第22話 もう何が何だか 作者迷走しすぎです
「ぐはははは!! アンナはどこだ、出てこい!!」「わしらがひねりつぶしてくれるわ!!」
外を出ると周りは激変していた。森の木が焼かれており、嫌な臭いが漂っている。所々に黒い煙が上がっており、まるで戦争でも起きたようだ。
そこには異形の怪物が立っていた。右にバンジャマン王子と、左はイヤミそうな老人の顔がくっついていた。さらに両腕は左右に二対、上の腕は剣を、下の腕は盾を握っている。クマのような巨体で甲冑を身に着けていた。まるで重戦車だわ。
伝説の怪物みたいだ。なんか悪夢を見ている気分になるね。
「あれはリシュリュー侯爵だな。間違いない」
ミシェル様がおっとり刀で駆けつけた。背後にはメイド4名が控えている。
なんか場違いに見えるわね。やっぱり私は夢を見ているのかしらん。
「あー、これは夢ね、悪夢なのね。おやすみなさい」
「アンナ、現実を見たまえ。あれはリシュリュー家が開発した合成魔獣だ」
ごうせいまじゅう? いきなりファンタジーになったんですけど。この人は何を言っているのかしら?
それとも私が馬鹿になったのかしらね?
「君は知らないだろうが、デュプレ王国ではその手の研究がなされている。伝説の怪物は科学の力で生み出されたのだ。人間の魂も科学で解明できるのだよ。君がアリス嬢に転生したのもそのおかげなのだ」
「科学といえば何でも解決すると思ってませんか?」
私は突っ込んだが、ミシェル様は無視した。問題はバンジャマン王子だ。あんな怪物どう立ち向かえばいいのかしら? 敵は私を狙っているようだし、ここは私が立ち向かわないとね。攫われたのは業腹だけど、ミシェル様を巻き込むわけにはいかないわ。
「ここは私が引き受けます。皆さんは一切手を出さないよう逃げてください」
そう言ったらメドベージが右手で私の頭をぎゅっとつかんだ。そしてそのまま後ろに置かれる。なんで?
「あなたはお客様です。そしてあれは王子の敵です。敵は我らが排除します」
オンブルが前に出る。手には何も持っていない。メイドたちは全員素手だ。それで一体武器を持つ相手と戦えるのだろうか?
「彼女たちは強いよ。武器を持つ相手でも引けを取らない」
ミシェル様が自信満々に答える。
「ぐはははは!! ミシェル、お前は目の上のたん瘤だったよ!! お前をひねりつぶす機会を得れて最高だぜ!!」「そうじゃそうじゃ。王国を腐らせる寄生虫め。このわしが退治してくれようぞ」
二人ともゲラゲラ笑っている。正気を失っているみたいだ。というか誰が二人を改造したんだろう?
「リシュリュー侯爵お抱えの魔法使いだろうな。ああ見えても彼はカリスマがある。自分の死後に合成魔獣となって復活させるよう遺言を残したのだろうな。そして自分より若いバンジャマンの体を利用して若さを得た。いずれはバンジャマンの首を落として自分だけ力を得るつもりだろうな」
ミシェル様の言葉を聞いて、私は胸糞悪くなる。孫も孫だが、祖父も祖父だ。王侯貴族は平民とは違う家庭環境とはいえ、あそこまで歪んでいる家族は吐き気がしてくる。
「ではメドベージ、私たちを護れ!!」
そういってシロクマのように大きな身体の彼女が立ちふさがる。彼女は地面に両手を突っ込むとそこから巨大な盾を取り出した。明らかに彼女の体はおろか、屋敷並みに大きい。なんでこんな盾が埋まっていたの!!
「えい!!」
ミシェル様が地面を蹴ると、バンジャマンたちの周りに鉄の杭が飛び出した。東洋に生えている竹みたいに長い。
そこにアラニエが飛び乗る。そしてモモンガのように周りの鉄の杭を蹴っては、ぴょんぴょんと飛び回っていた。
あれ? シノブの姿が見えない。どこに行ったのかしら?
「むふっ」
よく見るとバンジャマンの足に絡みついていた。いったいどこから現れたのかしら。地面に穴が開いている。彼女はそこから出てきたのかしらね。
「なんだこのクソアマどもは!! 叩き潰してくれる!!」「その通りじゃ我が孫よ。我らにまとわりつく虫けらは踏みつぶさねばならぬ。それこそ貴族としての義務よ」
ぐへぐへぐへ……。二人は胸糞悪い笑みを浮かべていた。あそこまで人を不愉快にさせる笑顔はないわね。
だけどメイドたちはすごいわ。アラニエは鉄の杭を使って飛び回っているけど、周りに鉄の意図を張り巡らせている。そしてシノブは鎧に何かを仕掛けているわ。あれは何かしらね。
そう思っているとオンブルが前に出た。まるで黒い疾風だわ。彼女はバンジャマンたちの攻撃をかわすと、彼らは後ろに倒れた。鉄の糸が絡まっているようだ。
「なっ卑怯だぞ!!」「そうじゃ!! わしらはいいが、お前たちは正々堂々と戦え!!」
二人は抗議したが、ミシェル様は無視した。当然であろう。そしてメイドたち三人はメドベージの盾の後ろに避難する。
そしてバンジャマンの体が爆発した。




