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鬼神の目覚め 4
耳をつんざく怒鳴り声をあげて童子式神の胸ぐらを掴んだ。
「あいつやべぇ!鳥居の…神域の内側から出てきやがった!」
ヒソヒソながらも言いつけると、山伏式神の表情が変わる。
「な!ひ──逃げるわよ!」
「バカなんスか?!逃げてるんスよ!」
「君たち、どうかしたかね?」
背後から声がして──「ヒイッ!!」二匹はすくみ上がった。さっきまで鳥居の近くにいたはずだ。
変哲もないはずの魔が急に末恐ろしい者に思え、貼り付けられた笑みが意味深に見えた。
「キッキィヤアアアアア!!!!」
山伏式神が奇声を上げ、こちらの裾を引っ張るやテレポートをキメた。
残された"魔"は薄らと驚いた顔をしたが、やがて肩を揺らして笑いだした。
「あ〜おもしれえなぁ。まるで鬼でも見たかのような顔だった」
ヒーヒーと笑いをこらえると視界の端で佇んでいる虹色の瞳をした者に目配せをする。
「どうだ?私とあのお方であろう者のファーストコンタクトは。」
「…」彼は何も言わず、神域にいた人ならざる者は「ツレねえなあ」と肩を竦めた。
みじかーめ