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神域の源流 7

 一枚岩をそのまま加工したような様々な瑞獣(ずいじゅう)を彫り込んだ扉があった。しかし扉だけだった。

 僅かに開いた扉の間に蟠る闇。不自然な扉の後ろの苔むした外壁には蔦と管が張り巡らされている。

 あの闇は何だ?

 覚悟を決め、二匹は奥へと進んで言った。



「早く来なさいよ!」


 山伏姿の式神もどきは遅い二匹に声をかけるつもりだった。

 すると眼前から誰かがやってくる。「誰…?」

 全く同じ容姿をした者とすれ違う。目の据わった自分がずいずいと進んでいく。

「な、な…」


「どこ行ったンすか?」

「やまぶしー!」


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「大丈夫か?やまぶし?」巫女式神がかすかに、心配そうに問いただす。

「あ、ああ…大丈夫。ちょっとびっくりしただけ」

「え、うん?」不思議そうな顔をした彼女に、気を取り直して空元気を出した。

「あれが越久夜町の神域の起点よ」

 指し示したほうには、遺跡と神域があった。



「わあ~!すげー!」

 純粋に目を輝かす巫女式神を二匹は一歩引いて見ている。

 それはそうだ。進めば進むほど、ケガレを含み澱んだ空気が強まっていくからだ。

 猿岩に似た奇妙な石造物がひと間隔に並べられ、こちらをジッとねめつけている。

 異形の鳥が装飾され、アカ族の門に似た鳥居の中から神域と思わしき、ネオン管で象られた扉のような輪郭が顔を出していた。


「もっとすごいのはこれからよ」

 タン!とメタリックカラーのタイルの床にある盛り上がった場所を踏むと、機械が起動するような唸りが発せられた。

 頭上に現れたのは読めもしない浮かび上がった文字列と記号。それを前に三匹は佇む。


「おお!なんか近未来的だぜ!」

「確か…こうだったかしら?」

 キーボードに似た文字列をタップしていく式神もどきに二匹は目を丸くした。

「パスワードまで見てやがったのか」

「だって気になるじゃない。秘密にするからいけないのよ」悪びれもなくうち終わると、半透明の扉が開いた。


「…あける、なんて安易なパスワードですね」

「あら、読めるの」

「え、読めねえんすか?」

「あたしは人間の言葉しか読めねえよ」

 巫女式神が心底驚いた様子でいう。

「そっちの方がすげぇっス…」

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