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リバースプロキシ  作者: 如月いさみ


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音の専任技術者

その姿を南歩と小竹陽翔と一緒に羽田野大翔が見送った。


歩は「今日は屋上じゃないんだ」と呟いた。

陽翔も頷いて

「みたいだな」

と食堂へと向かった。


春彦たちは伊藤家の車でKyuoホテルへと向かいフロントに声をかけた。

しかし、30階へ電話をかけても通じなかったのである。


春彦は悠真を見ると

「上に蓋がある受水槽はどこに?」

それから太陽の光が入るところ

と聞いた。


悠真はハッと上を見ると

「屋上の高架水槽!」

屋上にある

と上を指した。


凛は頷くと

「急ごう」

と駆け出した。


悠真は従業員だけが使う業務用エレベーターへと彼らを連れて行き乗せると屋上のボタンを押した。

「客のエレベーターに屋上はないんだ」


伽羅は「確かに屋上に上がる必要ないもんな」と答えた。


屋上に着くと全員が悠真の案内で高架水槽の場所へと向かった。

そこに鈴木三郎が立っていた。


鈴木三郎は彼らを見ると

「な、何か?」

掃除はちゃんと終わりましたよ

と引き攣った笑いを浮かべた。


春彦は彼の横を過ぎて高架水槽の前に立つと響いてくる音に目を向けた。

「モールス信号だ」


ド・ド・ド・ゴーゴーゴー・ド・ド・ド


「SOSだ」

というと春彦は高架水槽の上に登って蓋を開けた。

底に女性が括られて座らされていたのである。


春彦は中に入ると続いて上に立った悠真を見て

「彼女を」

と言い、長坂真理子の猿轡と手足の紐をほどくと上げた。


悠真は彼女の手を掴んで引き上げた。

春彦もその後枠を掴んで上へと出た。


そして、降り立つと顔を伏せて立っている鈴木三郎を見た。

逃げないように朔と伽羅が前に立ち、高架水槽の足元に仕掛けられた爆弾を樹と凜が回収していた。


春彦は三郎を見て

「貴方のお姉さんが乗った車が一年前の明日…2月3日にスリップ事故でホテルに突っ込んだことは調べました」

お姉さんは結婚して苗字が変わっていたので分からなかった

と告げた。


三郎は視線を伏せると

「そうだ、事故さえなければ…姉は流産することもなかったし」

ましてホテルの修復代の借金まで背負ってしまって

「心を病んだ姉は」

と拳を握りしめた。


朔は顔をしかめて

「でも、ホテルに落ち度はないと思うけど…」

と告げた。


三郎は睨むと

「だが…莫大なホテルの修復代が無かったら…姉があそこまで追い詰められることはなかったんだ!」

義兄が今もどれだけ苦しんでいるか

と告げた。


春彦は彼を見つめると

「お姉さんとお子さんの事は凄く悲しいことだと思う」

だけど

「彼女を殺して良い理由にはならない」

と告げた。

「貴方がもしこの人を…いや、ホテルの誰かを殺しても、こんな爆弾で嫌がらせをしたとしても、お姉さんや亡くなった子供の名前を貶めるだけで二人の為にならないし関わった人を余計苦しめるだけだ!」

それ以上に、あなたが八つ当たりで人を殺めただけの殺人者になるに過ぎない


三郎は座り込むと俯いた。


春彦も前にしゃがむと

「貴方は分かっているんだと思います」

だから俺は彼女を救えたことは彼女だけでなく貴方の為にも良かったと思っています

と告げた。

「貴方が貴方の大切なお姉さんとお子さんを傷つけなくて済んだことと…貴方自身が殺人者にならなかったことです」

もう分っているんですよね?

「ホテルは悪くない…それにお姉さんも」

事故は不幸な出来事だったんだって


三郎は天を仰ぐと

「俺は何もしてあげれなかった」

俺が一番…悪かったんだ

と呟いた。


春彦は優しく手を掴むと

「そんなことないと俺は思います」

それに今からでも貴方に出来ることがあると思います

と言い

「残された人を助けて生きていくことができると思います」

そのことこそ貴方のお姉さんの心を汲むことになると俺は思います

「お姉さんを失って同じように苦しんでいる人を励ましてあげて欲しい」

と告げた。


三郎は小さく頷いて長坂真理子の方に向いた。

「こんなことをして許されるとはおもいません」

本当に…すみませんでした


そして、悠真に向いて

「Kyuoホテルにも本当に申し訳ないことをすみません」

と頭を下げた。


長坂真理子はふぅと息を吐き出し

「もう、間違わないでくださいね」

大変な目に合ったけどその爆弾の音に気付いたことは良かったと思ってる

「止めることが出来たんですもの」

と告げた。

その後、春彦を見て

「貴方、私のやってるゲームで探偵やってたテリアーサー君みたいだわ(*´ω`)」

と告げた。


春彦と伽羅は同時に目を見開いて

「「ま、さか」」

と呟いた。


真理子はにっこり笑うと

「明後日を楽しみにしておいてね」

と告げた。


樹が時計を見ると

「あ、授業があと10分で始まるけど」

と告げた。


…。

…。

…。


全員がぎょっと樹を見た。

ちょうど株式会社福岡貯水の人々もやってきたので春彦は真理子を見ると

「後、お願いします」

と言い

「行こう」

と駆け出した。


朔も凜も伽羅も樹も悠真も同時に走り出した。

空には太陽が燦々と輝き、街を明るく照らし出していた。


悠真は春彦を見ると

「ありがとうな、夏月」

と言い

「みんなもサンキュな」

と告げた。


全員笑顔で頷いた。

ただ、全員かなりお腹が空いていたのである。


授業は三時限目で終わり、その後に教室で食事して帰宅の途についた。


伽羅は帰りの車の中で春彦に

「俺、テスト終わったら東京に一回帰って後の話をしてくる」

と告げた。


春彦は頭を傾げた。

「何故?」

東京の大学を受けるから?

「でも、正月に話したんじゃないのか?」


伽羅は笑顔で

「もし、春彦が九州の大学に行くことになったら」

俺も九州の美大へ行こうと思う

と告げた。


春彦は驚いて伽羅を見た。


伽羅は「俺、ずっと春彦に助けられてきただろ」と言い

「だから、春彦が九州に残ることになったら俺が助けたいと思ってる」

と告げた。

「まあ、足を引っ張るかもしれないけどな」


春彦は笑顔で

「ありがとう」

と答え

「でも、伽羅がもし東京に帰りたいと思ったら俺のことより優先させてくれ」

その方が俺は嬉しい

と告げた。


伽羅は頷いて

「了解」

と答えた。


二人が島津家に着くと玄関口に更紗が待っており

「今日は夕食を一時間遅くいたしますから」

と告げて立ち去った。


ばれていたのである。

が、それ以上何かを言われることはなかった。


土曜日に長坂真理子が講義を行い帰宅前に春彦とLINEを交換し

「何か必要な時が来たら声をかけて力になるから」

命の恩人の探偵君(*´ω`)

と言って、立ち去った。


それから一週間後に学期末テストが始まり、テストが終わるとその次の土曜日に伽羅は島津家の玄関に荷物を担いで立っていた。

「じゃあ、火曜日には帰って来るから」

春彦を見てそう告げた。


春彦は頷いてハッとすると用意していたらしい封筒を伽羅に渡した。

「あのさ、これで頼みたいことがあるんだけど」


伽羅は首を傾げて

「頼みたいこと?」

と返した。


春彦はバツが悪そうに

「絶対に武藤さんには気付かれないようにして欲しいんだ」

中に手紙入れてるから

「悪いけどお願いする」

と告げた。


伽羅は笑顔で

「わかった、良いぜ」

と答え、鞄の中に大切に入れると玄関へと向かった。


玄関口では既に譲が待っており伽羅と春彦が現れると

「それでは松野宮様参りましょうか」

と告げた。


更紗も姿を見せ

「それではお気をつけて、ご家族の方に宜しくお伝えください」

と挨拶をした。


伽羅は頷いて

「あの、お土産まで頂いてありがとうございます」

では火曜日には戻ってきますのでまたよろしくお願いします

と扉を開けて島津家を後にした。


春彦は暫く見送り

「三日だけなんだけど…」

とぽつりとつぶやいた。


更紗は春彦を見ると

「少しお茶でもしましょうか?春彦」

と声をかけた。


春彦は頷くと

「はい」

と答え、更紗の部屋へと向かったのである。


土曜日の午後、伽羅は東京へと帰ったのである。

最後までお読みいただきありがとうございます。


続編があると思います。

ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。

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