表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/24

第19話 オカルトと思ったら 真相はかなりえげつなかった

「さぁ、今日からここがあなたの部屋ですよ」


 私はとある屋敷の部屋に案内された。二階にあり、タンスにベッド、様々な豪華な調度品が並んでいる。

 ここはミシェル王子の屋敷だ。デュプレ王国の王都より北部にある森で、魔獣のはらわたと呼ばれている。そんな場所で隠居しているとのことだ。廊下には壁に絵画が並んでおり、甲冑の鎧が飾られている。

 

 案内しているメイドは王城で世話してくれたメイドだ。真っ黒な肌に縮れた黒髪。唇は分厚く、穴も大きい。目は肉食獣のように見えた。

 多分遥か南方にある影人かげびと大陸に住む、影人であろう。


「あなたは今日から、この屋敷のチーフメイドとしてここで働いてもらいます。私の名前はオンブルと申します。遠慮なく私に命令してください」


 いや、私がチーフなの!? 普通は新人なのになんで地位が高いの!! オンブルさんや他のメイドさんたちは不満爆発でしょうが!!


「いいえ、元々アリス様がチーフメイドとして働いてもらうよう、ミシェル王子に命令されたのです。私たちにとってアリス様はご主人様であり、私たちは奴隷でございます」


 そう言ってオンブルさんが手を叩くと、ぞろぞろとメイドが三人現れた。

 天井から降りて来るものから、窓からぬうっと入ってくる身体が大きいもの、そして甲冑鎧の中からメイドがぬるりと出てきた。

 というかまともな登場の仕方ができないの!?


「アラニエでございます」


 ドレッドヘアで赤目の褐色肌の少女が答えた。逆さで細い糸を手にしている。この子はたぶんナーヒブ帝国出身だろう。どこか蜘蛛のような雰囲気がある。


「ウッス、メドベージっす!」


 身体が大きく、白いおかっぱ頭の陶磁器のように真っ白な肌の女性だ。カオフマン王国より北方に位置する国の出身だろう。あそこは女性でも身体が大きい人が多いからだ。


「シノブ、ト、モウシマス」


 最後に鎧から這い出た少女が答えた。黒髪をまとめた肌の白い人形のような小柄な少女だ。

 シノブというのは極東の島国によくある名前だ。この屋敷は多国籍のようである。


「そして私オンブルを含めた4人が、あなたの忠実なしもべであり、奴隷でございます。家事はもちろんのこと、各個人の戦闘力は歩兵小隊なら一人で全滅させる実力がございます」


 4人は私に頭を下げる。いやいや歩兵小隊は大体50人ほどだよ!? それを一人で全滅させるなんてミシェル王子は何のために彼女たちを雇ったの!!


「もちろんアリス様を取り戻そうとするアミラル殿下とアルベール卿に抵抗するためです」


 私の思考を読んだのかオンブルが答えた。そもそもなんでミシェル王子が私を欲しがるの!! さらに私を暗殺したとかわけがわからない!! 誰か説明してよ!!


「その件については私が答えよう」


 そこにミシェル王子が現れた。うわっ、びっくりした!! この人デュプレ城で囚われているかと思っていた!!


「私は逃げることに関しては厳しい訓練を受けていてね。アミラルとアルベールの包囲網を抜けるなどお茶の子さいさいさ」


 私はぽかんと口を開けていた。昔は本を読む姿をよく見ていたが、意外であった。


「さてここで立ち話をするのもなんだから、居間に行こう。そこでお茶を飲みながらゆったりと話そうじゃないか」


 なんかミシェル王子が悪魔に見えてきた。常人に見えないからだ。


 ☆


 私は居間に通された。ソファーにテーブル、豪華な調度品が並べてある。一般的な貴族の部屋だ。オンブルがお茶を持ってきた。紅茶にスコーン、バターにジャムのツボも一緒だ。


 ミシェル王子は優雅に紅茶を飲んでいる。私の前に紅茶を差し出されたが、飲む気がしない。


「そのお茶はクールベ領内に採れた茶葉ですよ。お気に召すと思いますが」


 ミシェル王子が訊ねた。そう言えば匂いを嗅ぐと懐かしさが沸き上がる。確かにクールベ領で採れたお茶だ。なんで王子はこんなにも用意がいいのだろうか。


「実はあなたがアリスに転生したのは理由があります。正確にはアンナ・マジェンタの生涯を毎日聞かせた結果なのですよ」


 はぁ? 何を言っているのだろうか。


「私はあなたの父親、クールベ男爵を買収したのです。アリスが成長したらアンナの生涯を毎日繰り返し聞かせるとね。そしてマジェンタ家に入るとアンナの記憶が蘇るように暗示をかけられたのですよ」


 ……何のことだかわからない。私はアンナじゃないの? いや私はアリスだ。間違いない。

 でもミシェル王子の言い分だと私は転生でもなんでもないじゃない。でもなんでアンナの記憶があるの?


「これはカオフマン王国に伝わる転生の儀です。クールベ家はマジェンタ家の血筋だ。父親だけでなく、ルイーズやセバスチャンも一役買っていたのですよ」


 ルイーズとセバスチャンが? 私を、アリスの記憶をアンナに塗りつぶしたの? アリスを、殺したの?

 なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでそんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでッ!!


 私の頭が爆発した気がした。脳みそぷるぷる、どっかんこー!!

 アラニエはフランス語で蜘蛛。メドベージはロシア語で熊。シノブはそのまま忍です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ