神域の源流 4
不可思議な世界にも行き当たりが現れた。遠くに光が漏れる点があり、三匹はその出口へと向かう。
近づくと入口と同じように四角い空間ができていた。
ぴょん、とカラスの足で着地する恐れ知らずな巫女式神に続き、二匹は地面に足を下ろした。
「また山ん中だ?」着地して、原生林を見渡した。
「私たちがいた場所からはかなり離れたはず。…人間がいる生活圏から、高次の神々が作った空間へ」
「にしては澱んでいるような…」
穢れを象徴するゆらぎが霧となり漂っている。ガサガサと何かが逃げていく音や鳥の声がした。
「管理がめんどくて放置されてんじゃないか?」
「人間じゃないンすから」
荒れ果てた有様に困惑する。魔が平常通り闊歩できるなど神の領域では有り得ないのではないのか?
「前はもっと綺麗にされていたような気がしたけれど…来る度に汚くなるわね。ここ」
先を往きながらそう言った。
「おめえ、たしかずっと荒れ野にいたんすよね?」
「ええ。町にいる人ならざる者と違って、荒れ野には高カロリーな"食べ物"がいなかったけれど…離れる気にはならなかったわ。やっぱり生まれた場所が一番!」
「へえ。悪名高い魔神さまの生涯、是非お聞きしたい」
巫女式神が茶化して言う。たくさんの羽を持つ虫を食べて満足げだ。
「悪名高いなんて誤解よっ!まあ、旅人にミサキだの、行逢神だのひだるだの、散々なことを言われたけれども。私はただ食事をしてるだけなのに。アイツらが後から道を作ったのよ?」




