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第17話 私は どうしても 牢屋を抜け出すわ!!

 私は地下牢にある豪華な部屋でデュプレ王国の第一王子ミシェル様と食事をとっている。

 メイドが前菜やスープ、肉料理にデザートを持ってきた。なんで私はここにいるのかしらと疑問を抱いている。


 食事が終わると、ミシェル王子は話をはじめた。


 なんでもバンジャマン王子がいきなり国王様を幽閉したらしい。そしてミシェル王子を牢屋に入れたそうだ。なぜかというとお前は邪魔だから閉じ込めてやると言われたそうだ。

 まるで幼児である。バンジャマン王子は16年前でもわがままでいじめっ子だった。よく使用人たちをいじめたり、アミラル様に暴力を振るっていたっけ。それをミシェル王子に注意されたので顔を赤くして睨んでいたのを覚えている。


 うん、バンジャマン王子は悪い意味で変わっていない。いい大人なのに子供じみた発想と行動力だ。国王様にしろミシェル王子にしろ災難である。

 でも王子はそれを予測して地下牢に秘密の部屋を作った。さすがは先を見通す目を持っていますね。


「恐らくはリシュリュー侯爵の影響が強いね。今のマジェンタ公爵領はデュプレ王国で最も豊かな領地だ。しかも外国人を多く雇用している。あの老人にとっては忌々しいところだろうね」


 王子は赤ワインを飲みながら答えた。私の前には紅茶とバタークリームを使ったイチゴのケーキが置いてある。とてもおいしそうだが、食べる気になれなかった。


「そもそも私は子供を作れないのだよ。だから王位継承権から外されているのにね。それでも私を旗印に使われるのを恐れているようだな」


 王子は何気ないように言うが、事態は深刻だ。確か16年前でも王子は結婚していた。それなのに子供が全くできない。母体に問題があるかと思われたが健康そのものだという。

 なんでも王子は幼少時に熱病を患ったため、いのちの精が弱くなったそうだ。王族は血筋を愛する、子供を残せない王族はゴミカス扱いされてもおかしくないのである。


「父上はバンジャマンよりアミラルを後継者に指定するつもりなのさ。いや、すでに根回しは済んでいる。あとは父上が公の場で発表するだけだった。それなのにオセアン伯爵を洗脳した挙句、マジェンタ領を攻めるなんてありえないな」


 王子は右手を額に当ててため息をついた。そりゃあつきたくなるわよね。バンジャマン王子とその外祖父が暴走しまくっているんだもの。胃に穴が開いてもおかしくないわ。


「とはいえアルベールはこの事を予測していたよ。バンジャマンの軍勢に対して準備は進めていたのさ。多分マジェンタ領におびき寄せたら一気に囲んで叩き潰すだろうね。道中で補給が出来ないように途中の村では放棄させているんだよ。家には爆弾を仕掛けて、井戸は家畜の糞を入れて使い物にできなくしたらしい。さらに補給を徹底的に叩くんだ。果たしてバンジャマンは耐えられるかな?」


 ミシェル王子は厭らしく笑う。王子は穏健に見えるけどお人よしじゃない。善意には善意を、悪意には悪意をきっちり返すお方だ。アミラル様も敵に回したくないとこぼしていたな。バンジャマン王子はどうでもよさそうだったけど。


「バンジャマン王子はとても強いと聞きますが、アルベールは勝てるでしょうか?」


「勝てるね。そもそもあいつは試合には強くても実戦経験は皆無だ。相手が少しでも卑怯な手を使えば、相手を徹底的に批難する。その癖自分はズルをして当然という考えだからね。周囲に嫌われていることに全然気づかない鈍感なんだよ」


 ミシェル王子のいう通りだ。王子とアミラル様とお茶会に参加したことはあるけど、バンジャマン王子は場を全く読めずに大声を上げてしゃべるのが大好きだ。自分の間違いを一切認めず、口汚く罵る性格だった。


「我々のできることは待つことだけだ。ここには色々な遊具がある。部屋は繋がっているから、私以外にも会話が出来るよ。外の情報もきちんと入る。アルベールとアミラルがなんとかするまで待っていよう」


 王子は言うが私は我慢できない。なんで私は待たなくてはならないのかしら。私は助けを待つだけの女じゃない。そんなの女じゃないわ!!


「ミシェル王子!! 私はここを出たいです!! 出なければなんとかして脱出しますわ!!」


「やれやれ、君は一度死んでも変わらないな。そもそも脱出して何をするつもりだい? 君が出来る事なんて何もないよ。おとなしく待ちなさい」


「絶対に嫌です!! 私はここを抜け出るわ!! そしてバンジャマン王子を止めてやるんだから!!」


 私の鼻息は荒くなっている。なんというか血沸き肉躍る感じだ。アリスからアンナの記憶を思い出して以来、高揚感が増してくる。絶対にここを出てマジェンタ領を救って見せるわ!!

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