巌流島の恋人たち
和也と須理は二人を見ると
「ありがとう、彼女を守る道を探しながら進んでいく」
「私も和也と一緒に生きていく道を歩いていくから…ありがとう」
と告げた。
そして、須理は
「貴方が見たのは、もしかして噂の導夢?」
と告げた。
「そうなら、貴方達が動いてくれたことで新しい道を進むことが出来たわ」
ありがとう
伽羅は「ん?」と思ったものの
「そう言えば似ているのかなぁ」
と心で呟いた。
二人は何度も礼を言って島津家を後にして山口へと戻っていったのである。
春彦は譲に
「一応、二人の様子を暫く見ていてあげてください」
少し気になることもあるので
と告げた。
数日後に二人がそれぞれの家を出て新しい家で暮らすことになったと報告があった。
和也も須理も特別な家系の重い鎖を拭い去り、新しい道を歩み始めたのである。
春彦は意を決すると伽羅に須理と和也の報告をして
「あのさ、これはあくまで俺の推測なんだけど」
と言い
「もしかしたら伽羅の夢は磐井栞の導夢を共有しての夢なんじゃないかと思っているんだ」
と告げた。
外では夜の闇が広がり街の明かりがキラキラと輝いている。
伽羅は驚いたようにベッドに身体を預けている春彦を見つめ
「俺、物心ついた頃から見ていたんだけど?」
と聞いた。
春彦は唸りながら
「そこが、わからないんだけど」
でも、もし彼女の導夢ならごめん
「伽羅をずっと苦しめてたの俺のせいかも…ごめん」
と呟いた。
伽羅は笑顔で
「何で?」
春彦のせいじゃないじゃないか
「それにもしそうだったら、俺、春彦やこの前の人たちみたいに苦しんで辛い道へ行こうとしている人を助ける手助けをする力を貰っていたんだって」
良かったと思う
「ありがとう、春彦」
ちゃんと話してくれて
と告げた。
春彦は泣きそうに目を潤ませると
「俺こそ、ありがとうな」
伽羅
と告げた。
それから数日経った5月の初め、春彦から直彦へ贈られた乙女シリーズの『ハマユウ』の中から一枚の写真が取り出された。
そこには直彦と朧清美の思い出の場所が映っていたのである。
滝の岩の横手から見える放物面の丘。
今は木々が茂り同じようには見えないが間違いなくそこであることがわかったのである。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




