部屋の前に到着した。

観音開きの扉には、無数の蔦が絡みつき、真上の換気口から生え出している。その蔦は社長室の鍵センサーまでを覆い尽くしていた。廊下や天井、床は新しく整えられているが、この階層を侵食した蔦は、十年以上かけて育ったような深緑で、異常事態が一目で分かる。


「ここでしょうか?」


「間違いない。しかし、工場がここまで侵食されているとは……もはやこの場所は彼女の私物と化したな」


「彼女を倒して、身柄を確保しよう」


「ああ」


二人が近づくと、彼らの気配に気付いたかのように扉が自動で開いた。

広さ40畳ほどの部屋からは、監視窓越しに機関の中枢部が見下ろせる。


先日とは異なり、部屋全体が緑に覆われていた。床は蔦で編まれたカーペットになり、天井からは無数の蔦が垂れ下がっている。その風景はもはや魔窟のようだ。そして、少女は机の上に座り、脚を組んでいる。彼女の背後には植物巨人が二体立っていた。外見は先ほどのものとは少し異なり、背中に翼はなく、代わりに腕と脚が倍ほど太く、阿吽の金剛力士像のように左右に立ちはだかっている。


トオルはその少女を見つめ、言葉を投げかけた。


「君が植物怪人を操っている張本人か?」


少女はトオルの目を見つめ返し、妖しい笑みを浮かべた。


「ふふふ、ここまで来たことは褒めてあげるわ」


依織は彼女の顔を見て、自分と同じくらいの年齢に見えることに驚き、大人びた険しい表情に思わず目を丸くした。トオルが訊ねかける。


「君は一体何者だ?」


「教えてあげてもいいわ。名も知らない相手に命を奪われるのは、さすがに可哀想だから。私はメアリ・オリアン。残念だけど、君たちの幸運はここまでよ」


「どうして男をあんな風に扱うの?」


「その賢そうな頭で考えてみなさいよ。…いや、猫をかぶった優等生には理解できないでしょうね」


「何だって?」


「あんたの顔を見るだけでよく分かるわ。人々に期待され、慕われる女なんて、見ているだけで気分が悪くなるわ」


 高校時代は依織は確かに人望が恵まれたが、それでも、彼女の事を嫉妬し、知らない所で陰口で悪い噂をばら撒く女子生徒も居た。その生徒たちと当面で嫌がらせ行為された理由を聞かせてでも、いつも有効なコミュニケーションができなかったことがよくあった。そんな仲が合わない人間からの嫌がらせ問題をけじめする経験があり、依織は涼しい笑みを溢す。


「なんだ。言い訳を言うつもりないね?言えるうちに言わないなら誰でも分からないでしょうね?」


メアリは不快そうに依織を睨みつけた。


「ふん、気が合わない相手に教えるなんてないわ」


「ぼくはオリアンさんの事が分からないが、君は他の仲間がやったことがここまでだ」


トオルは真剣な顔で尋ねた。依織はトオルに振り向けた。


「それはとんでもない勘違いだね、出来こない奴らが勝手によしよしごっこを付き合うだけよ。結局、使える男が一人もない、始末するのは私しかできないね」


「それなら何故その連中の仲間になる?」


「もちろん、獲物をもっと多めに狩れる為ね、利益のために交友するのは大人社会の掟だよ」


「本人の意思を問わず勝手に源気を取るなんて、それが利益と得るのか?」


「ええ、人間は動物を飼って、狩って、食糧にすると同じことだよ。そんな簡単な考えが分からないなんて、君は狡い子たちを造るに上手、世間が知らずオタクだね?頭が良さそうが、まさかダサい格好イメージと合う、バカ男」


メアリの挑発にトオルは平然と肩を聳えた。


「確かにぼくはロボットを作りオタクだが、人間を食糧にするとが、一度も考えたことはないな」


「ふふ、余裕そうに言い放題ね、自らがもう袋の鼠だってことにまだ気づいてないかしら?」


 依織はチャーミングな笑みを浮いてメアリの言葉を突っ込む。


「それはどうかしら。『虎穴に入らずんば虎子を得ず』という言葉を知ってる?」


「あんた煩いだわ、もう一度捕まえて、めちゃくちゃにしてやるわ!」


依織は両手に剣と盾を翳し、勢いを見せるように告げる。


「二度と捕まらないものか。君の狩り遊びはここで終わりにする」


「力もないくせに、よくそんなことが言えるわね!」


怒りを露わにしたメアリが一喝すると、植物巨人が巨大な拳で襲いかかってきた。


トオルと依織は瞬時に散開し、その攻撃をかわす。


「トオルくん、いつもの戦い方で行こう!」


「ああ、分かった」


 次の瞬間、もう一体の巨人が依織に向かって胸を開き、数本の蔦を打ち出してきた。依織はその攻撃をかわし、手にした剣で蔦を斬り落とした。巨人はさらに両腕を伸ばし襲いかかるが、依織は巧みに跳び避け、腕を斬り落とす。胸元や斬り落とされた腕から新たな蔦が出てきたが、依織はその攻撃を見事にかわし、捨て置いた盾と剣のダミーを利用して蔦を絡ませ、動きを封じた。


「同じ技が私に効くと思っているの?」


依織は戦意を高め、集中して数秒で新たな剣と盾を作り上げた。


「逃がさないわよ!」


メアリが叫ぶと、巨人がさらに多くの蔦を放ってきた。しかし、依織は眉を顰めながらも、鋭い剣さばきで襲いかかる蔦を斬り捌き、粉々に切り裂いた。


「囮と本気の戦いは違うのよ!」


その頃、ムラサキは空中から巨人にビームガンを連射して攻撃していた。巨人の動きを止めた隙に、依織は左腕に回転する盾を放ち、巨人の首を斬り飛ばす。その動きにより、巨人は胸元を大きく開いたまま動きを制限されてしまった。


同時に、もう一体の巨人はトオルに狙いを定め、巨大な拳で攻撃を繰り出してきた。


「二重術式ロード、ステップダッシュ!!」


トオルの足元に作った輪状の章紋に乗って、10秒間制限にトオルの動きが3倍も速くなり、巨人の肉弾戦をしっかりと避けながら言う。


「次に、ミラーフォースシールド!」


 トオルは手を伸ばす、手の前に現れた紋章は直撃に撃ってくる巨人のパンチを受け止め、撃って来た力をそのままで弾き返し、巨人は自らの番力を受けて後ろに倒れた。


「タマ坊、粘着弾で怪人たち脚の動きを封じてくれ!コダマは、ウイングカッターで敵の体を貫き、それからスカーレットバンで撃って!」


 タマ坊は素早いに走り回って、粘着弾で2体巨人の動きを封じる。


  部屋の高さは制限があり、上手く自由に飛び回りできないコダマは宙を定点浮いてながら翼を広げ、八枚の羽根カッターが飛び出し、2体の巨人の体を撃ち抜け、それから赤いエネルギー弾を撃ちだし、巨人の体に多数の穴が撃ち開けられ、さらにエネルギー弾を受けた巨軀もうぼろぼろ、そのうちに依織が剣で巨人をやめさせ、突撃の斬撃を討ち倒せた。


ドンっと倒れた巨人が光に爆散した。爆風に吹きられた顔を押さえる。


「オリアンさんは源使いの経験者みたいが、それでも私たちを舐めないで欲しい」


ムラサキは空気中の水気を吸って、アイスブレイドを散発で打ち出せた。


メアリは余裕があって、手から速やかに生えあがる植物の枝が伸びて行き、イラクサの葉っぱ五枚が合わせたような傘を作った。その傘を支えたメアリはムラサキの攻撃を弾んだ。


「ふふ、甘いわね、これで終わらせると思わないよ」


机から離れたメアリはまた、新たに成人程大きさと子供のように小さい15体程の植物怪人を作った。


 依織は身を後ろに退いて、トオルの所に一度戻る、意見を交換する。


「トオルくん、また、体力がまた保っている?」


「ああ、何とか耐えてみるが…」


「彼女は機嫌が斜めに見えるが、戦い方が案外に消極的ね?」


「彼女が延長戦を図っているかもしれない……早めに彼女をとめないと、戦いが長くなるとぼくたちに不利だ」


「また怪人軍団を作ってきた、彼女に直接ダメージを与えるために、火中の栗を拾う方でやらないと厳しいかもね……」


「ならば、ぼくが隙間を作ってみる」


「こそこそ話すなんて、仲が良さそうね?」


 植物怪人軍団を襲ってくる、タマ坊にコダマがビームマシンガンで掃射し、怪人の攻めるのをとめる。 ビームマシンガンを撃った後、依織は左腕に盾を翳し、攻め進んで、付いてに剣を刺しだす。


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