更なる未来へ
第二部 最終話
初夏の風が東京の町を流れていた。
昨日、特別な家系のシステムの中枢であるデータベース機能を停止させるという大きな出来事があったのに町は相変わらずいつもと変わりなく人々の活気にあふれていた。
春彦は東京のマンションに戻ってきていることを神守勇に知らせ、彼女はマンションへと姿を見せた。
アルバイトに何時も来ている白露允華と泉谷昭と茂由加奈子は気を利かせてその日は休みを取っていた。
ただ原稿の締め切りは待ってくれることはなく春彦と勇がマンションで会っている間も直彦は自室で小説を書き、隣で隆がチェックを行っていた。
去年の9月前のような光景であった。
リバースプロキシ
その日の夜に春彦と直彦は隆の手料理を食べ、春彦は翌日には帰宅することになっていた。
島津家の春馬と更紗への報告と身の安全のためである。
やはり島津家の方が春彦に関しては数倍セキュリティーが高いのは事実で身体のこともあるので長居は出来なかったのである。
勿論、島津家からの強い要請もあった。
春彦は荷物を纏めて付き添いの武藤譲に持ってもらうとハァと深い溜息を零した。
「東京にいたい」
本音である。
だが、そう言うわけにもいかない。
譲は苦笑しつつも
「春彦様」
と呼びかけた。
直彦も少し寂しさを感じたものの
「春彦も大人になったと思ったが、まだまだ子供だな」
と心で苦笑しつつ
「また帰ってくれば良い」
と告げた。
「あの部屋はお前の部屋だしここはお前の家だ」
春彦は少し涙を潤ませつつ頷いて
「直兄、じゃあ行ってきます」
と手を振るとマンションを後にした。
九州では伽羅が待っており、更紗も春馬も待っている。
そして、伊藤朔や神宮寺凛、田中悠真に陸奥樹、羽田野大翔など多くの親友たちも待っているのだ。
春彦は飛行機に乗り込むと目を閉じて
「まだ、これからなんだ」
システムのことも
「そして、俺の人生も」
と厚い雲を突き抜けた先の青い空を思い、自分の道も同じようにどんなに厚い雲が覆っていてもその先の晴れ渡った空が待っているのだと心で呟いた。
松野宮伽羅は福岡空港まで島津更紗と春馬と共に春彦の帰りを待ちながら
「春彦~、大丈夫かなぁ」
と右往左往し、春馬から
「鬱陶しいから、そこで立っとけ」
と怒られていた。
そして…彼らの前に春彦は姿を見せると笑顔を浮かべた。
「伽羅、お母さん、春馬兄さん」
…ただいま…
空は晴れ渡り、未来へ続くように街は陽光を受け明るく輝いていた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




