第一八話 この作者 思い付きで 書いてないか?
さて困ったわ。ここは抜け出る隙が全くないもの。そりゃそうか、バンジャマン王子の眼をくらませるために作られた施設は、秘密厳守だ。普通の牢屋より警備や気密性が高いのは当然だろう。
でも私は抜け出したいのだ。黙って待つなんて我慢できない。講堂を起こさない女なんか女じゃないわ。
地下の部屋は互いに繋がっているが、ミシェル王子が許さない。年頃の女は私だけで、他は男だからだ。バンジャマン王子に逆らう貴族だけが収容されている。全員が女に興味がないとは限らないのだ。
メイドたちもまったく隙がない。どんなに頼んでもけんもほろろだ。王家に従うメイドは教育も違うわけだ。
私はとてもイライラしていた。何もしないで部屋に過ごすことが苦痛なのだ。自分が特別とは思っていないけど、何もしないなんて耐えられない。
何の進展もないまま、一週間が過ぎた。そしてアルベールがついに迎えに来てしまったのである。
「おお、アルベール。ひさしぶりだね。バンジャマンはどうなった?」
牢屋で私はアルベールと対面した。もう顔はやつれており、金髪はぼさぼさであった。よほど私がいなくなって心配したのだろう。
「黙れ!! 姉上!! さあ、ここからすぐ出しましょう!! 早く姉上を出さぬか!!」
「落ち着け!!」
アルベールがぶん殴られた。殴ったのはアミラル様だ。今まで姿を見せなかったのは、バンジャマン王子のせいかもしれない。
「何するんだ!!」
「お前が落ち着かねばアリスを外に出せないと言っているんだ!!」
そう言ってアミラル様は看守に鍵を持って来させた。私たちだけでなく、他の貴族たちも解放される。バンジャマン王子はどうなったのか?
「あの糞野郎は私が殺しました。外祖父のリシュリュー侯爵も一緒にね」
アルベールが答えた。マジェンタ軍の特殊部隊によってバンジャマン軍はバラバラ。狙撃従というもので、バンジャマン王子の頭は撃ち抜かれ、死亡したという。リシュリュー侯爵も同じく仕留めたそうだ。
「ううぅ、私は何もできなかった……。ただ待つだけでアルベールたちが解決してしまうなんて……。私はなんて駄目な女なのかしら……」
「姉上!! あなたは何一つ悪くありません!! 悪いのは国賊バンジャマンとその外祖父でございます!!」
「そうだぞアリス。お前は昔から猪突猛進だった。お前が余計なことをすればさらにこんがらがっていたな。少しは自重しろ」
落ち込む私にアルベールは慰めてくれたが、アミラル様には窘められた。
だって私は行動しないと気が済まないんだもの。自重なんかしたくないわ。
「ならば私専用のメイドになってもらいましょうか」
突然ミシェル王子が言った。その発言に私はもちろんだけど、二人も王子を見た。
「王位はアミラルに譲るけど、私はどこか辺境の地で隠居する予定だよ。そしてアリス嬢は私のメイドとして一生過ごしてもらいたいな」
あまりの言葉に私は驚いた。なんで私を選ぶんだろう。
「ふざけるな!! 姉上は一生マジェンタ家で暮らすんだ!! お前のメイドになんかするものか!!」
「その通りだ。アリスは俺と結婚し王妃になる身だ。勝手なことは許されない」
「お前こそ勝手なことを言うな!! 姉上は王妃などにさせん!!」
アルベールとアミラル様が組みかかる。子供の喧嘩だ。
「あの、どうして王子は私をメイドにしたいのですか?」
「それは昔からあなたと一緒にいたいと思ったからですよ。私は子供が作れない身だ。一緒になれないならあなたがこの世にいなければいいと思ったのです」
ミシェル王子の言葉に私は首を傾げた。いったいこの人は何を言っているのだろうか?
「一六年前、あなたを殺したのは私です。正確には暗殺者を仕向けたのですがね」
すると近くにいたメイドが私を羽交い絞めにした。そして抱きかかえると、そのまま外へ走り出す。城の外に出ると、メイドはハングライダーを用意しており、そこから私を連れ去ったのだ。
え、えええええ!! なんなのこの急展開!! 私付いていけないんですけど!!
今回の展開は思い付きです。ミシェル王子が黒幕にした方が意外性が出ると思ったからです。




