表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/166

鬼神の目覚め 2

 童子式神は延々と続くかのような路地を歩いている。異界の月明かりの下、影がなく電信柱の影を気にしている。

 人ならざる者たちがこちらを伺っている。異物を見る目で。

「寡黙とか、巫女式神とか、アイツらついてきてないよな…」

 キョロキョロして、ホッとした。


(──地鳴りがしたのは住宅地の方。その方向にあるのはある地主神が祀られた神社だ。田舎の町としては少し大きな神社で、他は地鳴りの原因になりそうな工場やらはない)


「神社が原因だとしたら、普通のコトじゃねーな」


(──祭神になにかあったのだろうか?そしたら、それってその神より強い何かが…)


「どうしちまったんだろ。今までこんなこと……」


(──越久夜町はおかしくなり始めてる?)


「町の結界を壊した反動、とかじゃねーよな」

 童子式神は主の言っていた言葉を思い出す。まさか神使たちも人間が結界を壊すとは思いもしないだろう。

「ゆらぎもひでえし、主さまのやっていることは越久夜町を…」

 ハッと口を噤んだ。式神としてよからぬ事を言ってしまったのだから。

「──ん?」


(──人ならざる者の気配!)


 路地の奥に人影があり、なにやら挙動不審に歩いている。童子式神は息を潜めながら近づき、やがて山伏式神が町を彷徨いているのを見つける。

「どうしたんスか?縄張りは?」

「それが、地鳴りがした原因を探している最中なの。あれのせいで石がちょっと劣化したんだから」

「そ、そうなんすか…」

「あなたこそ、なんで私に付きまとうのかしら?」

「はあ?あっしは主さまの命令に従って新しいテリトリーを」

「へえ?まあいいわ。地鳴り…あっちから聞こえたのよね」

 指さした先には地主神の神社があった。童子式神は冷や汗が垂れる。あの神社は…町としては中規模で、どっしりとシールド(神域)が貼られている。…いや、それはいい。

「神社からなんて。不思議でしょ?それに断末魔みたいみたいだったわ。捕食者に食いちぎられたみたいな…ふふ」

 危ない笑顔になる山伏式神に童子式神は引いた。


「そうスか…。断末魔というのはあながち間違いではない気がシマス」

「行ってみない?なんだか楽しそうじゃないの」

 悪戯っぽい笑みを浮かべ、先に歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ