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荒れ野の式神もどきと童子式神の蘇る記憶 2

 指を指した寡黙の思惑通り、視線を動かすと──彼はフッと姿を消してしまった。テリトリーとしての暗闇が晴れていき、見慣れた庭が現れた。

 暗鬱とした庭に佇んでいると、羽ばたきが近づいてくる。


「よう!」

 大振りな──イヌワシぐらいの大きさがあるであろう、四つ目のカラスが羽を広げ、ばさりと着地する。童子式神は嫌がりもせず、それを眺め佇んでいた。


「…来ましたか」

「今日は煙たがらないんだな」首を傾げるや人型に変幻する。巫女式神だ。

「…来るのは分かっていましたから。寡黙が…」

「寡黙?」

「ええ、あっしの対になっている式神が」

「えっ。そんな奴いたのか?しらなかったぜ…まさか、イマジナリーフレンドとかじゃないよな…?」

「な、何言ってるんすか?!そんなわけないでしょ!」

「ならいいけどよ~」




 巫女式神と童子式神はまた蛇崩(じゃほう)──荒れ野に向かう事にした。

 山伏姿の式神もどきが気になっているのは否定できない。

「珍しいよなあ、童子さんが乗り気なんてさ」

「…まあ、用事がありますから」

「やっぱり山伏の式神に会いに行くのが本命かい?気になるよな」

 細い路地を歩きながら、二匹は話す。人界から迷い込んだ野良猫がびっくりして走っていくのを、巫女式神は不思議そうに眺めた。


「いえ、あっしの目的は()()()()を見に行くことでス」

「ありゃ城壁みたいだよな。他の町を見たことねーけど、皆あんなもんなのかい?」

「…おめぇは見たことないんスか?他の町を」

「あ、えっとまあ!そんなもんだ!」逆に胸を貼る式神に童子式神は首を傾げる。

「式神システムがどのように作用するかは分かりませんが、あっしらはだいたい二つ隣の町ぐらいの範囲で召喚されるみたいっス」

「式神しすてむ?なんじゃそりゃ…あー、ほら、あたし新米式神なんだ」


(…式神ならシステムを忘れるわけがねえ、こんな惨めな身分になるなんてよ…。巫女式神、お前は──)

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